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2024年に発生した能登半島地震で、被災地の能登に入り、ボランティアとして高齢者の爪のケアをしてきたネイリストの女性が、氷見市で「福祉ネイル」の店を開きました。能登と氷見、2つの被災地で、色鮮やかなネイルと手のふれあいで笑顔を育む女性の姿です。

「指先、冷たくないですか?」
「大丈夫」

指先をマッサージしながら会話が弾みます。

氷見市中央町。氷見漁港を望むレトロな建物の1階にことし3月オープンしたネイルサロン「poppy nail&care」。

店の特徴は「福祉ネイル」。

高齢者や介護が必要な人たちに、ハンドマッサージや爪切り、マニキュアをして、笑顔を引き出すのがモットーです。

開業したのは、福祉ネイリストの資格を持つ高岡市の中村志帆さん。

空き店舗を希望する人へ貸し出す「チャレンジショップ」制度を活用して、ここに店を出しました。

氷見で店を構えたのには、あるワケがありました。

中村さんは、高校2年生のとき宮城県で「東日本大震災」に遭いました。当時、海岸沿いに住んでいた中村さんは幸い無事でしたが、津波で友人を失いました。

中村さん
「目の前で津波を見たときに自分だけが生き残ってしまったなって思ったんですね。そこから結構落ち込むことも多かったんですけど、逆に自分が生きてるからできることがあるなと思って、そこから誰かのためになりたいなと思って」

「自分の力で誰かを元気にしたい」

大人になって、興味を持っていた介護の仕事で「福祉ネイル」のことを知り、3年前に資格を取りました。

2024年元日に発生した能登半島地震。中村さんは、いても立ってもいられず、災害ボランティアとして被災地の能登に入りました。

そして、能登に通ううちに、現地の避難所や介護施設で被災した人たちの爪をケアするようになりました。

先の見えない避難生活。手を触り、マニキュアを塗るうちに、自然と笑顔になる場面に何度も出会いました。

「同じ被災地の氷見でも、この笑顔を広げたい」

そう願い、この店を始めました。

お客さん
「まさかあの地震で本当にびっくりしましたね」

中村さん
「氷見の方が、能登の方がもっとたいへんだったって皆さん言われるんですけど、そんなことはなくて。手を触ったり、楽に手を出してくださる時にご自身の気持ちというか、本音が出たりするので」
お客さん
「まさか、ブリを描くとはね」

一般的なネイルにかかる時間は1時間ほど。ですが、福祉ネイルは、高齢者の身体への負担を考慮し、基本は20分程度で仕上げます。

お客さん
「年いったら雑になるというか、でもこれやったらもうちょっと几帳面で女らしく生きんなんなという気持ちで、うれしかったです」

能登半島地震から2年4か月。港町にできた小さなネイルサロンが心に希望の色を添えていきます。

中村さん
「気軽にふらっと入っていただいて爪のケアしに来たよとか、きょう、ちょっとおしゃれしたいな、という感じで言ってもらえるような場所に
 したいと思っています」

能登半島地震から2年4か月が過ぎた今も、被災地の復興、復旧は道半ばです。そんななか氷見市では、新たに事業を始める若い世代が増え、昨年度は25件が創業しました。中村さんは今後も、氷見で店を営業しながら能登に通うということです。