国民が裁判官をジャッジ 口コミ付き5段階評価の「裁判官マップ」がSNSで話題に
SNSや裁判所内で「裁判官マップ」が話題になっている。全国各地の裁判官に関する経歴や担当した判決の解説などがまとめられ、口コミ付きの5段階評価もあり、一目で確認できるWebサイトだ。都道府県ごとに裁判官の情報などを調べることができるようになっており、27日時点で3900件以上の口コミが集まっている。
作成したのは現役弁護士である田中一哉弁護士で、自身が担当した裁判の判決に疑問を持ったことがきっかけだったと言い、テレビのインタビューにこう答えている。
「口コミ削除請求訴訟で、裁判所から『口コミなんて閲覧者が直ちに信用するものではない』という判決を受けたことです。判決が一般離れした内容にならないようにするためにも、多くの人が裁判所に興味を持ってくれた方がいいんじゃないかなと」
田中弁護士は、裁判官が口コミの影響力を軽視していると感じ、裁判官自身も同じ立場になって考えてほしいというのが作成意図だったようだ。SNSがこれだけ強い影響力を持つ時代であり、田中弁護士の意見は至極真っ当だ。
司法関係者はテレビの取材にこう話す。
「ボロクソに言われていたらヘコむし、褒められたら喜びます。裁判官側も嫌なことは書かれたくないという、良い意味での緊張感が生まれるかもしれないです。ただ理解してほしいのは、いい加減に裁判に臨む裁判官なんていません」
裁判官マップを見てX(旧Twitter)には、ある裁判官について【がち有能裁判官】と高評価する書き込みまで出てきた。「愛知県警パトカー ドラレコ改ざん事件(名古屋地裁令和4年10月5日判決)」で、裁判官が警察の証拠改ざんを暴いて追及したという。愛知県警は反訴を取り下げ、愛知県の敗訴が確定した。
日本の裁判官は約3500人
日本の裁判官の定員は約3500人(判事・判事補・簡裁判事合計)で、欧米諸国と比較して少ない。地方裁判所では1人の裁判官が単独で約190~200件を抱え、合議事件でも約50~60件の案件を同時に抱えることもあり、1人当たりの負担は非常に大きい状況だ。
確かに、裁判に対していい加減に臨む裁判官はいないとは思うが、それほど多忙を極めれば世の中の情報をアップデートできず古い感覚に陥る可能性は否定できない。また、刑事裁判では検察側の主張をうのみにすることで多数のえん罪が生まれたのも事実だ。
裁判官マップは、司法を「閉じた制度」から「開かれた関係」へと引き寄せる装置になる可能性を秘めているが、民事訴訟でも当事者が特定の裁判官を指名して選定することはできないので、どの裁判官に当たるかは偶然に近い。裁判官マップによって、すぐに何かが大きく変わることはない。
ただ、国民が裁判官をジャッジする制度としては唯一、「最高裁判所裁判官国民審査」があるので、そのときの参考資料になるだろう。
口コミにはひぼう中傷がまん延する危険性もあり、田中弁護士は「公正な論評の範囲を超えたような口コミが書かれて、裁判官をおとしめるなど、もちろんあってはいけない。そういう点については、こちらできちんと対応しなければいけない」と話す。
文/横山渉 内外タイムス
