【藤田俊哉の目】欧州スカウト陣も日本代表をチェック! 3試合でさらに価値を上げたのは?
この日、日本は引き分け以上で自力での突破を決めることができたが、スコアレスドローで迎えた59分にポーランドに先制点を与えてしまった。セットプレーからの失点は警戒していただけに残念だが、その後、日本は乾を投入して反撃態勢を整えていった矢先の74分、同時進行のコロンビア対セネガルの一戦で、コロンビアが先制したとの情報が入ると、西野監督は180度違った方向へと舵を切ったのだ。
ポーランド1対0日本、そしてコロンビア1対0セネガル。このまま両会場のスコアが動かなければ、日本は2位通過できる状況だった。試合終了まで残り15分。セネガルがコロンビアに追いついたら日本の敗退が決まるというリスクを承知の上で、西野監督は目の前のポーランド戦を捨てることを決断した。その後、長谷部を投入して、日本は攻撃を放棄し、最終ラインでの“パス回し”に徹して、タイムアップの笛を待ち続けたのである。
“他力となってしまった”2位通過。欲を言えば、1位突破でイングランドと戦ってほしかったという想いはあるが、グループリーグ突破というミッションをクリアしたことは、日本サッカーにとっても喜ばしいことだ。
冒頭で触れたようにポーランド戦の戦い方について厳しい意見があるのは理解するが、やはりプロサッカーの世界は結果がすべて。目の前の勝負にこだわってグループリーグ敗退という結末が待っていたとしたら、そちらのほうがつらい結果と言える。おそらく西野監督は結果をつかむためにリスク覚悟で決断を下した。そのことが大きな驚きでもあった。
私自身、ヨーロッパに拠点を置いて活動していると、ヨーロッパにおける日本のサッカーの扱われ方に悔しい思いを抱くことが多い。だからこそ、結果を残すことの価値の大きさをつねに痛感している。言うまでもなく、ヨーロッパにおける日本サッカーに対する評価はまだまだ低い。世界やヨーロッパに日本のサッカーを認めてもらうには、こうした世界大会での結果を積み重ねていくしかない。世界と肩を並べるには時間が必要だ。いまの“瞬間”だけで見れば、“負け残り”となったポーランド戦での戦い方に関して、いろんな考え方もあるだろう。しかし、長い“時間”で見れば、グループリーグ突破という結果を残すほうが日本にとって間違いなく重要なことになる。
ワールドカップのレギュレーションは、グループリーグで2位以内の成績を残したチームが、決勝トーナメントへと進むことができるというものだ。つまり、グループリーグというのは、3試合を通してポイントを積み上げていくゲームである。コロンビア、セネガル相手に4ポイントを積み重ねた“貯金”があったから、日本は「他力」だったとはいえ、0対1でも2位通過できる、という選択肢が生まれたのだ。ポーランド戦は、グループリーグ3試合のうちの1試合と考えればいい。グループリーグ2戦で2連敗を喫して、早々と敗退しているチームもいる。ポーランドに0対1で敗れた結果だけで評価する必要はない。
今回、日本はアジアの出場国中で唯一となる決勝トーナメント進出を果たした。日本はブラジルやアルゼンチン、フランスといった世界の強豪国と比べ、その歴史は浅い。1998年のフランス大会で初出場して以降、ワールドカップに6大会連続で参加しているものの、日本にとってのワールドカップ=世界への挑戦という歴史は、まだ24年間しかない。そのうち、日本は2度グループリーグ突破を果たしたが、いずれもベスト16の壁を打ち破れていない。世界のなかでは、いまだにサッカー後進国と見られている日本が今回、ベスト8入りへの挑戦権を手に入れたのである。それこそ価値のあるものだと、私は感じている。

