写真/中島望(会場の万国旗の中に日の丸はなかった。忘れられていたのだそうで……)

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WGCアクセンチュア・マッチプレー選手権の会場となったリッツカールトンGC。クラブハウス前には出場全選手の出身国や出身地域の旗がはためていた。この大会の出場資格は世界ランク上位64名。選手たちの出身国は15カ国で米国25名、米国外39名という内訳だった。だが、出身国15カ国と言っても、英国などは地域別に旗があったりするわけで、結局、掲げられた万国旗のポールの数は20本。だが、いくら目を凝らしても、その20本の中に日本の日の丸は、無かった。

それだけじゃない。リーダーボードや看板の周囲には、やはり出場選手たちの出身国の旗が特殊加工で印刷され、会場内のあちらこちらに飾られていた。色とりどりのその旗の中にも日の丸は無かった。

今大会には石川遼、池田勇太、藤田寛之という3名もの日本人選手が出場していた。それなのに、なぜ日の丸は無いのか。米ツアーのオフィシャルに理由を尋ねてみたら「えっ、ジャパンのフラッグが無い?ホントに?あらまあ、どうして忘れちゃったのかしら」と、さほど驚くことなく首を傾げ、そのあと急に不安げな顔になり「このことを書くの?決して故意にやったことではありませんよ。単なる手違いです」

そりゃそうだろう。故意に日の丸だけを外されたら、そりゃ大問題だ。しかし、忘れられ、手違いで掲揚されてもらってもいないなんてことが起こるのは、日本の存在感が低いことの1つの表れだ。何をどう間違えようと、万国旗の中にアメリカやイギリスの旗が「忘れた」「手違いだ」で見当たらないなんてこと、絶対に起こりえないのだから――。

決勝マッチは英国のルーク・ドナルドとドイツのマルティン・カイマーの欧州対決。3&2でドナルドが勝利。彼らの母国の旗はもちろん最初から掲揚されていたけれど、母国の旗を輝かせたのは彼ら自身の奮闘と活躍のおかげだ。2月28日付けで公式に更新される新たな世界ランクは、ドナルドが3位へ上昇し、トップ4すべてが欧州勢になる。長い間、米国勢強しだった世界のトップの勢力図が昨今はどんどん塗り替えられ、欧州の万国旗がはためいている。

たとえ会場内の万国旗に日の丸が忘れられてしまったとしても、日本人選手が決勝マッチに進出したり、ましてや優勝したりという活躍を見せれば、わざわざ苦情を申し立てて掲揚してもらわなくても、日の丸は自ずと掲げられることになる。だが、今大会は日本勢3名全員が1回戦敗退。もちろん石川は20ホールの延長マッチにもつれ込むほど善戦し、池田は「オレはオレでいいプレーをした」という感想ゆえ、それぞれベストを尽くした。だが、結果は敗退。今季の石川が何度も口にしている「数字や結果を出さなきゃ意味がない」が示す通り、結果が出せなければ、いつまでも日の丸の存在感は高まらない。

大会会場に日の丸を揚げてもらえたのは、3回戦が行われた金曜日の朝だった。もはや日本人選手は戦いの場にはおらず、日本のメディアも大半が去った後。日本人ギャラリーの姿もほとんど見られなくなったときだった。冷たい風になびく日の丸が淋しげだった。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)