【編み物中毒者 kiho.さんインタビュー】きっかけは祖母のかぎ針セット。kiho.さんが届けたい、編み物の楽しさ
2月初旬、「編み物中毒者 kiho.さんとつくる かぎ針編みのこもの」が開催されました。全3回にわたってお届けする編み物ワークショップのレポート。最終回は、楽しい時間をつくってくださった講師のkiho.さんに焦点を当てます。
取材・文:庄司靖子 写真:奥陽子 協力:ハマナカ、foglinenwork
緊張からはじまったワークショップは、あっという間に打ち解けた雰囲気に
編み物をはじめて約2年半というkiho.さんは、元々絵を描くのが好きというだけあって、糸の組み合わせやデザインに独自のセンスを光らせ、InstagramやYouTubeでも大人気。
『かぎ針編みの編み図が読めるようになる本』にもシュシュやネットバッグなどの作品を発表しており、今回のワークショップでは2冊の本から「シュシュ」と「アフリカンフラワーモチーフのバッグ」にアレンジを加えた作品をテーマに選びました。
午前10時、kiho.さんにとってはじめてのワークショップがスタートしました。
開始前は「緊張しかありません!」と言っていたkiho.さんですが、参加者さんが会場に入ってきた途端、みなさんがお持ちのニット小物に反応し、さっそく「編まれたんですか?」と質問。そこで会話がはじまり、すぐに距離が縮まります。経験も年齢も違う人が集まって、あっという間にコミュニケーションができるのもワークショップの楽しいところ。何より、人と人をつなぐ、オープンマインドなkiho.さんの人柄のおかげで、打ち解けた雰囲気が生まれました。
実家にあったかぎ針セットで編み物に挑戦
kiho.さんが編み物をはじめたのは、妊娠中、それも臨月のときでした。
「娘がお腹にいるとき、実家に帰っていて暇だったんですよ(笑) 実家に、祖母が使っていたかぎ針セットがあって。ふと、いまなら編み物をはじめられるんじゃないか?と思ったのがきっかけです。編み物が得意な地元の仲のよい友だちに連絡し、手取り足取り教えてもらいました」
教えてもらったのはその一度きり。その後はインターネットの動画を見ながらひたすら編む練習をしたそうです。
動画を見て編めるようになったからこそわかる参加者さんの気持ち
動画を参考に編み物をはじめたkiho.さんだからこそ、今回のワークショップに参加してくださったみなさんの「編み図がよくわからないけど大丈夫かな……」という気持ちが理解できます。
シュシュやモチーフを編む参加者さんが間違えてしまったときや編み方がわからなくなったとき、自分も経験したことなので「ここ、よくわからないですよね!」と共感しながらアドバイスすることができます。だからワークショップの雰囲気は終始なごやか。
「出産後は短時間で起こされるのが辛くていっそ寝るのをやめよう!と思いベッドの中でずっと編んでました」など、ご自身の体験を披露してくれるので参加者さんも共感したり、ホッとしたりし、笑顔に。また、自分で考えて生み出したコツなどを惜しげもなく伝えていきます。
「先生と呼ばないでくださいね。先生じゃないので!」といったかと思えば、自分よりも編み物歴が1日でも長い人には「師匠と呼ばせてください!」とお願いする……。そんなフレンドリーでユーモラスなやり取りも、kiho.さんらしさ。
natsukiさんとの出会いと編み図への挑戦
kiho.さんは編み物の基礎がわかってきた頃に、編み物作家natsukiさんのYouTube動画と出会いました。「実用的な何かを編みたい!」と、調べていたときにヒットしたのだそうです。以来、natsukiさんのわかりやすい動画とかわいい作品のとりこに。
その後、natsukiさんとは『かぎ針編みの編み図が読めるようになる本』の著者という立場で共に本の制作に携わることになりました。
「natsukiさんのYouTubeがなければ、いまこうして楽しみながら編み物を続けてはいなかっただろうなと思います」というkiho.さん。『かぎ針編みの編み図が読めるようになる本』で憧れのnatsukiさんと一緒に仕事できたことは「いまでも信じられないできごと」。そして、感謝を直接伝えられたことが何よりもうれしかったそうです。
動画を参考に編み物をはじめたkiho.さんが “編み図” を制作したきっかけは、「編み図をシェアすることで私のアカウントがフォロワーさんにとって少しでも充実したものになるかなと思った」から。
いまも勉強中という編み図を描くときに大切にしていることは「どんなに不細工な編み図になっても、とりあえずあとで見返しても必ずわかるようにしよう」ということ。自分1人だけでなく、たくさんの方と編み物の楽しさを共有したいという気持ちが伝わってきます。
またワークショップを開催したい
2時間という制限のなか、作品の完成には至りませんでしたが、シュシュの場合は縁編みや引き抜き編み、ミニバッグはモチーフのつなげ方など、最後のテクニックについては後日参加者さんに動画を送るというアフターケアもあり、kiho.さんのやさしさがたっぷり詰まったワークショップとなりました。
はじめてのワークショップを終えたkiho.さんに、今日1日の感想を尋ねました。
「どんな形でもいいので、また開催したい! と強く思いました。編み物仲間と共に過ごす時間はとっても楽しく温かいものですよね。2時間のワークショップでしたが体感は20分でした」
個性を出しながら編み物の楽しさを伝えていきたい
今後の計画や目標についてもお聞きしました。
「YouTubeのHow to動画だけでなく、自分の個性を出しながら編み物の楽しさを伝えられる動画などもつくりたいなと思っています。ほかにはオリジナルデザインの編み物に関するグッズなども少しずつ展開していけたら……なんて夢もあります。目標としては、“手描きの不気味な編み図”を卒業して、 “整ったデータの編み図” をつくれるようになることです!(笑)」
まずは、とにかく編んでみて
最後に、編み物に興味があるけれどなかなかはじめられない人や、編み図のハードルが高くて躊躇している人へメッセージをいただきました。
「まずは、とにかくやってみてください! そして、もし向いてないのかも……と感じたら、一度編み物と距離を置いてみてください。そのうちまたふと “編みたい!” という気持ちが湧いてくると思います。そのときにやってみると案外できたりするものです。私がそうでした。
動画から編み物をはじめた人にとって、編み図はどうしても難しいと思ってしまいますよね。目の前に動くお手本がないから、本当にこの編み方で合ってる!? と不安になるのではないでしょうか。」
「はじめて基本の編み方を習得したときのように、編み図も少ずつ勉強したら必ず自分のものになると信じ、私も絶賛勉強中です! いきなり編み図の全体を見て怯まずに、まずは編みはじめの一部だけを見て編んでみる。編めたら自信がつくので次を編んでみる。これを繰り返してみてください。
編み物が相棒になってから、コミュニティが広がったり、心が落ち着いたり、自分や周りの人を喜ばせることができたり……。本当に素敵な趣味と出会えたと身をもって感じています。
ただし、編み物中毒者になったら、毛糸沼にハマるまでがワンセットなので、そこはご注意くださいね(笑) 」
◆編み物中毒者kiho.さんのワークショップレポート
「シュシュ」はこちら
「アフリカンモチーフフラワーのバッグ」はこちら
