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もくじ

ー 当時最もパワフルなサルーン
ー オススメは5.5ℓV8エンジンのS63
ー メルセデス・ベンツS63/S65 AMG(W221型)の中古車 購入時の注意点
ー 専門家の意見を聞いてみる
ー 知っておくべきこと
ー いくら払うべき?
ー 掘り出し物を発見

当時最もパワフルなサルーン

「メルセデス・ベンツS63 AMGと、より強力なS65は、向こう見ずなドライバーか、クルマをメンテナンスできる技術を持ったひと以外、手を出さないほうが良いでしょう」と話すのは、メルセデス・ベンツを中心に扱うショップのオーナー、オリバー・ストナー。

クルマのメンテナンスなら、全般的にこなせるという読者も中にはいるかもしれない。向こう見ず、という点に関してはいかがだろう。

S63、S65どちらも発売は2006年。ちなみにS65の方が先にリリースされている。S65は、6ℓV12ターボエンジンが611hpと101.7kg-mという怒涛のパワーを生み出し、2300kgもの巨体をわずか4.4秒で100km/hまで加速させる。ボディタイプは、ロングホイールベースのみ。発売当時、量産モデルとしては世界で一番パワフルなサルーンだった。

もちろんベースはSクラスだから、リアシートに座るオーナーやVIPには、できるだけクルマの驚異的な走行スピードを気づかせてはいけない。メルセデス・ベンツにアクティブ・ボディコントロール・システムが搭載されている理由のひとつだ。ダンパーにはコンフォート、スポーツ、マニュアルモードの3段階の設定があった。

新車当時のS65の価格は、14万5000ポンド(2100万円)。今なら、2006年式で、19インチの5スポーク・アルミホイールを履いたクルマが、1万7000ポンド(244万円)ほどで手に入る。走行距離は30万kmだが、ワンオーナー車だ。

ガソリン代と交換用の点火プラグには要注意。燃費は期待を裏切らない3.5km/ℓだし、プラグは1気筒2本づつ、合計24本が必要で、交換には4〜5時間もかかる。
   

オススメは5.5ℓV8エンジンのS63

S65は販売台数も少なく中古車も珍しいが、S63はそこまででもない。S63は、自然吸気の6.2ℓV8エンジンが長いボンネットに収まり、最高出力525hpと最大トルク64.1kg-mを発生。0-100km/h加速は、不足のない4.6秒となっている。ただし、フル加速時にはV12エンジンの極太のトルクと比較すると、やや息苦しそうに感じてしまうかもしれない。

でも心配ご無用。メルセデスは2010年に、543hpと81.4kg-mを発生するツインターボの5.5ℓV8エンジンにスイッチしている。比較的現代のバージョンにも近い、このエンジンがオススメだといえるだろう。S65に近いパフォーマンスを発揮しながら、S63の初期型より25%も燃費は良く、税金も安い。

6.2ℓV8エンジンのモデルではロングホイールベース版しかなかったが、5.5ℓV8エンジンのモデルには、標準ボディもラインナップされていた。

S63の場合、新車当時の値段はオプション抜きでも9万5000ポンド(1368万円)。しかし今は、初期型なら1万5000ポンド(216万円)から、走行距離8万kmほどの2010年式でも2万8000ポンド(403万円)前後で見つかる。しかし、予算にもよるが、一番のオススメは2011年以降の5.5ℓのS63。過走行ではないクルマなら、2万8000ポンド(403万円)以上は必要となるが、新車当時の値段を考えれば、10万ポンド(1440万円)以上も安く手に入る。

エンジン以外で、この時代のW221型Sクラスの大きな変化といえば、2009年に施されたフェイスリフト。ナイトビューアシスト・プラスや、レーンキーピング・アシストなどの運転支援システム「PRE-SAFE」を搭載している。

クルマとしては発売から10年前後が経つが、ウッドとレザーで包まれたインテリアに、シートヒーターなど、高級車に求めるようなすべてが揃っているといっても過言ではない。

