恋とは、どうしてこうも難しいのだろうか。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しない。

仮に、順調に駒を進められても、ある日突然別れを突き付けられることもある。

しかし一見複雑に絡み合った恋愛でも、そこには法則があり、理由がある。

どうしたら、恋のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回はデートは楽しかったはずなのに、友達宣言された謎という宿題を出していた。

あなたはこの宿題が解けただろうか?




瑞穂との出会いは、知人から誘われて顔を出した食事会だった。

僕は1軒目からいたのだが、2軒目へ移動してしばらくすると、瑞穂が現れた。スラッとしていて華奢で、色白。清楚な雰囲気の瑞穂に、僕は思わず見とれてしまった。

それなのに、話すとノリも良くて面白く、僕はすっかり彼女に魅了されてしまったのだ。

「もし良ければ、連絡先教えてもらえませんか?」

すると、すぐに瑞穂は笑顔で“モチロン”と言ってくれて、僕たちは連絡先を交換した。

この時は、本当に彼女のことを良いなと思っていたし、結婚願望の強い僕は、真剣に結婚相手を探していた。

しかし、時間が経つにつれ、“真剣交際の相手には思えないなぁ”と感じ始めたのだ。


デートも楽しかったのに、男が気になった点とは


解説1:楽しかったし、流れで2軒目も付き合ってくれたのは嬉しい。


翌朝、僕は早速瑞穂にお誘いLINEを送った。

-辰哉:昨日はお疲れ様!瑞穂さん、今週空いている日はありますか?


今日は木曜だ。さすがに今週は厳しいかなと思っていたら、案の定忙しいようで、2週間後なら、という返信が来た。

-瑞穂:昨日はありがとうございました(^^)今週と来週はちょっと忙しくて・・・再来週以降なら!
-辰哉:そっか、急だもんね。そしたら再来週で!
-瑞穂:再来週の水曜はどうですか?
-辰哉:じゃあその日、空けておいて下さい!


水曜日か・・・。

金曜の夜とか週末に会えることをちょっと期待していたので、少し落胆しながらも、自分のスケジュールを確認する。彼女は、週末忙しいのだろうか。

しかしモテそうな瑞穂のこと。きっと、様々な人からオファーがあるのだろう。

気持ちを切り替え、僕は2週間後、『なみの上』での初デートに挑んだ。




「瑞穂さん、何飲みたい?何が好き?」

この店はカウンター席が良い感じなだけでなく、料理も美味しいし酒の種類も多い。初デートで相手の趣味嗜好が分からない時には、もっていこいの店だった。

「私はワインが好きですが・・・けど、今日はハイボールにしようかな」
「ワイン好きなの?俺も好きなんだよね。でも、最近筋トレしてるから、気休めで何となくハイボールを選ぶようにしていて」
「そうなんですね!一緒です!私もジムにハマっていて、結構な頻度で通っているんです」

-気が合うなぁ。

それが、僕の感想だった。お酒が好きなのもそうだが、趣味も似ているし、瑞穂となら何をしても楽しそうだ。

「というか、敬語やめない?俺のこと、呼び捨てでいいし」
「本当ですか?私の方も、瑞穂でいいですよ」
「ほら、また敬語になってる(笑)」

こうして、僕たちはどんどん打ち解けていったのだが、時間はあっという間に過ぎていき、気がつけば23時になっていた。

時間を気にしつつ、もう少し一緒にいたい気持ちもあり、瑞穂を2軒目に誘ってみる。

「え、もうこんな時間だ。明日朝早い?もう1軒行きたいけど・・・」
「明日、遅いので大丈夫ですよ。もう1軒行きましょう!」

ノリの良い瑞穂は快諾してくれ、近くのバーで飲みなおす。

せっかく盛り上がっているのに1軒目で解散されると、正直少し萎える。だからこうやって、2軒目に行けるのは“楽しんでくれているんだなぁ”と実感できて嬉しい。

明るくて性格も良くて、しかも美人。

このデートもかなり楽しかったし、僕的にはかなり“アリ”だった。

しかし、3回目のデートをする頃には、僕の気持ちはすっかり冷めていたのだ。


辰哉が冷めてしまった理由とは!?


解説2:忙しすぎると、遊んでいるように思える&気持ちも冷めていく。


楽しかった初デートを終え、早速次のデートに誘ってみる。しかし、瑞穂は相当忙しいのか、今回も2週間以上先の日程を提示してきた。

-瑞穂:ごめん、今週忙しくて・・・今月は、月末しか空いてないかも(涙)
-辰哉:そっか、忙しいんだね。そしたら、会える時あったらいつでも連絡して!僕も連絡するね。


だけど、1ヶ月は約30日もあるのに、毎日忙しいのか?毎晩仕事?むしろ、一体どういう用事が入っているのだろうか・・・と疑問ばかりが湧いてくる。

そして月末までの合間に、たまたまお互いのタイミングが合い、2軒目から合流できたのだが、そういえば最初に会った時も瑞穂は2軒目から合流だったことを思い出す。

「瑞穂、抜けてきて大丈夫だったの?」
「うん、友達だったし、顔だけ出せば良かったから。辰哉は?」

久しぶりに会えて嬉しいけれど、時間が空いてしまったため、初回ほどの気持ちの高ぶりはない。

「僕の方は、先輩に頼まれて開催した食事会」
「え!?それ、抜けてきたらダメなやつじゃん(笑)」
「大丈夫、先輩たちで勝手に盛り上がっていたから」

そんな話をしながらも、僕の中で段々と気持ちは冷めていっていた。

「それに、そんな食事会とかどうでも良くて。瑞穂に会いたかったから」

-だって、会えないからね。

そう心の中で毒づいた。




そしてようやく実現した、3回目の約束。『IBAIA』で、誰もが唸る絶品の赤身肉を食べながら、僕は色々と考えていた。

「瑞穂の好きなタイプってどういう人なの?」
「そうだなぁ〜一緒にいて、尊敬できる人かな。辰哉は?」
「うん、僕は一緒にいて楽しい人かな。あと結婚したいから、結婚できる人がいいな」
「それは大事だよね。私も早く結婚したいなぁ〜」
「え・・・!?瑞穂って、結婚願望あるの?」

意外だった。毎日忙しそうだし、きっと今は仕事優先で、そして空いた時間も全力で遊んでいるのだろうと思っていた。

だから結婚願望なんてないと思っていたが、どうやら違うようだ。しかしそうかと言って、結婚できる相手を真剣に求めている僕からすると、彼女は何か違う気がした。

デートの日程候補がなかなか出てこないような忙しすぎる女性は、飲み歩いていたり、遊んでいるのかなとも思ってしまう。2軒目から会える女性は友達としては最高だけれども、真剣な相手として見ることは厳しい。

そして何よりも提示される日程があまりにも先で、時間が空いてしまうと気持ちも冷めてしまう。

“鉄は熱いうちに打て”、とはよく言ったもので、気持ちが盛り上がっている時に進まなかったから、徐々に“やっぱり違うのか”と思い始めてしまったのだ。

「瑞穂のこと、最初はいいと思っていたんだけどなぁ」

-もったいないなぁ・・・

これで彼女が忙しさMAXでなければ最高だったのに。

そう思いながら、僕はワインを飲み干した。

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