『ガンニバル』シーズン2 ©2025 Disney

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 4月9日に配信がスタートした、ディズニープラス スター オリジナルシリーズ『ガンニバル』シーズン2の第6話は、前回描かれた時代から3年後、1952年の冬から始まる。飢饉が続く供花村の村人二人が山に入ると、そこに幼い少年が現れる。その口にくわえられていたのは人間の指。一人は村へと逃げ帰り「銀の仕業じゃ」と、3年前の祭りの夜に“来乃神に捧げられた”はずの後藤銀(恒松祐里)の名を口にする。

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 その言葉通り、森の奥深くで生きていた銀。その傍には、まだ小さな彼女の息子・白銀(しろがね)の姿もある。捕まったもう一人の村人は彼女の毒牙にかけられており、完全に狂ったかのような銀のおぞましい姿と、真っ白な雪と鮮血のコントラスト。オープニングからかなり攻めたシーンで幕を開けた今回は、現代までつづく供花村と後藤家の関係性がはっきりと明らかにされるエピソードとなる。そのカギを握る存在が、前回のラストで銀の前に現れた“カシハベ”という山賊たちである。

 今回その詳細と、そこに付随した後藤家の歴史が、金次(豊原功補)と吉宗(テイ龍進)のやり取りのなかで語られている。江戸時代に供花村に飢饉が起きた時、来乃神神社に生贄として捧げられていた子どもを盗みだし、それを食べて生き残った“カシハベ”。しかし彼らのなかで“狂い病”(シーズン1の終盤で詳しく語られていた、食人によって発症する脳の変性疾患であり、クールー病とも呼ばれている)が流行り、彼らは村から追い出される。そんなカシハベをかばった後藤家も、村人たちから差別を受け、田畑を取り上げられて荒地へ追いやられたというのだ。

 ちなみにドラマ版では語られていないが、原作で描かれていた、後藤家が巨万の富を築いた経緯もここにつながっているのだろう。農地に適さない場所に追われ、林業を始め山を切り拓いた結果、銅が採掘される。政府と後藤家の間を吉宗が取り持ち、その結果、後藤家は供花村のなかで特別な存在となる。いわば後藤家と来乃神神社との根深い癒着構造を、血がつながっていないとはいえ後藤家の人間である銀と、彼女に唆された来乃神神社の跡取りである正宗(倉悠貴)がひっくり返そうというのである。

 村人たちの前で父・吉宗と後藤家との癒着を非難することで、村人たちをまんまと焚き付け、後藤家潰しの旗振り役となる正宗。村人たちが群れをなして後藤家へと向かい、そこで繰り広げられる戦争さながらの凄惨な争いごとは、シーズン2の第2話で描かれた後藤家と警官隊との衝突と通じるものがある。事情は違えど、同じような泥沼の争いを人は繰り返し、歴史というものが紡がれていく。そして戦いの果てに現れたカシハベは、後藤家の女性たちを襲う。そこで語られていたように、現代パートで描かれる“後藤家”には少なからずカシハベの血が混ざっているというわけだ。

 さらに銀は、白銀について「後藤の子か神社の子か、カシハベの子か。供花村の欲望がこさえた子じゃ」と語っているが、カシハベとの遭遇のタイミングを考慮すれば金次か正宗、すなわち後藤の子か神社の子かの二択といえよう。幼くしてすでに狂い病を患っている白銀。狂い病を生き残った者は巨体となり、暴れる姿は神そのもの。“現人(あらひと)”という呼称から、“あの人”と呼ばれるようになったのだろうか。いずれにしても、“あの人”の息子である恵介(笠松将)は、後藤の本家の血か、はたまた代々供花村の有力者であり続ける来乃神神社の血のどちらかを確実に引いていることになる。前者であれば、以前のエピソードで「金次の孫じゃ」と語っていた金丸(赤堀雅秋)とも従兄弟と等しい関係になるのだが、その辺の複雑な事情は頭の片隅に置いておくことにしよう。

 もっぱら現代の正宗(橋爪功)が振り返る過去の話の聞き役に回っていた今回の大悟(柳楽優弥)と恵介。しかし来乃神神社の宮司だけが知るというあの洞窟にましろ(志水心音)がいて、まだ生きているとわかると食い気味で立ち上がり、「さっぱり意味わかんねえよ」と正宗を一蹴。その一瞬だけで“らしさ”を全開にした大悟は外側から、そして恵介は内側から、共に“供花村の呪い”を断ち切るために最後の戦いへと臨むことになる。彼らが向かう先には“あの人”と、カシハベの血を引き、そして呪いを継ぐ後藤家の者たち。さらに恵介を後藤家の一人として捕えようとする警察の、三つ巴の構図だ。

 もちろん後藤家側には“あの人”や岩男(吉原光夫)という強敵がいるわけだが、もう一人忘れてはならないのはシーズン2からの新キャラクターである理(中島歩)である。第1話で村に帰ってきた際に、自らを“後藤のために陰で生きているコケ”だと形容し、「裏切り者には容赦せん。たとえ本家の人間じゃったとしても」と凄んでいた理。村から一度逃げ出した久露恵(山本奈衣瑠)を連れ戻し、有希(吉岡里帆)たちを拉致するなど、すでにひとしきり暴れまくっているが、今回のラストでも有希を病院へ運ぼうとする洋介(杉田雷麟)の前に立ちはだかる。

 しかも供花村の入り口となる橋の看板を落として足止めをし、どこかからクリーチャーさながらに橋の上に登ってくるのだから、その不気味さは段違いである。その際に洋介と車に同乗している久露恵も、前回すみれ(北香那)をスタンガンで失神させるなど、なんとかして村から逃げ出そうと画策している。供花村の歴史が紐解かれ、クライマックスへとドラマが向かうなかで、この2人の動きには注目しておく必要があるだろう。

(文=久保田和馬)