長い地下道では自車位置を見失ってしまうことがある

 いまどきのドライブにおいてカーナビは必須。とはいえ、インパネにインストールするカーナビにするのか、スマートフォン(スマホ)のナビ機能を利用するのか、はたまたダッシュボード上にセットするポータブルタイプのPNDを購入するのか、選択肢はさまざまだ。

 スマホのナビアプリは地図データが常に最新版というのがメリットであり、アドバンテージ。しかも無料でも十分に使えるアプリもあるのだから、わざわざカーナビを購入する必要はないと思ってしまいがちだ。さらにスマホの通信機能を利用して、ユーザーの交通情報を共有することもできるので、ルート検索での到着予測時刻なども割合に正確。デメリットはないようにも思える。

 しかし、自動車メーカーは純正ナビを用意しているし、標準装備しているケースも珍しくない。さらにアフターパーツとしての後付けナビもどんどん進化している。はたして「スマホナビ」では不十分というケースはあるのだろうか。

 カーナビが自車位置を測定するのには、基本的にはGPSと呼ばれる衛星を使った測位のみを使っている。そのためトンネルや地下道といった環境においては自車位置を見失ってしまうことがある。たとえば、東京の首都高にある全長18.2kmの山手トンネル(日本でもっとも長い道路トンネルだ!)のなかでは、まったく働かなくなってしまう。

 自車位置を見失うだけならまだしも、その状態で自動的にリルート(再探索)をされてしまうとドライバーは混乱してしまうだろう。ましてトンネル途中で出なければいけないルートでは致命的だ。しかし、純正カーナビなどは車両からの速度信号を得ることでトンネル内でもそれなりに正確に位置情報を得ることができる。

 トンネルなどGPSが遮断されるルートを日常的に走っているならばナビに頼らずともいいだろうが、道がわからないまま山手トンネルを走るようなドライバーにとっては自車位置を見失うのはストレスであろうし、道を間違える要因にもなる。つまり、ナビとして体をなさないということになってしまう。

スマホの攻めすぎたルート案内に苦戦することも

 また、一部のスマホナビでは「攻めた」ルートを示すということが問題視されていることもある。行き止まりの道や歩行者専用道路に案内してしまうといった間違いは確実に修正されているようだが、幅が狭かったり、曲がり角がきつかったりといった、いわゆる地元民しか使っていないような道をルートとして提示することはまだまだ起きているようだ。それによって住宅街を抜け道として使うという問題が起きている。クルマのサイズによっては物理的に走れないこともあるという。

 一方、多くのカーナビでは狭い道には案内しないような制限をかけるなどして、そうした問題は起きないように考えられている。たしかに抜け道を指示してくれるのはありがたい面もあるが、確実性という点では従来型のカーナビの安心感というのは、まだまだアドバンテージだ。

 そして、いまやカーナビの画面というのは地図を表示するためだけのものではない。バックモニターほかクルマの周囲を表示するパーキングアシスト機能のディスプレイとしての機能も重要になっている。しかし、スマホを利用している限りはそうした機能を追加することは難しい。たしかに無線を利用したカメラの映像をスマホに映すことはできるが、リバースギヤと連動して、サッと画面が切り替わったり、クルマを見下ろしているような合成画像を表示するという点ではカーナビに一日以上の長があるといえる。

 それでもコスト面や情報アップデートの面からスマホナビのメリットは無視できず、スマホをナビとして利用したいというドライバーは多いことだろう。

 最後に、スマホナビを利用する際の注意点をお伝えしたい。課題は、電源確保と温度上昇への対応。ナビアプリを動かしていると、かなり電気を喰うため、短時間ならまだしも基本的には充電ケーブルをつないでおくことが基本になる。

 そして、電気を喰うということは発熱量も増えるということだ。ダッシュボード上など直射日光が当たる場所に置いているとスマートフォンが熱くなってしまう。とくに夏場において日常的にスマホナビを利用するのであれば、なんらかの熱対策は考えておく必要があるだろう。