10年間で4000人以上の彼女を演じ、一時は2時間3万円の日本一高い「レンタル彼女」としても注目されたよもぎちゃん。しかし、一貫校に通っていた学生時代は今とは真逆の「人見知り」な性格だったそう。そんな彼女が、女性からも本音を聞いてほしいと予約が殺到する存在になった訳とは。

【写真】一時は日本一高い「レンタル彼女」として注目されたよもぎちゃんの「素顔」(4枚目/全10枚)

人見知りコンプレックスを克服した「合コン特訓」

「レンタル彼女」のよもぎちゃん

──「レンタル彼女」というユニークな仕事でこれまで3000人以上の「彼女」を演じてきたよもぎちゃん。そもそも始めたきっかけは?

よもぎちゃん:始めたのは大学2年のときです。付き合っていた彼に失恋し、テレビでたまたま紹介されていた「レンタル彼氏」を利用しようと思ったのがきっかけです。サイトを覗いてみたら、好みの「彼氏」はいなかったのですが、同じ事務所が「レンタル彼女」を募集していて。「ちょうど時間もできたし、やってみようかな」と応募しました。

面接では「私はクラスで4、5番目くらいにかわいい。レンタル彼女にちょうどいい存在だと思います」と自己アピールをしたのを覚えています。

── 初対面の人と話すことは、もともと得意だったのですか。

よもぎちゃん:いえ、どちらかというと苦手です。私は小学校から高校まで一貫校に通っていて。ずっと同じメンバーと付き合っていたせいか、人見知りで、それがコンプレックスでした。

大学に入ってから、合コン好きな友達にしょっちゅう合コンに駆り出されるように。どうせ行くならその90分は楽しく過ごさないともったいないじゃないですか。でも私の合コン仲間は早慶や上智といった高学歴な学生ばかり。女子大に通っていた私は「勉強ができないぶん、せめてコミュ力をつけないと」と、トーク術を磨きました。

── 具体的にはどのように?

よもぎちゃん:好きな芸人さんのトークをYouTubeで繰り返し見て、参考にしました。同じエピソードでも、話す順番や表現を工夫するだけで相手の反応が変わるんですよね。合コンで場数を踏んでいくうちに、「お、この子おもしろい」という目で見てもらえるようになって、初対面の人と話すことが楽しくなりました。

合コンでたくさんの方とお会いして、男性のタイプによって自分の見え方が変わるんだとわかり、「俯瞰力」もついたと思います。合コンで学んだことは、今の仕事に生かせていますね。

退職、離婚を経て26歳から誓った再起

離婚を経て再び「レンタル彼女」をスタート

── それからずっと「レンタル彼女」を続けているのですか。

よもぎちゃん:いいえ、大学を卒業したときに一度辞めました。私はそのまま続けたくて、事務所に「就職させてほしい」と直談判したのですが、断られてしまったんです。「新卒のカードは1枚しかないんだから、一度はちゃんと就職したほうがいい。社会経験を積むことで、レンタル彼女としての幅も広がるから」と正論で説得されて、就職活動をしました。

就職したのは、ベンチャー企業の営業職です。面接では「レンタル彼女のアルバイトをしていたので、御社の顧客層である男性とのコミュニケーションスキルには自信があります!」とアピールしました。運もよかったのだと思いますが、営業には向いていて、営業成績は割とよかったです。その会社を退職後は、派遣社員や正社員としていろいろな会社に勤めました。

プライベートでは、23歳で結婚して、26歳のとき離婚しました。結婚したものの、私はまだまだやりたいことがたくさんあって、おとなしくできませんでした。そんな価値観の違いが、別れの原因でした。私がよくなかったなと今でも思います。

