「ネットは無料」が終わる日は遠くない?変わりつつあるネットの仕組みを理解する

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ネットは無料と考えている人は多いのではないか。ゲームは別の要素が入ってくるので一概にそうとは言えないが、Webで読める記事や使えるサービスは無料と思っている人は多い。自宅の通信回線やスマホの通信料といったインターネットに接続する際の料金は払っているが、たいていの人はそれ以上のお金をかけることは少ない。それでは、いったいネットでビジネスしている会社はどうやって利益を得ているのだろうか? 自分には関係ないなんて思わず、ちょっと考えてみよう。

◎ネットは無料なのか?
小さい頃、人に「お金を貸す」銀行がどうして利益を得て、企業として成り立つのかわからなかった。さすがに今はわかる。預金として預かったお金をもとに融資や株式投資を行い、その利息・利潤が収益になる。たいてい成長する過程で、社会のルールや仕組みを理解する際にこうした仕組みも合わせて理解していく。ただ、インターネットの場合は少し違う。インターネットが普及する段階で仕組みが見えにくく、理解しずらかった。

モノとして商品を作る、売る、動かすというリアルな行為であれば、収益の仕組みはわかりやすいが、インターネットのように物質的な形を持たないモノの場合、その仕組みはとらえにくい。特に、インターネットには無料で利用できるコンテンツがあふれているため(ごく初期、インターネット普及期は「無料であること」が謳われてもいた)、「無料」という印象が広まったのだろう。

◎有料サービス or 広告入り無料サービス…実はそれだけではない
いまネット上で提供されるコンテンツ(個人や企業・ブランドなどのいわゆるオウンドメディア以外、ユーザーが利用することが想定されているもの)は、大きく区分すると有料サービスと広告入り無料サービスに分けられる。

ゲームやSNSなどには課金機能があるサービスもあり、特定の機能やサービスに別途料金がかかったりする。また、有料会員向けには広告の表示がないなどのメリットがある。

一方、無料で提供されているサービスの場合、多くは広告ビジネスで成り立っている。クライアントに広告を出稿してもらい、ユーザーに広告を見せることで料金が発生する。それによりサービス提供者は収益を上げられるという形だ。

どちらの方法を選択するのが適しているかはそのサービスの内容や利用するユーザーの特性によって異なる。おそらく、適していると思われる方法が選択されているのだろう。

しかし、実は単純に有料サービスか広告入り無料サービスかという二択なだけで提供されているわけでもない。
Twitterは、いまでは広告が表示されたり、プロモーションアカウント・ツイートなど広告用に利用できるツールがリリースされているが、初期は広告の類いはなかった。逆に、ストリーミングAPIなどデータ再販用のAPIはごく初期から存在し、その利用は有料だ(日本では現在NTTデータが、いわゆる代理店としてTwitterデータ提供サービスを展開している)。

Googleが提供するGmailも、基本は無料で利用できる(もちろん広告は表示されるが)。そしてデフォルトの容量(15GB)以上が必要になれば、有料でストレージを追加できるという仕組みだ。

◎サービス、コンテンツへの対価は何らかの形で発生する
インターネットが無料という感覚は、インターネットとよく対比されるテレビ・ラジオなどの放送サービスの影響も大きいのだろう。テレビ・ラジオなどの放送は、これまでエンドユーザーに無料でコンテンツを提供してきた。しかし、そのテレビの業界も広告収益だけでは厳しく、コンテンツの有料パッケージ化(DVDやネット再配信など)での収益向上を始めている。直接エンドユーザーからコンテンツの対価を得ようという状況になっている。
ネットでも、Cakesなどの有料Webサイト、ハイレゾ音源配信サイト、またiTunes Matchなど、課金システムを用いるサービスも増えている。

私たちも、そろそろインターネットから受け取るコンテンツに関わる企業の益の仕組みを、ユーザーの立場から考え、向き合う時期なのではないだろうか? Webコンテンツやサービスを利用する際、ユーザーが受け取る情報・楽しみの対価がどういうふうに発生している(するべき)かを意識しておいたほうがいい。

いずれ、無料ではなくなる日が来る可能性は高いのだから。
今後、ネットでは何かの形でコンテンツへの対価を払う流れは大きくなるはずだ。たとえば、ネットの自分たちの行動履歴からの特性の分析や予測などを活用する形であったり…。いや、すでにそうした提供は行われているかも? 

もちろん、企業は利益を追求するものなので、それがサービス向上を伴うことであれば悪ということではない。利益を追求しない結果サービス提供側が倒産して、サービスが終わってしまっては利用者も困るわけだし。

要は、得られるメリットとのバランスだ。それを考える材料として、自分が利用するサービスが収益的に何で成り立っているかは理解しておきたい。


大内 孝子