根尾昂は“何者か”になれるのか 投手転向5年目の現在地と飛躍への条件

投手として5年目を迎えた根尾が1軍定着に挑む(C)産経新聞社
飛躍のシーズンは訪れるだろうか。
中日・根尾昂は今年でプロ8年目、投手転向5年目を迎えた。甲子園スターとして「何者か」になった男は、プロ野球選手として「何者か」になれるかどうかの境目にいる。
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昨季は5月に1軍昇格するも、4登板で防御率7.94と結果を残せず。ビハインド要員で投球間隔が空いたり、チーム事情で複数イニングをこなすことがあり、思うような投球を見せられなかった。
反面、2軍ではチームトップの42試合に投げて3勝3敗1セーブ、防御率2.68。巨人とのファーム日本選手権では胴上げ投手に輝いている。
成績だけ見ると、良くて1.5軍、主戦場は2軍の投手。立ち位置としてはそんなところだ。
投手転向後、最も良かったのは2022年の初年度だった。ダイナミックな投球フォームから、150キロ超の速球を連発。リーグを代表するスラッガーに正面から立ち向かっていった。
そこから地道な身体づくりで下半身が大きくなり、「投手の身体」にはなったものの、絶妙に保たれたバランスが崩れていった。短いスパンでフォームの微細な部分が変化し、制球がアバウトになりすぎていった。
ただ、救いがあるとするなら、根尾はキャリアで大きな怪我をしていないのだ。少なくとも投手に転向してから1か月以上離脱したことはない。多くの選手が故障を理由にパフォーマンスが落ちて野球人生に幕を閉じるのだが、この右腕に関してはそのリスクが小さい。
フォームの固定と適切な起用がハマれば、1軍の戦力になれる可能性は十分にある。
今オフもチームの大先輩・涌井秀章主宰の自主トレに参加。大所帯の中でトレーニングを積んでいることが、SNSを通じて伝わってきた。目指すは涌井のような息の長い投手だ。
変化球は24年シーズンに鍛えていたカーブに加え、シュートも習得に向け練習中。球種の少なさが指摘されていたが、使える引き出しはどんどん出していったほうがいい。
すでに春季キャンプの2軍スタートが決まっている。昨秋の高知キャンプメンバーに選ばれていない時点で半ば分かっていたかもしれないが、改めて下からポジションを奪う立場なのだと感じさせてくれる。
やることは明確だ。初日からアピールを続けて開幕1軍、そして年間通しての活躍──。
そうすれば、プロ野球選手・根尾昂は「何者か」になれるはずだ。
[文:尾張はじめ]
