「合法的な一般人」のフリで稼ぐ匿流に勝てない…暴力団の”社会的不自由”が加速させた人材流出と世代交代

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かつて20万人もの構成員を擁した暴力団。

覚せい剤の輸入や賭博、みかじめ料の徴収で莫大な収益を上げ、1980年代の年間収入は推計8兆円に達したと言われる。だが平成に入って以降、暴対法の制定や警察の行き過ぎた捜査、メディアによる批判的な報道が原因となり、暴力団は衰退の一途をたどってきた。

では、暴力団が社会から消えていくことは、我々一般国民にとって「良いこと」だけなのだろうか?しばし「必要悪」として語られてきた“やくざ”の実態を、『やくざは本当に「必要悪」だったのか』より一部抜粋・再編集してお届けする。

やくざか匿流か

中学、高校の頃からワルで、勉強に興味が持てず、少年院を経験しているような人が社会人になるとして、どういう道に進むのか。あるいは大学を出て、あるいは休・退学して、一度は会社勤めを経験したものの、なにかの拍子にアングラ社会に踏み込み、これからは反社で行くと考えた人が選ぶのはやくざの道か、匿流(匿名・流動型犯罪グループ。従来の半グレも含める)の世界なのか。

やくざへの道を選ぶ者は少年院や街で知り合った先輩を含む仲間がやくざに入り、その誘いを受けたからといった理由が多いだろう。過去、何らかの形でやくざとの接点がなければ、入らないケースが多い。

匿流への道も、仲間がなにか匿流っぽくて、一度ご馳走になったことがあるとか、これまでの交わりの中でカネ払いがよく、なんか懐が暖かそうだとか、話が合う、気も合いそうとか、そういう人間関係の中で選ぶ進路にちがいない。

匿流が選ばれるワケ

さて、若い人がこれから選ぶのはやくざか、匿流か。志望者が多いのはやはり匿流のほうだろう。志望者にもニュースや、街での評判が耳に入っている。

やくざは貧乏なのが多いらしい、入っても親分や兄貴分に日常生活からして絞られるようだ、街でタダで飲める店とか遊べる店とかありそうにない、やくざの世界で出世するためにはえらくカネを稼ぐか、抗争で働きを見せるか、2つに一つのようだが、稼げるシノギはほぼ見つかりそうになく、これから抗争が起こるかも当てにできない。

一生下積みならやる意味がない。だいたい新規に銀行口座を開設できないらしい。組員になると、ETCカードも持てず、高速道路さえ利用できないらしい。携帯電話を持てるかも怪しい。アパートさえ借りづらいと聞く。ちょっと蓮っ葉な女にはもてそうだが、普通の女には相手にされない。--など、やくざにはマイナス情報がごまんとある。

対して匿流のほうにはマイナス情報が少ない。だいたいどこの誰が匿流で稼いでいるのか、自分の知り合いに匿流がいるのか、いないのか、情報がゼロである。

複雑化する匿流の実態

かといって、SNSで闇バイト募集の告知を見て、応募して知り合いになり、指示通り働いて、そのうち仲間に入れてもらうという手は使えそうにない。

匿流にとって闇バイトに応募するような連中はゴミであり、使い捨てである。そんなものになっても、仲間に入れてもらえないし、出世もできないようだ。だけど匿流になっても法律上は一般人のままだから、やくざとちがって日常生活に不便を来すってことはないだろう。

しかし匿流に知り合いがないなら、自分と遊び仲間の誰々と誰々なんかが組んで、匿流を始める手があるかもしれない。特殊詐欺なんか素人が手を出してもチョロいだろう。しゃべくりが上手ければ、年寄りなんか簡単にだませる。俺は幸い子供のころから口が達者だ。大丈夫、やれると考える者も出てくるかもしれない。

こういう素人から発したニワカ匿流も現実にいるから、匿流の実態はますますわからなくなる。

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