Premiere Proの動画のエンコードをAMDのGPUでもテストしてみたら同じく効果大だった:旅人目線のデジタルレポ 中山智

旅人ITライターの中山です。以前の記事で、Adobeの「Premier Pro」のアップデートにより、H.264およびH.265(HEVC)の動画書き出し時に、GPUを使ったハードウェアエンコード機能が利用できるようになったとレポートしました。そのときはNVIDIAのGPUをメインにテストしたのですが、今回はAMDのGPUではどうなるかレポートします。

関連記事:Premiere Proの神アプデで動画のエンコードが4倍速くなる、実機5台でテスト:旅人目線のデジタルレポ 中山智

ちなみに前回のテストでは、Premier Proで編集した7分23秒の動画をH.264へ書き出し(エンコード)を行っています。現在ASUSからお借りしている「ZenBook Pro Duo」はプロセッサーに「Core i9-9980HK」、GPUに「GeForce RTX 2060」を搭載しており、ソフトウェアエンコードでは3分46秒でハードウェアエンコードでは1分7秒という結果でした。これを目安とします。

▲「Core i9-9980HK」に「GeForce RTX 2060」で爆速エンコードの「ZenBook Pro Duo」

今回用意したテストパターンは以下の3つです。

1.MateBook 13 AMD(HUAWEI)
Ryzen 5 3500U/Radeon Vega 8

2.ZenBook S(ASUS)+ AKiTiO Node Titan(AKiTiO)+Radeon RX 5700 XT EVOKE OC(MSI)
Core i5-8250U/Radeon RX 5700 XT

3.自作PC + Radeon RX 5700 XT EVOKE OC(MSI)
Core i7-4770/Radeon RX 5700 XT

【1.MateBook 13 AMD】

搭載されているAMDのプロセッサー「Ryzen 5 3500U」は、同じくAMDのGPU「Radeon Vega 8」を内蔵したタイプ。実はメーカーの貸し出し機でRyzen 5 3500U版を用意しているところが少なく、いくつかお願いしたところHUAWEIのみ用意がありました。

▲AMDのCPU+GPUを搭載した「MateBook 13 AMD」直販価格:8万7780円(税込)

▲GPUはRadeon Vega 8

計測結果は下記のとおり。

【MateBook 13 AMDでの計測結果】

・ソフトウェアエンコード:9分42秒

・ハードウェアエンコード:4分10秒

ソフトウェアエンコードでは実時間以上かかっていましたが、Radeon Vega 8を使ったハードウェアエンコードではソフトウェエンコードの約半分となっていました。モバイル用プロセッサーでこれだけ速くなっていれば、かなり御の字です。

【2.ZenBook S + AKiTiO Node Titan + Radeon RX 5700 XT EVOKE OC】

外付けGPUボックスのAKiTiO Node TitanにRadeon RX 5700 XTを搭載して、Thunderbolt 3を搭載したZenBook Sに接続して使ってみるテストです。前回テストした「AORUS RTX 2080 Ti GAMING BOX」では、21分24秒が5分16秒となっていたので、かなり期待したいところですが・・・・・・。

▲AKiTiO Node Titan(実売価格:4万8600円)にRadeon RX 5700 XTを搭載してテスト

結果は下記のとおり。

【ZenBook S + AKiTiO Node Titan + Radeon RX 5700 XT EVOKE OCでの計測結果】

・ソフトウェアエンコード:21分24秒

・ハードウェアエンコード(Intel UHD Graphics有効):32分16秒

・ハードウェアエンコード(Intel UHD Graphics無効):37分7秒

ハードウェアエンコードのほうが遅くなってしまうという結果に。タスクマネージャーをみてみると、Intel UHD Graphicsは使用率が上がるのですが、Radeon RX 5700 XTに負荷がかかっていません。

▲GPUの負荷がまったくかかっていない・・・・・・

そのためIntel UHD Graphicsを無効にしてテストしたのですが、それでもダメでした。どうも外付けGPUボックスを使ってエンコードしていないようです。いろいろ試してみたのですが、自分ではちょっと解決できずでした。残念。

【3.自作PC + Radeon RX 5700 XT EVOKE OC】

自作PCは前回と同じく、第4世代のCore i7-4770。これにAKiTiO Node Titanへ取り付けていた、Radeon RX 5700 XT EVOKE OCをセットして計測してみました。ここで前回の訂正。前回グラボなしのエンコードが25分51秒とかなり遅かったのですが、今回テストするためにCPUクーラーを取り外してグリスを塗り直し再度装着したところ、エンコード時間は5分台後半になりました。ちゃんと熱処理できておらず、遅くなっていたようです。

▲自作PCにMSIのRadeon RX 5700 XT EVOKE OC(実売価格:4万9000円前後)を搭載

というわけで、今回の結果は下記のとおり。

【自作PC + Radeon RX 5700 XT EVOKE OCでの計測結果】

・グラボなしハードウェアエンコード:5分44秒

・グラボありハードウェアエンコード:1分57秒

Radeon RX 5700 XTを搭載したほうが3倍ほど速くなってますね。

外付けGPUボックスは何かしらの理由はありそうですが、基本的にはPremiere Proでエンコードを行う際は、AMDのGPUでもかなり速くなるようですね。やはりPremiere Proで動画編集を行うなら、インテルの内蔵グラフィックではなく、NVIDIAやAMDのハードウェアエンコードに対応したGPUを使ったほうが効率はよさそうです。

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