高速道路で、大型トラックが前を走る大型トラックを追い越そうとして横並びになり、車線をふさぐような状態になることがあります。乗用車なら追い越しはすぐ済むケースが多いですが、なぜ大型トラックはそうなるのでしょうか。

追い越し時は「ほぼ並走状態」にならざるを得ない?

 高速道路を走っていると、大型トラックが前を走る大型トラックを追い越そうと右側の車線に出るも、スピードがあまり上がらず並走に近い状態――車線がふさがったような状態になる光景がしばしば見られます。

 なぜ素早く追い越していかないのか、それには理由があります。


高速道路でトラックを追い越すトラック(2019年5月、乗りものニュース編集部撮影)。

 まず、乗用車と大型トラック(大型貨物自動車など)では、高速道路における最高速度が異なります。乗用車は一部区間を除き100km/hですが、大型トラックは80km/hです。

 そして、大型トラックには事故抑止の観点からスピードリミッター(速度抑制装置)の取り付けが義務付けられており、90km/h以上のスピードが物理的に出せなくなっています。もちろん、追い越し時においても法定速度を超えるのは違反ですが、これら理由により追い越すほうも追い越されるほうも同程度のスピードで走らざるを得ず、横並びの状態が続くわけです。

 大型トラックの追い越しは、マナーの問題だと全日本トラック協会は説明します。同協会では、ドライバーの養成で基本的な教材となる『事業用トラックドライバー研修テキスト』において、不要不急の車線変更をしないよう明記しているほか、追い越し後は速やかに走行車線へ戻ることも、事業者に対して指導しているそうです。