助けてください――

これは台風19号通過後の2019年10月14日、九州大学(福岡市)の食堂「メインダイニング」に掲示されていた貼り紙だ。

一体何があったのか。その内容はこうだ。


辛い(画像はうえむら@healslime1202さん提供)

「九大祭中止で、生協に予約されていた食材のほぼすべてがキャンセルになりました。
店内にて特価で販売中。
発注ミスとかじゃないのに。台風のあほ」

なんと台風の影響で学園祭(12、13日)が中止となり、キャンセルとなってしまった食材を安く販売しているという。台風の進路から外れていたとはいえ、参加者の安全確保を優先したのだろう。準備をしてきた学生たちも残念だったに違いない――関係者の誰もが感じた正直な気持ちが、「台風のあほ」の一言に凝縮されている。

ツイッターユーザーのうえむら(@healslime1202)さんは10月14日この写真を投稿、大きな反響があった。ほかのユーザーからは、

「頑張って売り切ってください!」
「台風のあほ。が可愛いね。皆で買って助けてあげればええんやけどね」
「ガッツリ仕入れたのに玉砕した担当者の悲しみたるや...ごはん一杯食べてあげてください」

といった応援の声が寄せられている。

その後食材はどうなったのか。Jタウンネットは17日、九州大学の広報室を通して生協担当者に詳しい話を聞いた。

対象品はその日のうちに完売

担当者によれば、食材は11〜13日の3日間に分けて学生が受け取れるようにしていた。11日の分は引き渡したが、12、13日においてはすべてキャンセルを受け付けた。

キャンセル分の食材は原則食堂で扱ったが、傷みやすい豆腐、焼きそば麺、もやし、キャベツ、大根等の商品においては、今回の処分販売に回した。処分販売はメインダイニングのみで行っていたという。

売れ行きについて聞いてみると、

「処分販売対象品はその日(14日)のうちに完売しています。廃棄はありませんでした」

とのこと。安い値段で売っているため赤字ではあるが、廃棄がなかったのはせめてもの救いだ。

ツイッターで話題になったPOPだが、なかでも注目を集めたのが「台風のあほ」と言うワード。生協担当者はこう記載した理由について、

「正直な感想です。他意はありません」

としているとのこと。

来年は無事に開催されることを祈るばかりだ。