久保は親善試合でも印象的なプレイを披露 photo/Getty Images

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ワールドカップ・カタール大会本番まで残り1カ月半。ここへきて争いが激しくなってきたのが日本代表自慢の2列目だ。ここはかなりタレントの多いポジションで、森保ジャパン発足から激しい序列争いが起こってきた。

1つの特長に挙げられるのが今夏の移籍だ。伊東純也はフランスのスタッド・ランスへ、南野拓実がモナコ、三笘薫はブライトンへ合流し、堂安律はフライブルク、久保建英はレアル・ソシエダと、多くのアタッカーがワールドカップを控えた今夏に移籍の決断を下している。

大きく印象を変えたのは久保か。これまではマジョルカ、ヘタフェなどなかなかレンタル先にフィットしなかったが、今夏に移籍したソシエダではきっちりと出場機会を確保。攻撃的なスタイルの中で久保も輝きを放っており、ようやく自身に合うクラブに巡り合った印象だ。リーガ・エスパニョーラで結果を残していることを考えれば、久保も代表のスタメン候補に入るのは間違いない。右サイド、あるいはトップ下での起用も面白い。

同じレフティーではフライブルクへ加入した堂安も好調で、チームも上位争いに加わっている。堂安もオランダのPSVで一時苦労した時期があったが、その難しい時間を上手く乗り越えてみせた。

フランスのスタッド・ランスへ向かった伊東はアジア最終予選より森保ジャパンのエース格となったが、その勢いはフランス移籍後も変わっていない。久保、堂安、伊東と右ウイングを巡る争いは激しいが、これまでの実績から考えると1番手に最も近いのは伊東だ。5大リーグの1つであるリーグ・アンでも通用することを証明したのは大きく、スタッド・ランス移籍の挑戦は成功と見ていいだろう。

左では三笘がブライトンでも持ち味の突破力を発揮しており、日本代表でもクラブでもジョーカー的存在が似合うようになってきた。スタメン確約とはなっていないが、流れを変えるスーパーサブとしてカタール大会へ向かう可能性が高い。今の代表で最も個の力での打開が期待できる選手だ。ブライトンでの出場時間は限られているが、一流DFの揃うイングランドでもドリブルが通用しているのは非常にポジティブだ。三笘のイングランド挑戦もまずまず順調と言える。

そんな中でやや出遅れたのはモナコへ移籍した南野だ。リヴァプールでプレイしていたという実績もあり、森保ジャパンでも常に一目置かれる存在だった南野。森保ジャパン発足当初より2列目の要の1人だったが、ここまでモナコでは出番の確保に苦労している。

リーグ・アンの激しいフィジカルバトルに加え、モナコは攻撃陣にライバルが多い。まだスタメンを確保できていない状況で、英『Daily Mirror』によればクラブのポール・ミッチェルSDも時間が必要との認識を示している。

「タクミは獲得した選手の中で最も適応に苦労している選手だが、我慢しないといけない。ランス戦で決めたゴールがさらなるゴールへ繋がることを期待している。彼は戦術面やリーグ・アンのフィジカル、我々のプレイスタイルに適応するための時間がもう少し必要だ。彼にはリズムが必要なんだ。彼が良い選手であることは理解している。ザルツブルクで輝き、チャンピオンズリーグの経験もある。リヴァプールでは重要なゴールを決め、クロップは常に彼を高く評価してきた。我々は彼にリラックスしたプレイを取り戻してもらおうと動いている。彼は27歳でキャリアのピークにある。能力に疑いはないよ」

ミッチェルSDは南野の能力を評価しているが、今年はワールドカップが冬に開催される特殊なスケジュールだ。あまり適応に時間をかけてもいられない。フランクフルトでは鎌田大地が活躍を続けており、9月の親善試合では鎌田をトップ下に据えた[4-2-3-1]も効果を発揮している。鎌田はアジア最終予選では絶対的戦力というわけではなかったが、フランクフルトでの実績は十分すぎるものがある。[4-2-3-1]を継続するならば、鎌田が2列目の主役に躍り出るかもしれない。

こうした争いが選手たちを刺激することになるが、果たしてカタール大会で2列目の枠を勝ち取るのは誰になるのか。今夏の移籍から状況は動き始めている。