コイン商や催事での購入は“川下”の取引…投資家が「アンティーク・コイン」を業者マージンを介さずに買える〈市場の川上〉とは【コイン収集歴50年のFPが解説】
金融商品は、取引の「川下」に行けば行くほど、売り手の利益やリスクヘッジ費用が上乗せされ、買い手の手取りは減っていきます。これは〈アンティーク・コイン〉の世界でも同じです。利益を最大化したければ、できるだけ「川上」に近い場所で取引しなければなりません。今回は、田中徹郎氏の著書『資産運用の視点からみた 決定版 アンティーク・コイン投資のすべて』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集し、アンティーク・コインを売り手から直接買う方法を解説します。
「川下」に行くほど高くなる金融商品の手数料
公平な視点で金融や経済の世界を見渡しますと、あらゆる金融商品の手数料は、川下に行くほど高くなるという原則がみえてきます。
たとえば生命保険です。みなさんも外貨建ての終身保険に加入されているかもしれませんが、この商品が最終的に何に投資しているかご存じでしょうか。
答えはアメリカ国債やオーストラリア国債など、外国の政府が発行する高格付けの国債です。つまり、外貨建て保険は多くの加入者からおカネを集め、そのおカネで外国の国債などを買う建付けになっているのです。
しかし、それだけでは生命保険は成り立ちません。一部のおカネは解約に備えて円で保有しておかなければなりませんし、保険会社の人件費や管理費の支払い、約款などの発行費用として流出するおカネもあります。さらには亡くなった加入者に支払う保険金も必要です。
このようにアメリカ国債への投資から得られる収益から、さまざまな経費類が控除され、加入者に支払われる便益(解約返戻金や満期保険金)が計算されるのです。
では、みなさんが直接アメリカ国債に投資すればどうでしょう。
この場合、最終的な投資先であるアメリカ国債とみなさんの間には何もありません。国債を証券会社経由で購入した場合、経費が抜かれますがその金額は先ほどの保険に比べごくわずかです。ほかにアメリカ国債を組み込んだ投資信託などもありますが、これは生命保険と「米国債への直接投資」の中間あたりに位置する商品と言えます。
保険は「川下」、国債は「源流」…投資の手取りが変わる仕組み
仮に、投資信託を川の中流に位置する商品、言い換えれば「中流商品」とするならば、生命保険は最も川下にある商品、いわば「川下商品」と言っていいでしょう。その理屈で言えば、アメリカ国債は最も川上に位置する金融商品、すなわち「源流商品」です。
このように、投資を検討している金融商品が川の流れのどの部分に位置するかという視点はとても重要です。なぜなら、川下に行くにしたがって加算される経費類が大きくなり、その分、私たちの手取りが減るからです。
この考えはアメリカ国債だけではなく、大概の金融商品に当てはまります。みなさんも金融商品を選ぶ際、「その商品が川の流れのどの部分に位置するか」について考える習慣を、身に付けることをお勧めいたします。
さて、その観点でコインです。
「アンティーク・コイン」を“川上”で手に入れる方法
コイン商や催事での購入は、「川下」での購入にあたります。では、コイン市場の「川上」はどこなのでしょう。
最も源流に近い買い方は、コインを持っている人からの直接購入です。ただし、コインの保有者からの直接購入は簡単ではありません。
なにより、どこにどれだけの保有者がいるのかについて、幅広い情報網を持っておく必要がありますし、そのような収集家やその相続人がコインを手放す際に声をかけてもらわなければなりません。職業としてコインを売買するコイン商を除き、このようなネットワークを維持することは現実的ではありません。
では、私たちはコインを上流で手に入れることができないのでしょうか。
そんなことはありません。オークションに参加すれば、私たちはコインの所有者から直接コインを買うことができるのです。これも情報化時代、ネットワーク化時代の恩恵です。
売り手から直接買う…投資家が「オークション」を活用するワケ
コインオークションの歴史は長く、日本ではまず、(株)ダルマが1989年に開催しました。オークションの名前は「日本コインオークション」で現在も続いています。
その後、数社が参入し、今では銀座コインが開催する「銀座コインオークション」やワールドコインズ・ジャパンが主催する「オークションワールド」、ほかに「泰星コインオークション」を合わせて、日本の4大コインオークションと言っていいでしょう。
世界に目を転じれば、アメリカのヘリテージオークションズやスタックス・バウワーズギャラリー、ドイツのキュンカーやモナコのモナコMDCなどが大手です。国内外を問わず中小まで含めると、1年を通して毎週のようにコインオークションは開かれています。
このようにオークションはコイン市場では欠かせないプレーヤーになりました。これは世の中の自然な流れでしょう。
従来はコインの「売り手」と「買い手」の間にはコイン商が存在しました。情報量や中間マージンもさまざまで、そのあたりが日本のコイン収集やコイン投資を阻害する要因になっていた面があると思います。
売り手と買い手を直接結び付けるという点で、今やオークションは双方にとって重要な役割を担うようになったのです。
田中 徹郎
株式会社銀座なみきFP事務所
代表/FP
