「ほらあの件、あれどうなってる?」あなたもやっているかもしれない…部下との冷え切った関係を作る「NG質問」
※本稿は、山口拓朗『正しい答えを導く質問力』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■リーダーがしてはいけない質問
上司から部下への質問の中には、してはいけないものがあります。以下に挙げる5つのパターンに、心当たりはありませんか?
?ダラダラ質問
【例】
「あの取引先の話だけど、先月も少しやりとりして、ほらあの納期が……いや、違う、あれは別件か……まぁとにかく問題あったよね。で、今どうしようと考えているんだ?」
【問題点】
質問が長く散漫で、何を聞かれているのかわからない。質問のゴールも不明確なため、相手は次第にイライラしてしまう。
【改善ポイント】
まず自分が「何を知りたいのか」を整理してから質問する。その際、「質問に10秒以上かけない」と制限を設けると、重要なポイントを抽出しやすくなる。
?ざっくりすぎ質問
【例】
「アパレル業界ってどうなんだろうね?」
「AIってどうなると思う?」
【問題点】
自由に考えてもらいたい場面では、抽象度の高い質問が必要なこともある。ただし、いつも(何の狙いもなく)漠然とした質問ばかりしていては、相手に嫌がられる。
【改善ポイント】
質問に具体性を持たせる。例えば、「アパレル業界のミニマルデザインの回帰についてどう思う?」「営業資料作りにAIは活用できそう?」のように、範囲を絞るキーワードを添えると、相手が答えやすくなる。
?圧迫質問
【例】
「このミスはどう説明するんだ?」
「本当にその一件を知らなかったのか? 裏で何かやってないのか?」
【問題点】
詰問・尋問・糾弾など、責め立てるような言い方は、相手を委縮させる恐れがある。質問ではなく、攻撃・支配になってしまっている。
【改善ポイント】
圧迫感のある質問は、信頼関係を損ねるリスクが大きい。問題が起きたときは、まず現状を冷静に把握する質問から始め、「責任追及」よりも「問題解決」に焦点を絞る。
■責任転嫁の質問は信頼関係を破壊する
?文脈無視質問
【例】
「イベントの広告予算」の話をしている最中に、突然、「来場者へのフォローはどうする?」と別案件の話題を出す。
【問題点】
会話の流れや前提を無視すると、相手は「今それ?」と感じてストレスを受ける。
【改善ポイント】
話の流れに注意しながら「今の話題」に集中すること。どうしても話を変えたい場合は、「少し話が変わりますが」と前置きしてから切り出す。
?責任転嫁質問
【例】
「誰のせいだ? そっちがやってたんじゃないの?」
「なぜ君が対処しなかったんだ?」
【問題点】
責任を他者に押しつけようとする姿勢は相手の防御反応を生み、建設的な対話を妨げる。部下からは「カッコ悪い上司」と見られ、信頼や尊敬を失う原因にもなる。
【改善ポイント】
まず事実確認を丁寧に行い、再発防止と改善にフォーカスした質問をする。自分に非があるときはもちろん、部下に非がある場合でも、全責任を引き受けるくらいの覚悟を持つ。
■質問の仕方と態度にも注意が必要
真の質問上手は、「いい質問」ができるだけでなく、「してはいけない質問」を避けるマネジメント能力にも長けています。加えて、「質問の仕方」にも常に工夫が見られます。
リーダーともなればなおのこと、相手の気分を害したり迷惑をかけたりする質問にならないよう、細心の注意を払いましょう。
「質問しておいて、その態度は失礼じゃない?」と部下に思わせてはいけません。失礼な態度をとれば、相手は「この人の質問にはまともに答えたくない」「二度と答えたくない」と思うかもしれません。中には、「なんとかしてこの上司を言い負かしたい」と、あからさまに反発を示す人が現れるリスクも考えられます。
以下に、リーダーが《してはいけない5つの態度》を紹介します。
■リーダーがしてはいけない態度?〜?
?初めから話を聞く気がない
【例】
上司:「今回のプロジェクト、どう進めればいいと思う?」
部下:「そうですね、まずはスケジュールを〜」
上司:「(スマホをいじりながら)うん。うん。えっ、何?」
【問題点】
質問しておきながら、相手の話を聞こうとしないのはマナー違反。スマホを見ながらの応答などは、相手を軽んじている印象を与え、信頼関係を損ねやすい。
【改善ポイント】
部下の返答を真剣に受け止める姿勢が欠かせない。目線や相づち、うなずきなどのリアクションを通じて、「聞いている」という姿勢を示す。

