蔡英文総統

写真拡大 (全2枚)

(台北 18日 中央社)中国でアフリカ豚コレラが猛威を振るっているのを受け、蔡英文総統は18日、人々の日常生活や養豚業にもたらす影響が大きいとして国民に重視を促すとともに、中国に対し発生状況を隠蔽(いんぺい)しないよう呼び掛けた。また、防疫に必要な情報をタイムリーに台湾に通知する義務があるとした。総統府(台北市)内で報道陣と談話した際に触れた。

台湾では1997年、中国からの感染により口蹄疫が発生、400万頭を超える豚が殺処分されたほか、台湾産豚の海外輸出が禁止されるなど、約1700億台湾元(約6200億円)規模の損失を被った。似たような被害の再発を防ごうと、農業委員会は「2018年アフリカ豚コレラ中央災害対策センター」を設置。18日の初会合に出席した頼清徳行政院長(首相)は、フェリーで中国と行き来することができる離島・金門や税関、農場を自ら視察する姿勢を示した。また、水際防疫などを含む対策を指示し、万全の態勢で臨もうとしている。

家畜の伝染性疾病の発生予防やまん延防止を目的とした「動物伝染病防治条例」も一部が改正された。無許可で食肉を持ち込んだ場合の過料の最高額は1万5000元(約5万5000円)から100万元(約365万円)に引き上げられる。中国などアフリカ豚コレラの発生地域から豚肉製品を違法に持ち込んだ場合の過料の最低額は、18日より5万元(約18万円)から20万元(約73万円)へと引き上げられた。罰則が強化された初日午後5時時点で、桃園空港で2件が摘発され、いずれも中国籍配偶者による違法持ち込みだった。

台湾は口蹄疫の発生により、21年間豚肉の輸出を制限されてきたが、政府の取り組みにより、今夏ワクチン接種を中止、家畜衛生に関する国際機関「国際獣疫事務局」(OIE)による「ワクチン非接種口蹄疫清浄国・地域」の認定を目指している。

(呂欣ケイ、楊淑閔、邱俊欽/編集:荘麗玲)