【解説】米イラン協議は波乱の展開…ホルムズ海峡“再封鎖”影響は
アメリカとイランは21日、戦闘終結に向けた覚書への署名後、初めての協議をスイスで開催しました。協議ではレバノンでの停戦を徹底するための枠組み作りで合意したということです。
■覚書への署名後、初の協議をスイスで開催

戦闘終結に向けた覚書への署名後、最終合意を目指す初めての協議は、スイスで21日に行われました。
アメリカはバンス副大統領、イランはアラグチ外相らが出席し、仲介国のパキスタンとカタールも参加しました。
こうした中、トランプ大統領はSNSでイランに対し、レバノンの親イラン組織「ヒズボラ」によるイスラエルへの攻撃をやめさせるよう要求し警告しました。
イランメディアによりますと、イラン代表団がこれに反発し、協議を一時中断する場面もあったということです。
一方、仲介国のパキスタンとカタールは共同声明を発表し、イスラエルが攻撃を続けているレバノン情勢について、新たな軍事衝突を避けるための枠組み作りで合意したと明らかにしました。
また焦点のホルムズ海峡について、船舶の安全な航行を確保するため、当事者間の連絡体制を設けることで合意したとしています。
さらに、アラグチ外相は、イランの資産凍結解除や戦闘で破壊された施設などの復興に向けて一定の進展があったとの認識を示しました。
■波乱の展開 イラン外相が写真撮影を拒否

ここから日本テレビ国際部の平山晃一デスクとお伝えします。
──協議初日ですが、波乱の展開となったようですね。
そうですね、冒頭から不穏な空気が流れていました。
アメリカの代表団を率いるバンス副大統領は仲介国の首相らと並び立って、「歴史的な会談」だと強調したのですが、イランの姿がここにないんです。

実はその直前、イランのアラグチ外相も同じ部屋に入ってきたのですが、すぐに引き返していきました。アメリカ側との写真撮影や握手などを拒否したというんです。
アメリカのパフォーマンスには利用されたくないと、あくまで強気で交渉に臨む姿勢を示した形です。
■トランプ氏、SNSでイランへの“再攻撃”も 強気な姿勢アピール狙いか

加えてトランプ氏がSNSでイランへの再攻撃もちらつかせたことで、協議は一時中断する事態にもなりました。
──最終合意に向けた協議のさなかで、なぜこのような投稿をしたのでしょうか?
トランプ大統領側も、強気な姿勢をアピールする狙いがあったのかもしれません。
今回のイランとの覚書の内容には、アメリカ国内ではイランへの譲歩が多いと批判も相次ぎ、「最悪の外交」との声も上がりました。
アメリカが負けたと思われないためにも、強気のポーズで注文をつけたとみられます。
■イラン側“再封鎖”主張 航行する船舶数が減少

さらにもう一つの懸念点として、協議直前には、イラン側がホルムズ海峡の“再封鎖”を宣言しました。
──再封鎖で影響は出ているんでしょうか?
実際に出ているとみられます。
貨物データなどを分析する調査会社「ケプラー」によりますと、覚書に署名が行われた後の3日間で1日平均、20隻以上が通過していました。しかし、再封鎖が伝わった後の21日には、10隻に逆戻りしました。影響が出始めている可能性もあります。
■交渉期間は8月半ばまで、不安定な状況は継続か

──交渉が進めば、このホルムズ海峡の不安定な状況は解消される見通しはあるんでしょうか?
なかなか見通せない状況は続きそうです。
初日の協議は一時中断する場面もありましたが、まず出発点として「事態を悪化させない仕組み」を作ることで合意しました。
ホルムズ海峡をめぐっては、「安全航行のための当事国での連絡体制」が作られることになりました。
──本当に戦闘終結に向かうのか、レバノン情勢など問題はくすぶっていますよね。
交渉期間は8月半ばまでとなりますが、アメリカとイランの駆け引きは続きそうで、その度にホルムズ海峡の航行も不安定化する展開が予想されます。