国民生活センターへの相談件数は、2008年度が108件、12年度が243件。13年度はさらに上回りそう(写真はイメージです)

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予測を超える高額料金を請求されるなど、コインパーキングの利用トラブルが急増している。

例えば、「1日最大500円」と表示された看板を見て、コインパーキングに愛車を5日間止めたところ、8700円を請求されたというケース。

普通に計算すると、1日500円×5日間で2500円になるはず。ところが、実際にはそれより6200円も余計に支払わなくてはならない。これではトラブルになって当然だ。

ほかにも、「入庫当日最大1500円」と大書されたパーキングにお昼前に駐車し、当日の深夜に車を出そうとしたところ、なぜか8000円もの料金を請求されたなんてケースもある。なぜ、こんなことに?

「看板の裏に細かい文字で書かれるなど、とにかく料金体系の説明がわかりづらいパーキングが後を絶たないんです」(国民生活センター・広報)

前記の8700円を請求されたケースでは、確かに初日は1日500円で済んだのだが、2日目からは別料金体系となり、1時間100円の駐車料金がかかってしまった。その説明が精算機の裏に表示されていたため、利用者は気づくことができなかったのだ。

また、8000円を払ったケースでは、「最大1500円」の表記の下に「平日のみ(月〜金)」という小さな注意書きが。やはり読み落としてしまい、しかも、利用日が土曜日だったために、15分200円の通常料金が適用されてしまったという。

客寄せ用の低価格をデカデカと大書し、詳しい料金体系はこっそり豆粒のような文字で書いておく。はっきり言って“看板詐欺”だ。

行政側もこう注意を呼びかける。「よくあるのは『最大○円』という表示の下に、小さく『打ち切り』との4文字が入っているパターン。最大料金の適用は24時間、もしくは深夜0時で打ち切りになるので、その後に長時間駐車していると、高額料金になってしまいます」(国民生活センター・広報)

しかも、こうした料金トラブルは苦情を申し立てても、そのほとんどが泣き寝入りだ。

「コインパーキングの利用規定については、どのような文言を入れなければならないなどの明確な法的規制がありません。そのためクレームを受けても豆粒のような表示を指さして、『この説明、読みましたか?』と、利用者に非があるかのような対応をとる業者も少なくない。また、500平方メートル以下の小規模駐車場には、そもそも料金トラブルなどの違法行為について法的拘束力がないので注意が必要です」(国民生活センター・広報)

法律の専門家もお手上げだ。

「駐車料金を取り戻してほしいと相談されたとしても、『わかりにくい看板を設置した業者が悪い』『いや、説明を読み落とした利用者が悪い』と、どちらも譲らず、平行線になる可能性が高いです。訴訟で決着をつけようにも、駐車料金より弁護士費用のほうが高額になってしまう場合が多いと思われます」(弁護士法人ウィズの岡崎秀也弁護士)

それにしても、なぜこんなに悪質なコインパーキング業者が多いのか? 交通ジャーナリストの植村祐介氏がこう説明する。

「コインパーキングは自販機ビジネスと同じ。土地さえあれば、初期投資はわずか。誰でも参入でき、あっという間に撤退も可能です。だからこそ、詐欺まがいの看板を掲げるような不心得な業者も交じってしまうのでしょう」

コインパーキングは100円単位の小金をコツコツと積み上げて儲けるビジネス。業者はあの手この手で、100円玉の積み上げを狙ってくる。利用者はそう受け止めて、事前に料金説明をきっちり確認するなどの自衛策をとるしか、トラブル防止法はないってことか。