公道に堂々と出店、強制撤去も意味ナシ...大阪・道頓堀で外国人経営者の違法営業が横行している!
地元住民を悩ませる「違法営業」
大阪市中央区ミナミに位置する道頓堀。そのシンボルであるグリコの看板を背に、「戎橋」から東へ歩を進めると、道頓堀川にかかる「相合橋」を越えたあたりから空気がガラッと変わり始める。
建物の看板や窓には中国語や韓国語が溢れ、ベトナムの国旗が掲げられている飲食店も目に付く。店員たちの威勢のいい声もカタコトだ。実はいま、道頓堀の東側エリアが外国人経営者たちに席巻されているという。
遡ること約10年前。相合橋から堺筋(大阪市を南北に貫く幹線道路)に至るこのエリアは、地元資本の飲食店や老舗が軒を連ねる落ち着いた雰囲気のある街だった。「そこに中国系を中心とした外国資本が目を付けた」と飲食店関係者は言う。
「ここ数年で中国人や韓国人、ベトナム人経営者のお店が激増しました。本土から来た方と日本に帰化された方を含めると今や店舗の8割が外国人資本のお店です。賃貸で経営している方が多いですが、なかにはビルごと買収されたケースもあります。コロナ禍で地元のお店が経営に行き詰まって次々と倒れた後、空いたテナントに外国資本が一気に参入してきたのです」
店の前の道路にまでテーブルや椅子をはみ出させた、さながらアジアの夜市のような「屋台営業」を堂々と行っている店も散見された。「屋台」の店員に声をかけると、その多くが外国人スタッフだった。インバウンド客のおかげで活況に沸く一方、地元住民は違法営業に頭を悩ませているという。前出の飲食店関係者が憤る。
「商店街の暗黙のルールで、袖看板が突き出している範囲、軒先から1m前後までは商品を陳列していいことになっていますが、外国人経営者の一部はそれを大幅に越え、公道上で堂々と営業している。警察や保健所、建設局が強制撤去させても、彼らが去った30分後には何食わぬ顔でまた公道での営業を再開しますから」
違法営業は明らかだが「強く非難できない事情もある」と別の飲食店関係者は言う。
「もともと一部の日本人経営者が公道に屋台を出していて、それを外国人の店主らが真似をした――という背景があるんです。『私たちも同じことをやろう』とガスボンベを自前で用意して、路上で火を使って調理する店も出始めた。火災や爆発の危険があり、心配する声が上がっています」
それにしてもなぜ、彼らは「路上」での営業にこだわるのか。
「聞くところによると、屋台の利益だけで家賃と人件費が支払えるんだそうです。場所にもよりますが、このあたりの家賃は月額200万円前後。それをペイできてしまうほど屋台には人が来る。だから、どれだけ注意されても絶対にやめないのでしょう。まさに無法地帯ですよ」(同前)
もちろん、法律に則って営業している店もある。しかし、そんな”優良店‴を狙って、信じられないような「”闇交渉”が行われている」とこの関係者は言うのだった。
「夜10時ごろに閉店する店に対して、中国系の経営者が『閉店した後、おたくの店の前の道路を使わせてほしい』と交渉に来るのだそうです。『月額いくら払うから』と。深夜に屋台を出すつもりなのでしょうが、まともな店主なら貸しませんよね。文化の違いというか……正直、中国系経営者の感覚が理解できず、困惑しています」(同上)
新たな投資先
高市早苗首相(65)の台湾有事を巡る発言で中国との関係が悪化して以降、中国人観光客は激減している。だが、台湾と韓国の観光客は逆に増えた。関係者によれば、多い時には一日に4万〜5万人もの人々が道頓堀商店街を訪れるという。
「『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』の来客数が一日3万〜4万人といわれていますから、それよりも多い人がこの狭い通りにひしめき合っている計算になります。堺筋の日本橋1丁目の交差点から宗右衛門町にかけては、常に10台ほどの観光バスが連なって停まっている。大阪観光のハイライトはこの道頓堀なんです」(同上)
街の地盤そのものが、外国資本に買い取られているケースもある。地元の不動産業者が実態を明かす。
「道頓堀川に面したビルは立地もよく、中国人投資家にとって価値が高い。道頓堀商店街から堺筋を挟んだ東側、『二ツ井戸町通』沿いのビルは最近、次々と外国人に買収されています」
二ツ井戸町通は道頓堀まで目と鼻の先というエリアで、ラブホテルが立ち並び、風俗街として名を馳せる。言うならば、朝方まで人が途絶えることがない場所だ。「(風俗街は)自社ビルにもテナントビルにも適さない」と日本人投資家には不人気だった。
「日本人の投資家は興味を示しませんが、中国人からすればむしろ『安くてお値打ち』。今後、インバウンド客がさらに増えればこの周辺も必ず恩恵を受ける。彼らはそれを見越して、先行投資しているんですよ」(同上)
夜が更けても道頓堀の熱気は冷めない。だが、その姿はかつての人情ある街とはまったく異なるものだ。法とルールが形骸化し、資本の力で塗り替えられていく。相合橋を境に広がる光景は、日本が直面している「インバウンド依存」の端緒なのか、それとも末路なのか。
取材・文・写真:加藤慶
