絵麗奈(エレナ)公式Twitterより

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一体なぜそんなに注目されるのか

 3月15日、日本AVメーカーの公式Twitterが、香港に衝撃を与えた。生粋の香港人「絵麗奈(エレナ)」のセクシー女優デビューが発表されたのだ。

 デビューを発表するツイートには、香港人男性からと思われるリプライが多数ある。「全力支持」「地元メディアもこぞって取材しており、宣伝効果は絶大だ!」など、その多くは好意的だ。そしてネット掲示板でも話題をさらい、また当然ながら報道ラッシュもスタートした。

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 一体なぜそんなに注目されるのか。香港のメディア関係者はまず、日本の成人向けビデオに対する評価の高さがあるという。

絵麗奈(エレナ)公式Twitterより

「日本の成人向けビデオは中華圏で絶大な人気を獲得しています。人気女優の筆頭は蒼井そら。そして女優たちの人気を支えたのは、作品の高いクオリティです。ほかの産業と同じく、高品質の商品は利益や顧客の敬意を得て市場を勝ち取るものですから。海外から見ると、出演者を含む日本の制作チームはプロフェッショナルですよ」

 日本ではAV出演被害防止・救済法(AV新法)の制定と前後して、出演者をめぐるさまざまな被害が明るみに出た。世間の偏見を語る元出演者も多い。一方で海外では、そうした詳細をリアルタイムで把握するにも限界があるため、品質のみに関心が集まりやすいという。

 絵麗奈のデビューにしても「香港代表として応援する」など、スポーツ選手の海外移籍を思わせる賛辞もある。また、彼女のインタビューを続々と公開している地元メディアは、アダルトカルチャー専門ではない一般メディアばかりだ。

セクシー女優を「ビジネス」として捉える姿勢

 ただし、絵麗奈は“進出”の喜びだけを語っているわけではない。インタビューにはフリータレントとして以前から使っている芸名・素海霖(ソウ・ホイラム)として登場。自分自身や家族への思い、セクシー女優という職業に対する意識など、数多くの質問に答えている。

「彼女は2016年に香港の芸能プロダクションと契約しましたが、現在はフリーのようです。数年前からアダルトビジネスにシフトし、地上デジタルテレビ局の番組では恋愛や性の体験を大胆に語りました。現在は自分自身のマーケティングが非常に上手。突然の日本デビュー発表で注目されると、続くインタビューでの誠実な受け答えで人気を呼んでいます」

 インタビュー記事により、堅実で頭が良いイメージを伝えることに成功している。

「香港人の多くは、彼女をごく普通のタレントとして見ていると思います。一生懸命に働いて稼ぎ、何の罪も犯していない人を軽蔑することはありませんから。もちろん否定的な見方もありますが、地元メディアが公開している記事の中では少数です」

 絵麗奈が「一生懸命に働いている」ことは、セクシー女優を明確に“ビジネス”として捉える発言からもうかがえる。例えば日本デビューに向けて売り込んだ際、セールスポイントとして「香港初の日本セクシー女優」であることを挙げていた。「この話題は大きな反響を呼ぶでしょう。私の作品が最終的に売れなくても、少なくとも会社は海外に認知されるという利益を得られます」と、その理由を語っている。

「香港初の日本セクシー女優」は報酬面で優遇されたのかという直球の質問には、「地元の人たちもしていること(仕事)で、なぜ外国人の雇用にもっとコストをかけるのでしょうか?」と一般論で打ち返し、「(私の場合)金額は明かせませんが、きっと合理的で気分が良くなる額に違いありません。そうでなければ私はやりません」とまとめた。

「アメリカン・ドリーム」ならぬ「ホンコン・ドリーム」という言葉があるように、香港は“ビジネスで一旗揚げる”ことへの関心が高い。絵麗奈の発言は、ビジネスでの成功を重要視する香港人らしい内容であり、地元の共感を得た一因でもある。

飾らない姿勢もメディア受けの一因に

 もっとも、出演の動機は“金目当て”ではない。2年ほど前からネット上で自身の画像を販売しており、一定の収入はあったという。すべての出発点は「セックスが好き」という気持ち。「セックスを心から楽しんでキャリアに変えれば、成功する可能性は十分にありました」と本音を語っている。

 とはいえ一方で、“親バレ”への不安も隠さない。そうした飾らない姿勢もメディア受けにつながっているようだ。前出の香港メディア関係者は「彼女はニュースの作り方を知っている」と語る。

 今回のデビュー発表からすぐ、文化體育及旅遊局(政府機関)局長の祝賀コメントとされる“フェイク画像”が出回る騒ぎもあった。「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」でミシェル・ヨーが米アカデミー賞主演女優賞に輝いた時、同局が局長の名で発表したものが改ざんされたようだ。

 絵麗奈はその後に公開されたインタビュー記事で、影響力のある女性を目指していること、そして目標は女優のミシェル・ヨーとも語った。

デイリー新潮編集部