重度障害の娘を殺害した母親を逮捕 福祉サービスの充実を求める声が相次ぐ
8日、重度の身体障害がある20代の娘を殺害したとして、千葉県警茂原署が58歳の母親を逮捕。SNSでは「切ない事件」といったコメントが多く寄せられ、介護問題が改めて浮き彫りとなった。
母親は、ぬるま湯を入れた衣装ケースに娘の顔を沈めて殺害。母親は自宅で娘の介護をしており、娘の将来を案じて無理心中を図ったとみられている。事件は、近隣住民の通報により発覚。母親は容疑を認めており、「私も死ぬつもりでした」などと供述しているとのことだ。
千葉県では、過去にも似た事件が起きている。2024年7月、長生郡長生村で重度の知的障害がある次男(当時44歳)が、父親に首をテレビのコードで絞められて殺害される事件が発生。2025年には殺人罪に問われた父親の裁判員裁判が行われ、千葉地裁は懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。次男の長期入所施設を探していたものの受け入れ先が見つからなかったという事実を踏まえ、「十分な福祉的支援が受けられない絶望的な状況にあった」などと判断された。
今回のケースとは異なるが、日本では高齢者が被害者となる介護殺人が社会問題となっている。厚生労働省のまとめによれば、2024年度までの10年間で少なくとも129人の高齢者が、介護殺人などで死亡していることが判明。また、介護している家族による殺人で亡くなった高齢者は13人であった。
とくに老老介護の問題は深刻だ。2025年には、東京地裁立川支部が介護をしていた母親(当時102歳)を殺害した71歳の女に、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年の判決を言い渡した。裁判長は「介護疲れによる事案で、同情の余地が大きい」と述べており、加害者の過酷な状況が考慮された。
殺人は極めて重大な犯罪であるが、背景には、誰かに頼ることが困難な厳しい環境があるのも事実だ。SNSには母親の情状酌量を願う声や、福祉サービスの充実を求める声が多く寄せられている。今後、日本の福祉制度は改善されていくのか。介護は誰もが当事者となる可能性のある問題ということもあり、多くの国民が注目している。
