今年最大級となる負債1,259億円という数字が、ある決済代行会社の破産をきっかけに表面化した。日々のカード払いに支えられて経営している飲食店にとって、入金のタイミングは経営の生命線であり、取引先の経営破綻がそのまま連鎖的な資金繰り悪化につながりかねないという事実は、現金決済に慣れた業種以外の読者にも広く関わってくる話だ。今回は特定の一店舗にとどまらず、全国規模での連鎖的な影響が懸念されている点も見逃せない。
 
この会社は、クレジットカード決済の代金を先に立て替えて店側に早期入金し、後からカード会社に請求するという仕組みで知られてきた。客がカードで支払いを済ませても、店側への入金は本来1ヶ月以上先になることが多い中、この仕組みを利用すれば数日から数週間単位まで入金を早められるとあって、資金繰りに悩む飲食店から重宝されていたという。しかし破産開始決定により、予定されていた入金は止まり、決済端末そのものも使用できなくなるなど、取引先に及ぶ影響は一つにとどまらない。
 
さらに厄介なのは会計・税務上の扱いだ。商品や料理を提供した時点で売上はすでに計上されており、入金の有無にかかわらず税負担が生じてしまう。未回収の代金は売掛金として資産に残るが、貸倒れとして正式に損失処理できるまでには相応の時間がかかるとされ、その間の消費税負担も含めて、資金繰りをじわじわと圧迫する要因になり得る。
 
世間では感染症拡大に伴う加盟店減少が主な要因とされているが、脱・税理士の菅原氏はそれだけでは説明がつかないと指摘した。加盟店の審査をめぐるある出来事が金融機関からの信用を損ない、資金調達の道を狭めた可能性があるという見立てを示しており、コロナ禍という表向きの理由の裏に、別の決定的な事情が潜んでいたことをうかがわせる内容になっている。
 
菅原氏はさらに、こうした不測の事態に巻き込まれないための備え方にも触れており、平時の資金繰りに対する考え方を見つめ直すきっかけとなった。取引先の経営状況にリスクを抱える経営者にとって、自社の資金繰りのどこに弱点があるのかを考えさせられる内容だ。