東京23区の中古マンション、築20年でも1億超 購入の決め手はどこを見るべきか

写真拡大 (全7枚)

中古も「億の壁」が築25年まで

新築マンション価格の高騰が止まらない。
不動産経済研究所が2026年1月に発表した調査によると、2025年通年の東京23区における新築分譲マンション平均価格は、前年比21.8%増の1億3613万円と急騰し、3年連続の1億円超えを記録した。資材費・人件費ともに高止まりが続き、供給戸数は過去最少水準にある。

新築マンションの価格高騰から「新築は無理でも、中古なら」と考えて中古市場に目を向けてみると、そこにも厳しい現実が待ち受けている。

LIFULL HOME'Sが2025年(1~11月)に掲載した東京23区の中古マンション価格(70㎡換算)を調査したところ、築25年未満の物件はすべて平均価格が1億円を超える「億超え」という結果となった。
具体的には、築10年以上の物件の平均価格は約1.3億円、築15年以上で約1.25億円、築20年以上でも約1億円。築25年以上になってようやく平均8180万円と1億円を下回るが、いずれの築年数帯でも極めて高水準で市場流通している。これは「希望売り出し価格」のため、実際の成約価格はやや低くなる。

とはいえ、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の「季報 Market Watch」によると、2025年4~6月の東京都区部における中古マンション平均成約価格は7376万円(前年比+10.9%)と、引き続き上昇。また、2025年11月時点での東京23区における中古マンションの平均売買㎡単価は約114万円で、9年前(2016年)の約66万円と比べて48万円増加している。

価格高騰の背景について、調査を担当したLIFULL HOME'S総研は「23区内の新築マンション分譲価格が平均1億円超を3年以上継続しており、購入希望者の需要が中古物件にシフトして売り手市場となっていることが主因」と分析している。
実際、2020年と比較すると、事態の深刻さはさらに鮮明だ。最も価格が上昇したのは「築10年以上15年未満」で217.6%(+7,275万円)、「築15年以上20年未満」も212.5%(+6,575万円)と、いずれも2倍以上に値上がりしている。

購入判断のカギは「築年数」より「状態」

こうした市場環境のなか、人々は中古住宅をどのような視点で選ぼうとしているのか。AZWAY(本社・東京都新宿区)が2026年1月に実施したアンケート調査を見ると、その実像が浮かぶ。

中古住宅を購入する際の考え方として最も多かったのは「状態次第で変わる」で42.0%。次いで「築年数が多少古くても立地を優先したい」が30.7%、「価格を優先したい」が12.0%だった。
一方、「築年数の方が重要」と答えた層は合計13.0%にとどまり、87%が「条件次第では中古も検討する」という柔軟なスタンスをとっている。

とはいえ、許容できる築年数では「築6~10年」が22.3%で最多、「築11~15年」の21.3%とほぼ同じ。築15年以内まで許容する人は合計55.3%、築20年以内まで広げると68.7%と約7割に達する。

「株式会社AZWAY」調べ
明るいキッチンでイメージが変わる

「水回り一新」が中古購入の許容範囲を広げる

「築年数の許容範囲が伸びる条件」(複数回答)で最も多く挙げられたのは「水回り(キッチン・浴室・トイレ)が一新されている」で73.0%。毎日使う場所が新しければ、多少の築年数は気にしないという生活実感に根ざして判断しているようだ。
2位以降は「新耐震基準相当の耐震性が明確」60.7%、「雨漏り・シロアリの検査・対策済み」60.0%、「立地が理想(駅距離・学区・利便性)」57.7%、「給排水管・電気配線などの主要設備が更新済み」51.0%と続く。こちらの調査は1人あたり平均5.6項目を選択しており、築年数の許容については複数条件を組み合わせで判断していることがわかる。

「株式会社AZWAY」調べ

一方で、築年数が古い中古住宅への不安(複数回答可)として最も多かったのは「耐震性(地震への強さ)」74.7%。実に4人に3人が地震への不安を抱えている。
2位は「雨漏り・腐食・構造の劣化」68.0%、3位が「給排水管・電気配線などの老朽化」64.3%と、建物の基本機能に関わる部分への不安が上位を占める。いずれも外見からは判断しにくく、専門家の調査が不可欠な領域だ。また「将来売りにくい・資産価値が下がりそう」という不安も34.3%あり、中長期的な資産性への意識が高まっている。

「株式会社AZWAY」調べ
自分オリジナルにできるのが中古の魅力に

購入判断の核心――最後の基準は「納得感」

中古住宅に対するイメージ(自由記述)では、「安い」関連の言及が60.7%で最多。「リノベ・リフォーム」が56.0%(168件)で続く。
「価格を抑えられるのが魅力」「自分好みに作り変えられる」「好立地の物件を選びやすい」という前向きな声が寄せられた。
その一方で「耐震や劣化が不安」「修繕費が読めない」「将来的に資産価値が下がりそう」という懸念も根強い。しかし、「リフォーム済みなら検討したい」「状態次第では選択肢に入る」という条件付きの肯定的意見が多いのも特徴だ。

「株式会社AZWAY」調べ

新築の平均1億3613万円、中古も築20年超で1億円前後という現実のなかで、「中古=安い」という旧来のイメージは過去のものとなりつつある。
それでも中古を選ぶ動機として人々が挙げるのは、新築との価格差に加え、立地の良さとリノベーションの自由度だ。
実際、「水回りの一新」73.0%、「耐震性の明確化」60.7%、「設備の更新」51.0%という数字からは、単に安いだけでなく、物件の実態を見極めた「納得感」こそが購入判断の核心になっているということだろう。

東日本レインズの月例データによれば、首都圏中古マンションの成約㎡単価は67カ月連続で上昇している。価格を基準にしていた時代から、物件の「状態」と「立地」と「将来性」を総合的に判断する時代へと、中古マンション市場に求められる目利き力は、かつてないほど高まっている。