GKからFWになり開花。アーセナルに加入したペペの転機は父の転勤? 【フランスで飛躍した逸材のルーツ探訪】
――――◆――――◆――――
リールで背負い、アーセナルでも選んだこだわりの「19番」は、大切な故郷を示す数字だ。そのナンバーは、少年時代を過ごしたパリ19区(パリ北東部の19区は隣の18区と並びアフリカ系移民が多く住む下町)に由来する。キャリアの始まりは、地元のFCソリテール・パリ・エストという小さなクラブ。6歳で門を叩き、16歳までプレーした。
当時のニコラ・ペペがゴールを決める時間帯は、試合終盤に限られた。チームの勝利がほぼ確実になり、好きなポジションでプレーできる自由が与えられないかぎり、アタッカーとしてはピッチに立てなかったからだ。コートジボワールにルーツを持つ少年のFCソリテール時代の持ち場は、FWではなくGKだったのだ。
大きな転機は2011年、パリ南西部のコミューン(地方自治体)、ポワティエへの移住だ。刑務所監視員だった父親がヴィボンヌ刑務所に配属されたため、通勤しやすいポワティエに家族とともに引っ越したペペは、地元ポワティエFCでついにアタッカーにコンバートされるのだ。以降、メキメキと頭角を現わしていった。
2013年には隣県のSCOアンジェ(当時2部)に移籍。1年目はリザーブチームを主戦場に経験を積み、2年目に晴れてトップデビューを飾る。翌2015-2016シーズンは3部のオルレアンにレンタル移籍。そこでも腐らず努力を重ね、29試合で7ゴールの好成績を残してチームのリーグ・ドゥ(2部)昇格に貢献してみせた。
オルレアンを率いていたオリビエ・フラポリ監督は、当時の課題についてこう語る。
「単独で大きな違いを作り出せるが、フィニッシュに持ち込むプレーが苦手だった」
しかし、2016-2017シーズンに復帰したアンジェでペペは、さらなる進化を遂げる。
「以前はプレーを楽しんでいた。だが、いまはゴールを楽しんでいる」
ペペの変貌ぶりをそう評したのは、アンジェのステファン・ムニエ監督だ。
2017年夏に渡ったリールで大ブレイクを遂げ、プレミアリーグへの挑戦権を掴んだペペ。彼自身はきっと、心のクラブであるパリSGへの移籍を夢見ていたはずだ。しかし、その想いを口に出すことはない。夢をそっと胸に秘め、プレミアリーグのゴールを目指して走る決意だ。
構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
※『ワールドサッカーダイジェスト9月19日号』より転載
