「コロナかも」と上司に相談…まさかの対応に言葉を失った

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「コロナウイルスは防ぎようがない、かかっても仕方がない……そう言っていたはずの上司が豹変したんです。5年ほど上司の下にいますが、あれほど冷酷だったとは……」

 東京都内の大手商社勤務・斎藤忠司さん(仮名・30代)は6月上旬頃、悪寒を感じた後に、3日続けて37度台の発熱があった。咳や頭痛はなく、肺の痛みなどもなかったが、さすがにこの時期である。頭をよぎったのは「コロナ」の不安だった。

 社員に感染者が発覚した場合、職場では何かしらの対応を迫られる。もしも自分に心当たりがある場合、まずは上司に相談するはずだ。しかしそのとき、上司から飛び出した意外な言葉とは……。

◆「コロナかもしれない」と上司に報告したところ…

「じつは以前、本社やグループ会社の社員に新型コロナウイルスの感染者が出ていました。ただ、彼らは私らみたいな若手中堅ではなく、かなりのベテラン。陰口を言う人はいたものの、表向きは『仕方ないね』で済んでいた。上司ともそういう話をしていました」(斎藤さん、以下同)

 ところが、斎藤さんが体の不調をうったえたところ、上司の態度は急変。その前々日に、上司から誘われて飲みに行っていたこともあり、すぐに「釘」を刺してきたという。

「まず、飲み会自体は問題がなかったし、消毒もしていたからあそこでかかるはずがない、そうだろう? と同意を促すんです。

 電話は録音もされていました。さらに、飲み会の件を口外したら、会社が大変で週刊誌沙汰になるから言うなとも。見舞いの言葉? 一切なかったですね」

 のちに保健所やかかりつけの病院に相談したが、結局はたんなる風邪と診断。斎藤さんは、上司の強い要望もあり出社を継続した。

 ただし、その上司は斎藤さんとの接触を一切拒んだというから血も涙もない。

◆「黙っていれば会社の籍は保証する」

 同じく都内の番組制作会社の社員で、都内の大手テレビ局でディレクターとして活躍する勝間信明さん(仮名・30代)も、同様の経験をした一人。

 約1か月前、新宿・歌舞伎町のホストクラブを取材し、新型コロナウイルスにかかった従業員の知人に取材をしていたのだというが……。

「彼らが罹患していることを隠して働いている、隠さざるを得ないというような報じ方をしたんです。それでホストや水商売の人たちが叩かれたりしましたけど、結局うちの会社も同じでした」(勝間さん、以下同)

 勝間さんは電話取材の直後、発熱や咳はないものの、強い倦怠感を覚えたという。そのことを、正直にテレビ局の社員ディレクターに報告したのだが……。

「そもそもホストの取材は知らなかった、制作会社が勝手にやったことだと言い始めたんです。私は、社員ディレクターから言われて取材に行ったにも関わらずですよ?

 さらに、制作会社の上司にまで根回ししていて、気持ちはわかるが逆らえない、と念を押されました。本当にかかっていたら労災だろうし、何の補償もなければどうやって家族を養っていけばいいのか不安で不安で……」

 制作会社の上司からは、やんわり「黙っていてくれれば会社の籍は保証する」的なことを言われたそうだ。他に感染者が出てもおかしくないなかで、報道に携わる人間としてもあり得ないと思った。だが……。

「その後、2週間リモートワークということになり、体調は1週間もすれば戻りました。医師の診断も経て、現在は職場に戻っているものの、こんな感覚で仕事をしている人たちと一緒に働きたくないな、と不信感が消えません。今後もやっていく自信がないです」

 新型コロナウイルスよりも怖いのは、人間の本性かもしれない。治療やワクチンで解消されるようなものではなく、ウイルスよりもしぶとく、延々と我々を悩ませるのだ。<取材・文/森原ドンタコス>