「アルテミス計画」が描く2030年代・有人火星着陸へのマイルストーン!これからの宇宙探索はどうなる!?【眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話】
これからの月探査はどうなるの?
国際プロジェクトで各国が協力して探査
アポロ計画終了後、月や惑星への有人飛行は中断されていました。しかし、近年、月探査がまた世界的に加熱しています。
その発端はアメリカが2004年に発表し、国際宇宙ステーションの輸送や月着陸などを計画していた有人月探査計画「コンステレーション計画」でした。しかし予算の問題もあり、この計画は頓挫しました。ところが、2014年に「アルテミス計画」と名を変え再開されました。
この計画では、2025年に初の女性宇宙飛行士による月面着陸。その後は、月に物資を運び、多国間で月周回軌道上に有人の宇宙ステーションである「ゲートウェイ」という拠点を築き、ここを拠点にした月の地質や環境の調査、月での人間の長期的居住の研究などを目指していました。
月面探査だけでなく、2030年代に火星有人着陸を目標に掲げ、月を中継地点に火星やほかの惑星探査などの宇宙開発を進めていく計画です。
はじめはアメリカ単独のプロジェクトでしたが、アメリカ航空宇宙局(NASA)とNASAが契約する米国の民間宇宙飛行会社、欧州宇宙機関(ESA)、カナダ宇宙庁(CSA)、オーストラリア宇宙庁(ASA)、ロシア、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが参加を表明していて、現在は国際宇宙開発プロジェクトとして進められています。
着々と進むアルテミス計画
アルテミス計画第1弾(アルテミス1)として、2022年にNASAの有人宇宙船「オリオン」が、無人飛行で月面に近づき、深宇宙環境での点検が行われました。
オリオン宇宙船はアルテミス計画や、将来の火星探査も想定してNASAが開発した有人宇宙船です。この飛行により、オリオンは地球から26万8563マイル(約43万2210キロメートル)のポイントに到達し、有人飛行用に設計された宇宙船が到達した最遠距離を記録しています。
2024年5月に予定されているアルテミス計画第2弾(アルテミス2)では、その後新たに開発が加えられたオリオンにNASAの宇宙飛行士3名と、CSAの宇宙飛行士1名の計4名を載せ、月周回飛行を行う予定です。
アルテミス計画第3弾(アルテミス3)は、初の女性と白人ではない人種の2名の宇宙飛行士を月面に着陸させ、長期的な月探査を行う予定となっています。
しかし、予算の問題や技術開発の遅れに加え、2019年ごろからはじまった新型コロナウイルス感染拡大により、2025年の実現を目指していたこの計画ですが、2026年以降になる公算が高いといわれています。
いずれにせよ、もしこの計画が実現できたら、月面に人が降り立つのは、アポロ計画以降約50年ぶりとなります。
◉ アルテミス計画 ◉
ゲートウェイとオリオンの構築には5つの国の宇宙機構と欧州宇宙機構の参画が決まっている。日本はESAと共同で国際居住モジュールの建設などを担当予定。NASA(アメリカ航空宇宙局)、ESA(欧州宇宙機関)、JAXA(宇宙航空研究開発機構/日本)、CSA ASC(カナダ宇宙庁)、ROSCOSMOS(ロスコスモス/ロシア)。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』 監修:渡部潤一
【監修者紹介】
渡部潤一(わたなべ じゅんいち)
1960年、福島県生まれ。1983年、東京大学理学部天文学科卒業、1987年、同大学院理学系研究科天文学専門課程博士課程中退。東京大学東京天文台を経て、現在、国立天文台上席教授。総合研究大学院大学教授。国際天文学連合副会長。太陽系天体の研究のかたわら最新の天文学の成果を講演、執筆などを通してやさしく伝え、幅広く活躍している。主な著書は、『最新 惑星入門』(朝日新書)、『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』、『新しい太陽系』(新潮新書)など多数。
