キャリアに関する調査結果

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 スーツから作業着へ。キャリアの流れは一方向ではなくなりつつある。かつては安定の象徴とされたデスクワークから、あえて現場へ移る動きが静かに広がっている。その背景には、技術の進化がもたらす別種の不安がある。

 レバレジーズ株式会社の調査(2026年3月、インターネット調査、回答者724人)によると、現在ブルーカラー職に就く人のうち20.4%がホワイトカラーからの転職者だった。製造業が45.4%、建設業と物流・運輸がそれぞれ20.6%を占める構成で、職歴や学歴を問わず多様な人材が流入している実態が示された。

 転職理由の上位には『手に職がつく』が13.7%で挙がる一方、20代では『AIに代替されにくい安心感』が14.5%と目立つ。将来の不確実性が高まる中で、デジタルでは置き換えにくい技能を求める志向が若年層に広がっている。人手不足のイメージも後押しとなり、現場職が安定した選択肢として再評価されている。

 ただし、実際の働き方への評価は一様ではない。収入面では『生活を支えられる収入が得られる』が40.9%で最多となり、技術の活用や成果の可視性に納得する声もある。一方で『給与水準が低い』が30.7%、『体力的にきつい』が23.1%と、負担の大きさも浮き彫りになった。就業前後のイメージについては『ギャップはなかった』が41.0%だったが、それ以外は評価が分かれ、待遇や環境に対する受け止めの差が残る。

 興味深いのは、AIに対する見方だ。現在の仕事が将来AIに代替される可能性について、『そう思わない』が35.2%で、『可能性がある』の29.0%を上回った。デジタル化が進む中でも、現場での作業には人の関与が不可欠だという認識が一定程度共有されている。

 そのためか、今後のキャリアでも現職の継続や同職種内での移動を考える人が多く、ホワイトカラーへの再転向を望む声は16.6%にとどまる。職種間の移動は一時的な回避ではなく、新たな定着の形として進んでいるようにも見える。

 AIの普及は仕事を奪うのか、それとも選び直す契機となるのか。今回の結果は、後者の側面を映し出す。画面の内側から外側へ。人の手が関わる領域に価値を見いだす動きは、今後も続く可能性がある。