SteelSeries Arctis Nova Elite レビュー:この値段なら素晴らしくないと困っちゃう
SteelSeries Arctis Nova Eliteほど多機能で、かつ高価なゲーミングヘッドセットはほとんどありません。
特別なGameHubが付属していて、最大で3台のコンソールまたはPCを同時に接続して、あらゆるデバイス間をシームレスに切り替えられます。価格は600ドル。今年聴いた中でも最高級のプレミアム音質を備えながら、小さな気配りが満載で、他の機能と相まって操作がとても簡単になっています。私が使った中でダントツに高価なゲーミンヘッドセットですが、正直気に入ってしまったことを認めるのが余計に悔しいです。
長所
・音楽にもゲームにも優れたサウンド
・すべてのコンソールに同時接続可能
・Bluetoothを4台同時接続
・バッテリーが簡単に交換可能
・快適なイヤーパッド
短所
・側圧が強い
・とにかく高い
SteelSeries Arctis Nova Eliteは、その価格が過去最高クラスですが、まったく前例のないことをしているわけではありません。400ドルのLogitech G Astro A50 Xは大型ベースを使って映像パススルーに対応し、あらゆるデバイスを1か所にまとめて接続できました。より新しい180ドルのAstro A20 XはArctis Nova Eliteと似たことをしますが、ミニベースステーションの出力は3系統ではなく2系統だけです。
SteelSeriesの超プレミアム機は、ヘッドセット設定を表示するミニOLEDスクリーンを採用した初の製品でもありません。400ドルのRazer Kraken V4 Proのベースステーションは追加のコンソール/PC出力こそ欠きますが、デスクに置いたときの金属フレームの質感はSteelSeriesのプラスチックより高級に感じられます。
SteelSeriesは、Japan Audio Societyの認証を受けたことを根拠に、これが初の「ハイレゾ」ゲーミングヘッドセットだと強調していました。しかし、他社もゲーミングヘッドセットでオーディオマニア級の体験をうたっています。GizmodoのシニアライターJames Peroは最近、360ドルのVZR Model One MK IIハイファイヘッドセットをレビューしました。私の耳はいまだに、クラス最高のSony WH-1000XM6と同じドライバーを使うSony Inzone H9 IIの鮮やかな音色に戻りたがっています。つまり、オーディオファン向けの音を持つゲーミングヘッドセットがこれで初、というわけではありません。
その代わり、Arctis Nova Eliteは、私が使った中で「全部入り」の初めてのゲーミングヘッドセットです(いわゆるエブリシング・ベーグルのように、全員に刺さるわけではありませんが)。上質なアクティブノイズキャンセリング(ANC)を備えていますが、クラス最高というわけではありません。でも、音質は間違いなくトップクラスです(純粋なゲーム用の至福さで言えば、私はまだSony Inzone H9 IIを好むかもしれません)。あらゆるデバイスへの接続がシームレスで、同時に4系統のオーディオストリームに対応します(ただしデバイスごとに個別のイコライザー設定を調整するには、スマホにArctisアプリ、PCにGGアプリのダウンロードが必要)。Arctis Nova Eliteは、自宅の決まった場所で遊ぶ“専業ゲーマー”のための製品です。そのごく限られたケースでは、これまで使った中でも最高のヘッドセットのひとつです。
なんでもこなせる最良機?
この話題を避けては通れません。Arctis Nova Elite単体の価格は、値上げ後のPlayStation 5本体より高いのです。私はSteelSeriesのヘッドセットをいくつも使っており、そのデザイン哲学は把握しています。実質的に、Arctis Nova EliteはNova Pro Wirelessのアップグレード版で、金属フレームと金属製ボリュームホイールを備えています。クリーム×ゴールドの配色はとりわけ映えます。ただ、デザインから「この値段の価値がある」とは必ずしも読み取れません。
肝心なのは音で、そこがArctis Nova Eliteの強みです。ツインのカーボンファイバードライバーは、デフォルトでもクリアな音像を提供します。ワイヤレスでロスレスの24bit/96kHzに対応しますが、Xbox Series XやPS5は16bit/48kHzに制限されます。数時間聴き込むうちに、さまざまなジャンルのタイトルで試すことで、Arctis Nova Eliteの真価が見えてきました。
毎朝AirPodsを耳に突っ込むのが習慣になっているなら、専用のハイファイヘッドセットから流れる高品質な音に、思わず涙ぐむかもしれません。何度も聴いた曲でも、丹念に仕込まれた微細なニュアンスに気づくようになります。音質に執着する人がいるのには理由があります。いったん山頂に到達してしまうと、岩場と雑草の世界に戻れないんです。
また、Arctis Nova Eliteをスマホに接続しても、PCやコンソールから切断する必要はありません。ヘッドセットの中で生活するのが楽になります。ただ、長時間は耐えられませんでした。メモリーフォームのイヤーカップは耳を包むような枕のような柔らかさでふかふかですが、完璧な密閉のために他の製品よりも頭をきつく抱え込もうとしてきます。使っているうちに目と目の間に圧迫感が増してきて、合間に休憩を取らざるを得ませんでした。
Arctis Nova Eliteは、これ1台で十分なゲーミングヘッドセットになり得ます。とはいえ、複数台を使い分ける人はあまりいないと思います。SteelSeriesは、ソファやデスクから離れているときでもオーディオの相棒になれると提案しています。ゲーミングヘッドセットには、満足感のあるマグネット式の留め具でパチッと閉まる、柔らかいフェルト張りのポーチが付属していて、ハードケースのようなもっと保護力の高いものが欲しければ、別途購入する必要があります。
