甘え上手な義母_出力_007

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前回からの続き。父さんが急逝した。残された母さんが心配で、俺は1ヶ月だけ妻子とわかれて実家で暮らすことにした。でもときどき遺影の前で「お父さんのところに行きたい」と呟いている母さんが心配で、なかなか側を離れることができない。

男手が必要な用事を頼まれることも多い。妻や子どもたちが寂しがっているのは分かっているけれど、もし俺がいないときに母さんに何かあったら……と思うと、なかなか踏ん切りがつかないでいた。次第に俺は家族から孤立し、実家暮らしが定着してしまった。家族にはせめてもの償いとして、生活費だけはちゃんと振り込んでいる。

そんな生活も数年続き、俺の転勤が決まった。

母「え? ヒロくん、転勤になるの?」

博之「そうなんだ。ちょっと遠いけど△△県に。だから……」

母「じゃあ、私も一緒に行ってあげるわ!」

博之「いや、京香や子どもたちに相談して……」

母「なに言ってるの! 子どもたち、転校になったら可哀想じゃない」

博之「まあ、そうなんだけど……」

母「私も一緒に行ったらヒロくんの身の回りのお世話ができるし、子どもたちは転校しないですむし、それで良しじゃない」

博之「……」

転勤して5年後、俺と母さんは再び地元に戻ってきて、当たり前のように実家で一緒に暮らした。さらに3年が過ぎた頃、母さんに認知症の症状が出始めた。

身体機能も落ち、足取りもおぼつかなくなってきている。1年もしないうちに介護が必要な状態になった。

久しぶりに京香に連絡をとった。

博之「母さんひとり残して仕事には行けないんだよ。悪いけど、介護に協力してくれないか?」



京香はつづけた。「それにあの子たち、もう父親を恋しがるような年齢じゃないわよ」と。

博之「そんな……」

京香「私に嫁の役割として介護するように言ったけど、あなたは夫として父親として、ちゃんと役割を果たしてきた? 生活費さえ渡していれば、家族としての役割を果たしているとでも思っていたの?」

博之「……」

俺たちは離婚した。あっさりしたものだった。大慌てで母さんを預かってくれる施設を探して入居させた。かなり高額な施設だけど、すぐに入居できるのはそこしかなかったから仕方ない。



家族のもとに帰るチャンスは何度もあった。なのに俺はそのたびに母さんに言われるまま動いて、自分の家族を蔑ろにした。いま孤独なのは、自分のせいだ。再び元妻や子どもたちと笑顔で会うために俺はどうすればいいんだろうか……最近はそんなことばかり考えている。

原案・ママスタコミュニティ 脚本・千永美 作画・べるこ 編集・秋澄乃