?回答を否定・嘲笑する
【例】
上司:「このチラシどう思う? 改善案ある?」
部下:「この辺に木のデザインを入れると、自然感が伝わるかと……」
上司:「ははっ、木? ダサいでしょそれ」
【問題点】
せっかく出してくれた意見を即座に否定・嘲笑すると、部下の意欲をくじいてしまう。やがて意見を出さなくなり、建設的な対話が生まれにくくなる。
【改善ポイント】
どんな意見であっても、まずは「そういう視点もあるのか」と受け止めることが肝心。反論や助言をする場合も、相手へのリスペクトを忘れず、伝え方に配慮する。
?話の途中でカットインする
【例】
上司:「イベントの収穫について何かアイデアはある?」
部下:「SNSとオンライン広告を組み合わせて〜」
上司:(話にカットインして)「でも予算が少ないよね?」
部下:「確かに。ただ、SNSは低コストで〜」
上司:(話にカットインして)「でもSNSだけじゃ高齢層には届かないでしょ?」
【問題点】
強引に話を遮り、しかも否定的な口調で割り込むと、部下は「聞く気がないなら質問しないでほしい」と感じる。意見を述べる意欲そのものが失われてしまう。
【改善ポイント】
話の腰を折らず、ひとまず最後まで聞くこと。懸念点があっても、「なるほど。ほかには?」と続きを促す。自分の考えを伝えるのは、部下が一通り話し終えてからにする。
■リーダーがしてはいけない態度?〜?
?「揚げ足取り」に終始する

【例】
上司:「新商品の初期テスト、どうだった?」
部下:「アンケートでは好評で〜」
上司:「回答率が低くて分析も雑じゃない?」
部下:「すみません。ただ傾向としては〜」
上司:「『傾向』って何? 資料もわかりづらいし、会議でも数字出してなかったよね?」
【問題点】
細かい「言葉のあや」や、些末な不備ばかりに目を向けていると、話の本質にたどり着けない。建設的な対話にならない。部下の信頼とモチベーションを損なう。
【改善ポイント】
ミスの指摘を目的にするのではなく、改善と前進を意識して対話を進める。どうしても指摘が必要な場合は、あら探しと思われないよう細心の注意を払う。
?相手の手柄を横取りする
【例】
店長:「ランチの混雑、どう改善すればいい?」
部下:「厨房の出入りを左右で分けると、効率が良くなると思います!」
店長:「やっぱりそれがベストだよな」
【問題点】
アイデアを出した本人の存在を無視し、自分の意見のように扱えば、相手は「評価されなかった」「奪われた」と感じる。結果として信頼関係にヒビが入る。
【改善ポイント】
相手のアイデアには「それはいい視点だね」「実用的でよく練られているね」ときちんと返すことが重要。相手に手柄を与えることで、チーム全体の士気と信頼が高まりやすくなる。

■質問するのは相手に「答え」を求めるときだけ
相手に答えを求める以上、質問者にはその答えを真摯に受け止める責任があります。とりわけ、相手を否定したり攻撃したりするための質問は、たとえ形式上は質問であっても、結果としてコミュニケーションを損なう恐れがあります。
もし自分の中ですでに答えが決まっているのであれば、それは質問ではなく、「情報共有」として伝える方が誠実です。
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山口 拓朗(やまぐち・たくろう)
伝える力【話す・書く】研究所所長
出版社で編集者・記者を務めたのちライター&インタビュアーとして独立。27年間で3800件以上の取材・執筆歴がある。現在は執筆や講演、研修を通じて言語化やアウトプットの分野で実践的なノウハウを提供。著書に『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』(日本実業出版社)など。中国、台湾、韓国など海外でも20冊以上が翻訳されている。
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(伝える力【話す・書く】研究所所長 山口 拓朗)