ゲームごとに微調整が必要
ゲームに合わせてアプリでEQプロファイルを調整しないと、全体として体験がかなり悪くなります。SteelSeriesは、人気作はもちろん、まさかと思うようなタイトルにまで、ばかげたほど多くのゲーム別プロファイルを用意しています(『Doki Doki Literature Club!』用のプリセットまであるくらいです)。例えば『サイバーパンク2077』のセーブをロードして、低音プリセットなしで入ると、マシンガンの発砲音をしっかり響かせるのに欲しいレベルからは程遠くなるため、ベストな体験を求めるなら、ゲームごとに手動で設定を切り替える必要があります。
必然的に、EQプロファイルがまだ用意されていない新作に出くわすこともあります。私は『The Outer Worlds 2』をプレイ中ですが、そのサウンドトラックは神秘とノスタルジーが半々といった感じ。Arctisアプリの「フラット」プリセットでも決して悪くはありません。ただ、心の奥底では、つまみを少し回せばもっと良くなるはず、と思っています。プリセットのEQオプションをスクロールしていくと、耳にしっくり来るものが1つか2つ見つかるはず。例えば私は『Gears of War: Reloaded』を、『Call of Duty: Black Ops 6』のプリセットでプレイしたところ、標準プロファイルよりずっと良く聞こえました。
本体の操作系には、電源兼ANCボタン、マイクミュート、Bluetoothオン/オフ、そして金属製のボリュームホイールがあります。少なくともGameHubでは、USBの第1入力と第2入力の間で音量ミキシングの切り替えや調整が可能です。Bluetoothと2.4GHz接続の切り替えも大した操作は要りません。ただし、ヘッドホンで電話を受けたい場合は、右イヤーパッドのBluetoothボタンを押す必要があります。
SteelSeriesの「フラット」プロファイルは、音楽やビデオ通話などほとんどのリスニングには問題ありません。同僚と通話したとき、彼らは私の声が非常にクリアだと言っていました。完全ではないにせよ、ポッドキャストレベルの明瞭さです。伸縮式マイクにポップフィルターすら付けていないのに、これは見事。
マイクは16bit/32kHzで録音でき、自分の声を聞き返しても品質が良いことを確認できました。左イヤーカップには追加のミュートボタンがあり、フレンドとゲーム中や仕事仲間と会話中に、背後の雑音を避けたいときに使えます。繰り返しになりますが、家ではこれを“なんでもヘッドセット”にできても、長時間着けているのはきついです。
バッテリー持ちが良い? いや、バッテリーを増やしただけ
この設計には良い点が多くありました。デスクトップと私の間に壁が1枚ある状態で、GameHubから約9メートル離れても、真横に立っているかのようにゲーム音をはっきり聞けました。複数の壁を挟んだときに初めて音が乱れ始めました。
ANCは十分に強力で、隣で話している同僚の声を何度も聞き逃したほどです。ANCをオンにすると、最近レビューしたAcer Predator Triton 14ゲーミングノートのうるさいファンの轟音も聞こえませんでした。それでも、遠くの消防車のサイレンのポップ音や、部屋の向こう側で上司がしている会話の大きな音など、環境音がたまに聞こえることはあります。Arctis Nova Eliteは、川のせせらぎを無視して巣ごもりしたいゲーミング洞窟には十二分です。ただし、Bose QuietComfort Ultra Headphones(第2世代)のようなハイエンドANCワイヤレスヘッドホンがもたらす、感覚遮断室のような無音体験には及びません。
Arctis Nova Eliteに足りないものが1つあるとすれば、600ドルの値札に見合うバッテリー寿命です。SteelSeriesは最大60時間のアクティブリスニングをうたっていますが、それは2本のバッテリーを使った場合の話です。GameHubには、同梱の2セルのうち1本を収められる小さなコンパートメントがあり、右側イヤーカップのマグネット式カバーを外すとバッテリーが現れます。厳密にはホットスワップ対応ではなく、バッテリーを取り外すと音は止まります。充電されたバッテリーを差し込めば、即座にヘッドセットが起動し、各種接続へと戻れます。比較として、300ドルのHyperX Cloud Alpha 2ワイヤレスは、充電が必要になる前に250時間も持ちます。
本体より高い価値はある?
これまでに何度も、より安い他社製ヘッドセットを引き合いに出してきたのは、今のゲーミングヘッドセット事情を説明するためです。私が試した中で、SteelSeriesの価格帯に届くものはありません。ハイファイオーディオを謳う、あるいはいくつものコンソールに同時接続できると謳うゲーミングヘッドセットは他にもありますが、両方を1つのパッケージで実現しているのは、私の知る限りArctis Nova Eliteだけです。すべてのゲーミングデバイスを1か所にまとめているなら、これ以上に欲しいヘッドセットは思い浮かびません。
とはいえ、私個人としては、どんなヘッドセットにも600ドルは出せません。仮にSteelSeries Arctis Nova Eliteを選ぶとしても、2.4GHz接続よりもBluetoothを使う場面が多くなることを受け入れられるか考えるでしょう。私にはPS5とNintendo Switch 2があり、入れ替わり立ち替わりでPCも試せますが、実のところ一番時間を費やすのはハンドヘルドでのゲームです。持ち物すべてに対応するヘッドセットを求める、ゲーミングチェアに貼りついたような人も確かにいるでしょう。そういう人にとって、Arctis Nova Eliteより良い選択肢は思いつきません。

Source: SteelSeries
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