新車当時のちょっとしたオプション並の価格で、今ならクルマ1台が購入できる。向こう見ずな選択だとわかっていても、魅力的な選択肢に感じても仕方ないだろう。

メルセデス・ベンツS63/S65 AMG(W221型)の中古車 購入時の注意点

エンジン

堅牢ながらエンジンオイルの消費は多く、指定銘柄はモービル1の0W-40。油量の確認は常に心がけたい。ターボアクチュエータの故障は珍しくない。リアシリンダーヘッドのボルトの状態も確認しておく。

点火システム

点火コイルの不良によるミスファイアに注意。V12エンジンの場合、1気筒毎に2本の点火コイルが必要で、1本1000ポンド(14万円)もする。V8エンジンなら1本60ポンド(1万円)程度で、1気筒1本で済む。また、リビルト品を用いることで費用は削減できる。点火プラグは4年ごとに交換しておきたい。V8エンジンなら8本、1時間半程度で終わるが、V12エンジンだと24本、4時間半程度はみておきたい。

ステアリングとサスペンション

S63、S65ともにエアサスペンションで、アクティブボディコントロール(ABC)が備わる。各車輪で車高の狂いがないか確認する。エア漏れはサスペンションのエアポンプに負担をかけ、不具合の要因となる。

ボディ

エアコンユニットの不具合で、水が運転席や助手席の足元に溜まっている可能性がある。トランクルーム内の雨水の侵入も確認する。

サスペンションとブレーキ

ドアロックやパワーシートなどのコントロールモジュールは不具合を起こしやすい。またコマンドシステムのハードディスクの状態も確認しておきたい。

専門家の意見を聞いてみる

オリバー・ストナー(プレステージカー・サービス)

「S63やS65はどんな人が買うべきか?向こう見ずなひとか、わたしのような専門家だと思います。中古車なのでピンきりですが、中には10万ポンド(1440万円)の値段で、携帯電話料金程度の維持費で済むようなクルマもあります」

「ただし幸運にも、正規ディーラの約半額で整備を請け負ってくれる、メルセデス・ベンツのスペシャルショップは少なくありません。クルマを買う前に確認しておきたいポイントはいくつかあります」

「タイヤの状態、ブレーキディスクの減りとパッドの残量、試乗でのフィーリング。整備記録も大丈夫なら、コンピューター診断をしてもらうと良いでしょう。75ポンド(1万円)程度払えば、ダイアグノーシスをつないでコンピューター診断をしてもらえるので、地雷を踏まずに済むはずです」

知っておくべきこと

メーカーが提供している1年間の延長保証の金額は、将来的に故障する可能性と、修理に要する費用を推測するのに丁度よい。メルセデス・ベンツの場合、条件にもよるが、3165ポンド(46万円)を設定している。

いくら払うべき?

1万4500〜1万6995ポンド(208万〜244万円)

2006年〜2007年のS63かS65が中心。中には、12万kmのS63が1万5000ポンド(216万円)で、ワンオーナーで32万kmのS65が1万6995ポンド(244万円)で見つかった。

1万7000〜2万2500ポンド(245万〜325万円)

2009年〜2010年のフェイスリフト後のモデル。走行距離19万kmの2010年式S63や、2007年式の比較的低走行車が、1万9000ポンド(273万円)で見つかった。

2万3000〜2万7000ポンド(330万〜335万円)

9万km以下の走行距離の2008年式S63から、2010年式のモデルが中心。

2万7500〜3万3000ポンド(340万〜475万円)

2011年式の5.5ℓのS63など。中には極めて走行距離の短い6.2ℓV8エンジンモデルも含まれていた。

4万ポンド〜(570万〜)

後期モデルのS65はこの価格帯になる。

掘り出し物を発見

メルセデス・ベンツS63 AMG L 5.5 登録2011年 走行10.3万km 価格2万8200ポンド(406万円)

5.5ℓの初期モデルでロングホイールベース版。目を引く価格の安さと、低走行に加えて、メルセデス・ベンツでの整備記録も揃っている。1300ポンド(18万円)ほどする、フロントのブレーキディスクとパッドは新品で、ホイールも新しい。乗りかかった船という勢いで、安い6.2ℓモデルに、あえて挑戦する必要はないだろう。