昔から、異性に気持ちを伝える手段として、“手紙”が多く使われていた。

その中には、相手を想う、数々の言葉がつづられている。

時は、2017年の東京。

男性から山のように送られてくるLINEに対して、現代の姫君たちは何を想うのか。

毎日送られてくる、外資系会計事務所勤務・裕二からの俺通信。その通信に対して美咲は返信をしなくなる。

その真相や、いかに。




良い男性はほぼSold Outの東京市場


「美咲に紹介したい人がいるの。絶対、合うから!」

大学時代からの友人、春香に熱弁されたのは、“東京市場には良い独身男がいない”、と嘆いている時だった。

昔は毎晩のごとく、春香とお食事会に精を出していた。

なのに気がつけば、春香はさっさと東大卒のエリート街道まっしぐらの裕二と結婚し、今やすっかりセレブ妻だ。

-仕事に夢中になっていたら、婚期を失った。

典型的なバリキャリ女が陥る、結婚できないパターンに見事に当てはまる自分が怖かった。

しかし自分で会社を立ち上げ、一人で生きている時間が長ければ長くなるほど理想は上がっていく。

毎年確実に減り続ける、同い年前後の独身男性たち。もう良い人は全て”Sold Out“の赤札が付いている。

そんな中、春香が見つけてきたのが、旦那・純平の大学時代からの親友だという裕二だった。


イケメン・高学歴・高収入。そんな男に限ってありがちな俺通信


結婚適齢期を過ぎても独身でいる人にはワケがある


裕二は、仕事ができる男だけが放つことのできる独特のオーラを放っていた。




聞けば誰もが知っているような外資系会計事務所に勤め、しかもこの若さでトップの地位まで上り詰めている。

素敵な人だな、と思うと同時に、なぜここまでの高スペックな男性が35歳まで独身なのか、と妙な胸騒ぎも覚える。

今年で30歳になるのに独身でいる自分を差し置き、人のことを偉そうに言える立場ではないことは重々理解しているが、35歳過ぎて独身でいる男性は、何かしらある。

男も女も高スペックでありながら結婚適齢期を過ぎて独身でいる人の背景には、何かしらの理由があるのだ。

しかし、裕二からは納得のいく理由は何も見つけられなかった。

「仕事が忙し過ぎて、彼女とかいつも放置気味で。気がついたらこの年齢になっていたんだよね。」

そう話す裕二の言葉に嘘はなかった。

東京に、もう良い男はいないと思っていた。しかし裕二のような人がいるなんて、捨てたものじゃない。

そしてこの日から、毎日裕二とLINEをするようになった。正確に言うと、裕二から送られてくる“俺通信”が始まった。


A1:毎日送られてくる今日の出来事。で、何が言いたいの?


連日、今日の出来事など短いメッセージが来て、どこか行く前にはマメに連絡をくれる。好きな男性からLINEが来て、喜ばない女子などいない。

しかし徐々に気がつき始めた。
まるで、私は一方的に彼の日記を読んでいるようだと。


男性が送りがちな一方的なLINE、それはただの俺通信と化す?


A2:いつまでも続く俺通信。求めていることが分からない


最初の方は、裕二からLINEが来るたびに心が高鳴った。

“気にかけてくれている”ということが嬉しかったし、毎日LINEが来るのはそもそも論ではあるが、好かれている証拠である。

だからマメに返信もした。
愛想よく、返してあげた。

しかしふと、気がついたことがある。裕二は“永遠に”誘ってこない。毎日“今日食べたご飯”の内容や、仕事後に“お疲れ様”などは送ってくるが、一向に誘い文句はない。

極め付けは、この会話だった。




家が近いと言っている上、遠回しに行けると伝えた。なのに裕二から送られてきたのは、自分が食べたサラダの写真。

さすがにこの時、気がついた。
この人は、私に会う気がないんだと。私の返答なんて、気にも留めていないんだと。



俺通信を送る男の自意識過剰さ


高学歴で、高収入。仕事もできて、容姿もそこそこ。そんな男性に限って見受けられるのは、結局“自分が一番大好き”という傾向だ。

大学受験でも勝ち、就職戦争でも勝ち、社会に出てからも勝ち続けている彼らが自信を持つのは当たり前のこと。そこに否定の余地はない。

しかし結局、自分が一番だと過信し、自分以外の人の気持ちを考えない。

自分の都合でデートのスケジュールを組み、自分の好きなことだけを一方的に相手に送りつけてくる。

きっと、結婚のタイミングも自分で決める人たちだろう。毎回付き合わされるこちらとしては、疲れるばかりだ。

人は、多少の負けを知り、人間らしく生きている人の方が幅があり、魅力的だ。“Mr.完璧”も良いけれど、私は人の気持ちを汲める男性を選びたい。

LINEは、その人の人間性がよく見える。きちんと会話のキャッチボールができる人は、LINEでもそのようなパス&トスができる。思いやりもある。

対照的に、裕二のように一方的に自分の言いたいことだけ送りつけ、そこで自己完結しているような人はいざとなった時、自分を真っ先にかばう人だろう。

-やっぱり、35歳過ぎて独身の人は何かしら理由があるな...

改めてそんなことを思いながら、相変わらず絶え間なく送られてくる裕二からの“俺通信”を斜め読みしていた。




もう、返信することはないだろう。
よっぽど面白い“俺通信”でないならば。

▶NEXT:4月22日土曜更新予定
LINEの答え合わせQ:とりあえず送る「今日何してる?」が女子ウケしない訳



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