沖縄慰霊の日 惨禍を招かぬ努力を重ねたい
苛烈を極めた地上戦に巻き込まれ、県民の4人に1人が犠牲となった。
そうした惨禍を二度と繰り返さぬよう、痛ましい記憶を胸に刻み、平和への誓いを新たにしたい。
太平洋戦争末期の沖縄戦で、旧日本軍の組織的戦闘が終結したとされる「慰霊の日」の23日、沖縄全戦没者追悼式が営まれた。
高市首相は「日本人の誰もが、平和で心豊かに暮らせる世の中を実現するため、不断の努力を重ねていく」と述べた。沖縄戦では、日米合わせて20万人以上が死亡し、このうち民間人の犠牲者は9万4000人に上った。
首相は追悼式で、今後も沖縄の米軍施設の整理・縮小に取り組む考えを強調した。だが、沖縄には今も、在日米軍専用施設の7割が集中している。
日米両政府が1996年、県内の米軍11施設の日本への返還で合意し、6施設、総面積5000ヘクタールのうち9割の返還が実現した。
ただ、住宅や学校が近くにある宜野湾市の普天間飛行場は残ったままだ。名護市辺野古で進められている移設計画が、現実的な唯一の解決策である。
玉城デニー知事は追悼式で「一方的な押しつけではない、対話による解決を求める」と訴えた。政府は移設の意義を粘り強く訴えていく必要がある。
台湾情勢を受け、沖縄周辺の安全保障環境が悪化している現実も直視せねばならない。中国は、戦闘機による自衛隊機へのレーダー照射など威圧を強めている。
政府は、与那国島に陸上自衛隊のミサイル部隊を配備する方針だ。宮古島などには、陸自のミサイル部隊を配備している。
県民には、沖縄戦の記憶から防衛力強化に反対する声もある。米軍が果たしている抑止力の効果を含め、政府は丁寧に理解を求めていくべきだ。
秋の知事選では、玉城氏が既に出馬の意向を表明し、自民党は移設を容認する新人を支援する方針だ。県民の判断が注目される。
今年3月、辺野古沖で研修旅行中の高校生を乗せた船が転覆し、2人が死亡した事故では、教育のあり方が問われた。
辺野古移設に反対する団体が使用していた船だったことを受け、文部科学省は研修旅行の学習内容について、政治的活動を禁じる教育基本法に反すると認定した。
意見が分かれるテーマについて学ぶ際は、特定の見方を押しつけず、歴史や背景、主張などを多角的に取り扱うことが不可欠だ。
