(※写真はイメージです/PIXTA)

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2024年にスタートした新NISAですが、株高の影響もあり、開始から2年が経過した今なお加入者が増え続けています。「非課税期間が一生涯」「最大1,800万円まで投資可能」など、そのメリットは広く知られるようになりました。しかし、サラリーマンが手堅く資産を築くなら、実は「iDeCo」にも非常に大きな優位性があります。本記事では、村野博基氏の著書『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社)より一部を抜粋・編集。新NISAiDeCoの違いをふまえて、サラリーマンにiDeCoが向いている理由を解説します。

本記事には、資産形成の方程式「Z=a(XーY)+b」が登場します。

(Z=資産、X=収入、Y=支出、a=時間、b=貯蓄)

この「資産=時間(収入ー支出)+貯蓄」の方程式をもとに、本書では資産形成において重要な要素を以下の2つであると定義しています。

収入ー支出がマイナスであること 時間をかけること

上記の内容をふまえて本記事を読み進めていただくと、理解が深まります。

NISAは使い方次第。無理してやるものではない

政府は「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、新NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、投資における税制優遇制度を整備しています。投資に関心があるみなさんにとっても注目度が高く実際に活用している方も多いのではないでしょうか。

とはいえ、私自身は新NISAは「あくまでただの制度で使い方次第。必ずしも無理してやる必要はない」と思っています。ですから新NISAでのつみたて投資枠や成長投資枠は使っていません。

そして「サラリーマンがまず投資をするなら、新NISAよりもiDeCoが向いている」と思っています。その理由としては、新NISAでの投資は自分が考える投資のセオリーとは異なるためです。新NISAは「絶対に行うべき投資」という位置付けではないと考えています。

株価が10%値上がりしても、インフレ率が10%なら収支はトントン

資産形成における大切な方程式「Z=a(XーY)+b」で考えてみましょう。

全世界株や米国株での積み立て投資は長年行っていけばプラスになる可能性が大きいでしょう。実際にオルカンやS&P500も10年前よりも上昇して良いパフォーマンスを出しています。ただ、これまでの投資がプラスだからといって今後がどうなるのかは未知数です。これからも全世界株式もアメリカ株も順調に上がるとは限りません。

同時に日本でも鮮明になってきたインフレを考慮する必要性が出てきます。

いくら指数に連動するインデックスファンドが10%値上がりしていたとしても、インフレ率が10%であれば実質的な価値は変わりません。インフレ下では物価の上昇以上に投資先の金融商品が伸びなければ、投資した資産は実質目減りしてしまいます。

数年前までお米5kgが2,000円台だったのに、昨今では4,000円台が当たり前になった状況であれば、インフレによる資産の目減りが実感しやすいのではないかと思います。

極端な例ですが「お米を5kg手に入れることに対する対価」と考えると、数年前の2,000円は今の4,000円分の価値があります。もしこのケースに備えて投資をするならば、2,000円が2倍になっていないと収支はトントンにはなりません。

今1万円で買えるものが10年後も1万円で買えるかは誰にもわからない

さらに「いつ使うか」という点も考慮する必要があります。多くの方は老後資金のために新NISAで積み立てるわけですが……。売却するときの出口をみなさんはどう考えているでしょうか。

「今の1万円と10年後の1万円は同じ価値か」を考えてみましょう。この問いは「運用して増やすから同じ価値ではない」という話ではありません。今1万円で購入できるものが10年後に同じ1万円で購入できるのであれば同じ価値、と考えるものとします。

この問いへの回答は「実際はそのときの経済状況に左右されてしまう」です。

現在と10年前を比べたら、1パック100円台も珍しくなかった卵は今や1パックの平均価格は300円台です。お菓子やパンも値段は据え置きでも量やサイズが減っていたりします。一方でPC機器などは同スペックだとこの10年間で恐ろしく安い値段になっていたりします。

つまり10年後の未来を正確に見通すことのできる人はおそらくいないのです。結局新NISAで積み立て投資をしても売却したタイミングの経済状況と使用用途によって価値が変わります。

そのため「インフレヘッジのための貯金」としては機能するかもしれませんが、あくまで「Z=a(XーY)+b」におけるb(貯蓄)のプラスアルファにしか過ぎないのです。

NISAは「必ず儲けさせてくれる制度ではない」

もう一つ、新NISAにおけるつみたて投資では困る問題が出てきます。つみたてによる投資は「ドルコスト平均法」がメリットになります。安いときにはたくさん買えて、高いときには少ししか買えないので、毎回同じ量を購入するよりも最終的に多くの量が購入できます。ただし、これは積み立てる資金が毎月手元から出ていくことでもあります。

それはつまり「Y(支出)が増える=キャッシュフローが赤字」の投資に該当します。投資に熱心になるあまり、日常で使えるお金を減らして、かえって生活が苦しくなる「新NISA貧乏」という言葉も話題になりました。そもそも、幸せになるために始めた投資で、日常の満足度が下がるのは、本末転倒ではないでしょうか。

NISAはあくまで「儲かった分」に対しての税制優遇制度で「必ず儲けさせてくれる制度ではない」という事実を忘れてはいけません。

利益が非課税になることは確かにメリットですが、儲からなければその恩恵は受けられないのです。

さらに新NISAでは利益に税金がかからない一方で、損をしても損益通算ができないというデメリットもあります。損失を繰り越すことができないので、負けが確定されてしまうのです。

NISA投資で勝って儲かる前提の制度であり、むしろ積み立てることでキャッシュフローがマイナスになるデメリットもあるので、それを理解せず「買って放置しておけば良い」とするのは大変危険だと考えています。これらの理由から「負けを極力回避したい」と考える私は新NISAのつみたてには積極的になれないのです。

サラリーマンならばiDeCoが向いている理由

むしろ同じ積み立てるのであれば、現在働いていて収入がある方はiDeCoのほうが先に活用すべき投資だと思っています。

iDeCoは原則として60歳まで資金をロックされるというデメリットはありますが、拠出した金額は所得から差し引かれるために支払う税金が減り、手元に残る金額は新NISAより増えます。つまり再投資できて複利で運用させる資金が新NISAより多く残るのです。

「Z=a(X−Y)+b」の公式のなかでは、「X−Yの(収入ー支出)がプラス」であることが最も重要です。

NISAの制度を活用した投資とは、Y(支出)を増やしてb(貯蓄)に資金を移動させ、「利益に係る税金を減らすことでb(貯蓄)の最大化を図る」になります。それより、まずはY(支出)である税金を減らすことのできるiDeCoに取り組んだほうが、「より負けない投資になるのではないか」と考えています。

村野 博基

個人投資