関連画像

写真拡大

当時17歳の女子高校生を殺害したとして、殺人などの罪に問われ旭川地裁から懲役27年の判決を受けた内田梨瑚被告人が、控訴しない方針であることが報じられました。

報道によると、弁護人が6月24日、内田被告人と面会し確認したところ、控訴しない意向を示したとされています。検察側も控訴しないとみられ、7月6日に懲役27年の判決が確定する見通しとみられます。

SNSでは「なんで控訴しないの?」「無期じゃなくてラッキーぐらいに思ってるんだろうな」などの声が上がっています。

内田被告人は、裁判では殺意などを争っていましたが、裁判では検察官の主張が認められ、求刑通りの判決が下されました。控訴しないという判断にはどういった理由が考えられるのか、解説します。

●そもそも控訴とは?いつ確定するの?

控訴とは、一審の判決に不服があるとき、上の裁判所に審理を求める手続きのことです。

本件であれば、旭川地方裁判所の判決に不服であれば、札幌高等裁判所に控訴することになります。

控訴できる期間は判決の言い渡しの翌日からカウントをはじめて14日です(刑事訴訟法373条)。本件であれば、判決が6月22日ですから、7月6日が期限になります。

この期間内に被告人・検察のどちらも控訴しなければ、一審の判決が確定します。

●控訴しない方が早く出られることも

もし控訴して、被告人の主張が認められれば、懲役27年より軽くなる可能性があります。

被告人が控訴しなかったということは、主張が認められない可能性が高いと判断したからだと推測できます。

これに加えて、控訴して棄却されるよりも、控訴しないで早く判決を確定させた方が早く社会に戻れる可能性があります。

まだ判決が確定する前に身柄を拘束されていることを「未決勾留(みけつこうりゅう)」といい、この未決勾留されている日数のうちいくらかを、判決で言い渡された本刑(今回であれば27年)に算入する仕組みがあります。

つまり、「裁判を待っている間の拘束期間を、刑期の先払いとしてカウントしてもらう」というイメージです。

●「入り損」になるリスク

しかし、控訴したものの、退けられてしまった場合(=棄却)には、「控訴してから判決が出るまでの間の身柄拘束」は、原則として刑期にカウントされません。

したがって、控訴が棄却される見込みが高い場合は、控訴して判決がでるまでの身柄拘束期間が「入り損」になるリスクがあります。

もちろん、裁判所の判断(裁量)で一部を刑期に含めてもらえることもありますが、実務上、裁判の審理に通常かかる期間(おおむね60日程度)は必ず差し引かれる(刑期にカウントされない)のが一般的な扱いです。

言い換えれば、控訴して棄却されると、約2ヶ月分くらいは「刑務所に入るのがただ遅れただけ」の、いわば「入り損」になってしまうのです。

また、否認事件等で裁判に必要な日数が増えた場合、その分「カウントされない期間」がさらに増えてしまうリスクもあります。

たとえば、本件のように殺意を否認して争う場合、控訴審で証人尋問や鑑定がやり直されることもあります。その分、「裁判に通常必要な期間」として差し引かれる日数が、60日からさらに延びてしまう可能性もあります。

結論が変わらないのであれば、一刻も早く服役を始めたいという判断が働いた可能性はあるでしょう。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)