■ 取り戻した自信

5月24日の韓国戦で0対2の敗戦。セルビア戦に続くホームでの完敗でどん底状態だった日本代表であるが、どちらかというとアウェーの環境といえるオーストリアのグラーツで強豪のイングランド代表と対戦。後半開始から4人のフレッシュな選手を投入したイングランド代表の前に2つのオウンゴールで逆転負けを喫したが、そのスコア以上に、選手たちと、遠く日本から見守っていたサポーターと、代表スタッフが失っていた「自信」と「誇り」を取り戻すきっかけとなりうる重要な試合となった。

残りはコートジボワール戦のみ。ワールドカップはもうすぐである。

■ イングランド代表のホンキ度

さて、先日のイングランド戦に限らず、日本代表が格上のチームを相手に勝利したり、善戦したりすると、決まって、「相手は本気ではなかった。」という定番のフレーズで水を差そうとする人が現れてくる。

本当にそうなのだろうか?

例えば、先日のイングランド代表はワールドカップに向けた最終のテストマッチである。最終の「23人枠」も決定しておらず、レギュラー争いも熾烈である。このシチュエーションで「ホンキ」で戦えない選手が果たしてイングランド代表の中にいるのだろうか?もし、そういう選手がいたとしたら、イングランド代表としてプレーする資格はないし、プロのサッカー選手としても失格である。

彼らの主張の裏には、「日本代表を認めたくない。」という心理が見え隠れするが、かなり相手に失礼な主張である。もし、逆の立場で、日本がアジアの中堅国以下のチームと戦ったとき、「ホンキ」で戦えない日本代表の選手がいたらどうだろうか。そういう選手を擁護できるだろうか?「大会前に怪我をしたくなかったので手を抜いていた。」という主張も説得力を欠く。試合の中で怪我をしてしまうのは、むしろ、中途半端に怪我を恐れて少し気の抜けた状態でプレーしているときが多い。

そういった水差し論ではなく、求められているのは、「なぜ日本代表がいい戦いが出来たのか」、「それでも強豪国相手に通用しなかった部分はどこなのか」といった確かな分析である。そういうものの方が、日本サッカーにとっても、はるかに有益である。

■ 偏差値を下げている人

こういった人たちにかかると、なぜかいつも、「日本の選手のモチベーションとコンディションは100%であるが、相手チームの選手のコンディションとモチベーションはそれほど高くない」という日本有利の状況で試合が行われる。だから、勝っても、負けても、試合後におかしな主張しか出て来ない。そもそもの前提が狂っているのだから、その主張のピントがずれていても仕方がない。

4年サイクルの代表チームを取り巻く状況、日本代表チームを取り巻く空気に面白みが欠けてきたのは、日本代表チームがピッチ上で魅せるパフォーマンスの問題だけでなく、こういう無責任な人たちの意見が幅をきかせるようになってきたからではないか、と思うときがある。

もう少し単純にサッカーを楽しめばいいのではないか、と単純に思う。見えない敵と戦う必要もないし、極度に相手チームの出来(コンディションやメンバー等)を気にする必要もない。もっと一喜一憂して楽しめばいいのではないだろうか。

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