自宅の駐車場が無断で「幼稚園バス」の送迎場所にされた…「邸宅侵入罪」成立の可能性も? 止めさせるための対処法は【弁護士解説】
「え…自宅の駐車場が全く知らん人の幼稚園バスの送迎場所にされてるんやけど…」
先日、上記の文章で始まる一連の投稿がXで反響を呼び、「これ私の家もされたし車出そうとしたら退かせとかわけわからんこと言われてびっくりした」「私も全く同じ被害に遭って投稿したことがあります」「これ知人も被害に遭ってた」など、同様の経験をしたことがある人たちの声が次々と寄せられた。
幼稚園バスから園児が乗り降りして受け渡しが行われる「送迎場所」は、園児の家族が住む家の前の公道であることが多いが、家の前の道路が狭い場合などには離れた地点となることもある。
しかし、公道ではなく他人の所有する駐車場を、持ち主の許可なく送迎場所にするという行為に法的な問題はないのだろうか。
「邸宅侵入罪」や「不法行為」に該当する可能性刑法や民法に詳しい杉山大介弁護士によると、「邸宅侵入罪」(刑法130条)においては建造物である「邸宅」そのものだけでなく、周りの囲繞地(いにょうち)も、侵入が罪に問われる対象となる。
刑法130条に関する囲繞地(※)とは、門・塀・生け垣などで囲まれ、建物に付属してその利用に使われている土地のことだ。
※民法210条以下に関する囲繞地は刑法と異なり、「他の土地に囲まれて公道に通じていない土地(袋地)にとって、その土地を囲んでいる土地」を指す
外から見て「内側」と「外側」の区別を認識できるだけの囲われた形状があるなら「囲い」として成立するため、高さのないブロックなどによる囲いであっても「囲繞地」と認定されて、侵入罪の成立が認められたケースがあるという。
したがって、自宅の駐車場がブロックなどによって囲まれており、外から見て「ここは駐車場の内であって他人に利用させるつもりはない」と容易に認識できる場合には、駐車場の持ち主の許可なく、園児を受け渡すという目的で保護者や幼稚園バスがその駐車場内に立ち入る行為は邸宅侵入罪に該当する可能性がある。
なお、邸宅侵入罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金だ。
さらに、駐車場の持ち主の所有権を一時的に侵害していることから、民法上の不法行為(民法709条)にも該当する。
止めてもらうためには「幼稚園」に連絡自宅の駐車場が幼稚園バスの送迎場所に使われる行為を止めてもらいたい場合、どのように対応すればいいだろうか。
杉山弁護士によると、まずは園児の保護者ではなく、幼稚園バスの持ち主である「幼稚園」の責任者に「勝手に駐車場に侵入しないでください」「勝手にバスを止めないでください」などと申し入れるべきであるという。
「駐車場の持ち主は、その所有権に基づきシンプルに『自分の所有物である駐車場を勝手に使うな、勝手に入るな』とだけ主張すれば良いということです。
その後の『ならばどこを幼稚園バスの送迎場所にするか』という問題は、幼稚園と園児の保護者との間で協議されるべきものであり、駐車場の持ち主が関与する筋合いのものではありません」(杉山弁護士)
結論を言えば、駐車場の持ち主は、自分の土地が他人の家の園児の送迎に使われることを望まないのであれば、法律上それをやめさせる権利があるということだ。ただし、無用なトラブルを避けるためにも、園児の保護者に直接注意するのは避けて、まずは幼稚園に連絡をしてみよう。
なお、冒頭で紹介した投稿については、翌日にはトラブルが解決したと報告されていた。