離婚を機に会社も辞めて、もう一度本腰を入れてレンタル彼女をやり始めました。

── やりたいことのひとつが、「レンタル彼女」だったのですね。

よもぎちゃん:「30歳までがむしゃらにやってみて、軌道にのらなかったら会社員に戻ろう」という気持ちでした。事務所に所属しないフリーランスの立場なので、営業活動はSNSが中心です。注目していただいたきっかけは、ブログでした。もともと文章を書くのが好きで、レンタル彼女のアルバイト時代に2日に1回ブログを更新していたら、キャスト内でいちばん読まれていました。そして会社員時代に書いた、レンタル彼女時代を綴ったブログは最終的にPVが30~40万になって。そこからじわじわとレンタル彼女の依頼が増えていった感じです。

コロナ禍で仕事がなくなり、コールセンターのアルバイトでしのいでいた時期もありますが、コロナ明けからは右肩上がり。今はレンタル彼女の仕事だけで生活ができています。

「いい子は搾取されるから」10年も続く秘訣は

── リピーターを増やすために、工夫されていることなどはありますか。

よもぎちゃん:リピートしてもらうための小ワザみたいなことは、何もしていません。この仕事はずっと続けたいと思っているものの、いつ需要がなくなってもおかしくないとも思っていて。だからこそ、依頼をいただいたときに全力で向き合うようにしています。

外見や話し方は「いいとこのお嬢さん」をコンセプトにしています。そのイメージで服装やメイクを選んだり、姿勢をよくしたりすることを心がけています。依頼者さんのなかにはメンタルが弱い方や繊細な方もいらっしゃるので、できるだけ安心感を与えられる声のトーンや話し方も研究しています。

女性の依頼者さんから、「よもぎちゃんの話し方や仕草を学びたい」と言われることもよくあるんですよ。なかには、「一緒にメイクをしてほしい」という方も。婚活中の方や、営業職、接客業の方からのご依頼が多いですね。

──「レンタル彼女」のニーズは、今後も増えていくと思われますか。

よもぎちゃん:世の中には、話し相手や相談相手を求めている人がたくさんいます。自慢話をしたくても、友達には気を使って話しにくいと思っている女性や、後腐れなく女性とおしゃべりしたいと思っている男性にとって、「お金を払ってレンタルする」割りきった関係は気楽なのでしょうね。男女問わず、カジュアルに利用できる「レンタル彼女」の存在を知ってもらえたら、これからもニーズは増えていくと思います。

割りきった関係といっても、一緒に過ごす時間は安心して楽しんでもらいたいと思っているので、全力で依頼者さんに向き合います。

若い女性ばかりが求められているわけではなくて、むしろ社会人経験のある30代、40代のレンタル彼女のニーズが高いのに全然、人がたりない。おかげで、私はひとり勝ち状態です(笑)。30代以降の男性は、極端に年下の女性と一緒にいると「いかにも金銭が発生しているように見られてイヤだ」とおっしゃるんです。歳が離れていると話も合わないですしね。

── これから「レンタル彼女」業はどのように成長していくのでしょうか。よもぎちゃんの将来の夢や展望について教えてください。

よもぎちゃん:現在は「喫茶れんたる」という事務所を運営していて、レンタル彼女の育成もしています。この仕事は、依頼者の希望に合わせられる人が向いていると思われがちなのですが、実はそうではないんです。

依頼者さんのなかにはデリカシーのないことを言ってしまう人や無理な要求をしてくる人もいるので、イヤなことはちゃんと断らないと搾取されてしまいます。相手に流されずに、「イヤなことはイヤ」と言える人の方が向いています。ただ、そういう気の強い女性はもっと稼げる夜職へ流れる傾向があって、人を集めるのは難しいですね。

自分の軸をしっかり持って、相手に流されないためには、「自分」と「他人」の境界線をしっかり引いておく必要があります。私はその線をしっかり引いているから、10年もの間、楽しく続けてこられたのだと思います。これからもご依頼いただく限り続けて、将来は「レンタルばばあ」になっていたいですね。

取材・文:林優子 写真:よもぎちゃん