夏休みの予定は決まりましたか? 家族一緒にお出かけするのは楽しみな反面、行楽地での迷子、行き慣れない海や山でのトラブル、暑さが続くなかでの熱中症や食中毒、公園での害虫被害や家遊びでの事故など、レジャーでも日常でも、あちこちに思いがけない危険がいっぱいで心配になりますよね。

セコムIS研究所リスクマネジメントグループ主務研究員の舟生岳夫さんとAllAbout「アウトドア」ガイドの渡部郁子さんに、レジャーにおける「こんなときどうしたらいいの?」という疑問に答えていただきました。

【レジャー編】夏のお出かけは危険がいっぱい!知っておきたいトラブルと対処法



Q:子どもとテーマパークに行く予定ですが、迷子が心配です。

迷子になったときの対処法を子どもに覚えさせましょうA:まずはスタッフを覚えさせましょう。
混雑する行楽地で迷子になったときにもっとも怖いのは、知らない人について行ってしまうこと。
「いい人と悪い人の識別は、子どもには難しい。ユニフォームやバッジといったスタッフの目印を最初に覚えさせ、『迷子になったらすぐ目印の人に相談する』と約束しておきましょう」(舟生さん)
見つけやすい大きなオブジェや背の高い時計など、移動した先々ではぐれたときの待ち合わせ場所を決めておくのもおすすめです。

●“陰”の多い駐車場は誘拐多発地点。親子がバラバラにならないで
駐車場は、クルマより背の小さい子どもを見失いやすい場所です。
「口をふさいでクルマに引き込めば声も聞こえないし、誘拐犯には好条件。けっして1人で先に行かせず、手をつないで移動してください」(舟生さん)

●夏祭りや花火大会では屋台の人にSOSを
夏祭りや花火大会で連れ去りなどの心配が少ないのは、仕事中である屋台の人。
「運営事務所などに連絡してくれるはずなので、迷子になったら相談するよう子どもに伝えておきましょう」(舟生さん)

Q:川遊びのときに気をつけることは?


A:怖いのは「あっという間の増水」。前日と上流の天気を確認して
当日晴れていても、前日が雨だと、増水していたり、材木が流れていたりする危険性があるので、川遊びは避けるのが基本。
「川遊び中に上流の方で黒い雲や入道雲が発達しているのに気づいた場合も、すぐに撤収を。もし、その雲が雨を降らせていたら、増水して下流に一気に流れ込んでくる可能性があります」(舟生さん)
浮き輪にロープをつないだものを持っていくなど、いざというときの備えも忘れずに。

Q:海で泳ぐときに気をつける生き物はありますか?
A:合いやすい危険な生物を覚えておいて

海水浴場で遭遇しやすく、刺されたりかまれたりすると危険な生き物は下の4つ。症状や対処法をきちんと把握しておきましょう。
「どれも基本的に海中にいますが、ガンガゼとヒョウモンダコは岩場に潜んでいることが多いので足元の確認を。クラゲはよく浜辺に打ち上げられていますが、死んだクラゲにも毒があるのでむやみに触らないように」(渡部さん)

応急処置は、ビーチの管理所でわかる人にお願いするのも手です。

●クラゲ


多いのはアカクラゲやアンドンクラゲなど。刺されると痛みやかゆみが。患部を塩水で洗い、クラゲ用の虫さされ薬を塗って。

●ガンガゼ


ウニの仲間で、トゲが刺さると強い痛みと腫れが続く。ピンセットでトゲを抜き、水で洗ったあと、消毒して化膿止めを塗る。
●アカエイ


尾のつけ根に鋭いトゲがあり、刺されると激しい痛みが。強毒なので、ピンセットでトゲを抜き毒を絞り出したら、病院へ。

●ヒョウモンダコ


とても小さく、興奮すると体に青い斑紋が浮き上がるのが特徴。フグと同じ猛毒をもつので、痛みが弱くてもかまれたら病院へ。

Q:山や川でよく見る生物。危険なのは?
A:見えたら近づかない方がいい生物はこの4つ

「山中の流水や湧き水、川など、きれいな水場に頻出するのがブヨとアブとマムシ。マムシはやぶの中に潜んでいることも。山ではスズメバチの巣を見つけたら要注意です。これらは毒をもち、刺されたりかまれたりすると、重症化することもあるので、近づいたり触ったりしないように!」(渡部さん)

具体的な症状や対処法は右のとおり。毒を口で吸い出す場合は、毒を飲み込まないよう十分に注意し、すぐに口をすすぎましょう。

●ブヨ


刺されるとかゆみ、痛み、ひどい腫れが続く。患部を水でよく洗いなるべく早めに毒を吸い出すと、症状が軽減しあまり腫れずにすむ。

●アブ


刺されるとかゆみに加え出血を伴うことも。毒性は弱いので、患部を水で洗い濡らしたタオルや保冷材などで冷やせば症状が軽減する。

●スズメバチ


刺されると激しい痛みや腫れのほかアナフィラキシーショックを起こすことも。すぐに患部をよく洗い、毒を吸い出す。

●マムシ


かまれて体内に毒が入ると激しい痛みや腫れが起こり、数時間後には毒が回り全身に異常を来す。かまれたらすぐに病院へ。

Q:山で遭難しないためにおすすめのものは?


A:山地図のスマホアプリと、カラフルな服がおすすめです!
ハイキングコースを少し離れ、森や雑木林に足を踏み入れた途端、自分の居場所がわからなくなってしまうのが山の怖いところ。
「遭難予防には、電波が届かないところでも山地図が見られ、現在地を確認できる登山用アプリがおすすめ。GPS機能がついていれば、万が一遭難してしまったときに居場所を見つけてもらいやすいというメリットも」(渡部さん)

服装は、山中で目立ちやすいカラフルなものを!

登山で役立つスマホアプリ3選

●「山と高原地図」
登山・ハイキング用の地図『山と高原地図』がスマホで見られる。コースタイムやトイレの場所、高山植物の見どころなど情報満載。

●「YAMAP」
全国各地の山地図がスマホで見られ、パソコンにダウンロードも可能。登山の記録や写真を投稿できるSNS機能も充実している。

●「ジオグラフィカ」
国土地理院の山地図を保存できる。音声によるルート案内や、表示した地図が自動でアプリ内に保存されるのが便利です。

●教えてくれた人
【舟生(ふにゅう)岳夫さん】

セコムIS研究所リスクマネジメントグループ主務研究員。キッズデザイン協議会理事。2児の父であり、「子どもの安全ブログ」
のモデレーター。

【渡部郁子さん】
AllAbout「アウトドア」ガイド。ラジオでアウトドア番組を担当し、新聞や雑誌などでも活躍。6歳の長男とアウトドアライフを楽しんでいる。

<イラスト/野田節美 取材・文/ESSE編集部>