一周回って新鮮! ホンダの技術が光るユニークなクルマを選出

 各メーカー、それぞれ個性があって、独自のクルマ作りを行なっているが、なかでもホンダはユニークなクルマが多い。スポーティなだけでなく、コンセプト自体も変わっているものが多く、飽きやすいとも言われるだけに、後継車もなくて一発屋も多かったりする。今回は、エポックメイクなホンダ車を勝手に7台選んでみた。

1)NSX

 日本初のスーパーカーで、F1ドライバーのアイルトン・セナも開発に関わったという、定番中の定番だけに、外せない。進化し続けて、タイプRにまで行き着いたのも凄い。また半永久的に面倒は見るということで、専用のセンターを設けて今でも対応している点も、まさに別格の存在だ。

2)ビート

 ABC戦争のBとなるが(A:マツダAZ-1/C:スズキ・カプチーノ)、ほかの2台と大きく異なるのはNAであること。そもそもカプチーノとAZ-1はスズキ製の同じエンジンで、ターボを採用していたのだが、NA重視のホンダはビートでもNAを採用した。F1ゆずりの技術を取り入れたり、3連スロットル化したりして、見事64馬力を達成。ミッドシップというのももちろん注目だ。

3)インテグラタイプR

 タイプR第1弾となる、初代が登場したときはかなり驚いた。手作業でポート研磨するなど、まさにチューニングカーのような内容。エンジンを回すとかなり音が大きかったが、不快なものではなく、レース車両のような雰囲気すら漂った。FFなのにグイグイ曲がる足まわりなど、ホンダの神髄を見せつけられたクルマだった。

4)オデッセイ

 それまでもミニバンというものはあったけど、1ボックスベースのものが多く、走りは二の次感はあった。そこに、アコードをベースにして登場したのが初代オデッセイだった。車高は低めでスタイリッシュだったし、走りも乗用車ライクで、ストレスもなかった。ちなみに車高が低いのは、当時の生産ラインに制約があったからで、たまたまとも言える。そもそも社内的には発売するのは大反対だったというが、もちろん大ヒット。

ホンダイズムが炸裂! ユニークなコンセプトや技術のクルマ多数

5)シビックSiR

 VTEC自体はすでに他車に採用されていたが、シビックに積まれたのは衝撃的だった。ピーキーなCR-Xもよかったが、シビックはそもそも大学生のデートカー的な存在だったし、気軽に楽しめる感はこちらのほうが上だった。パンチのある吹けと、タックイン強めの足まわりなど、実用性もありつつ、走りを存分に楽しめた。もちろんその後のタイプRシリーズへとつながっていくモデルだ。

6)CR-X デルソル

 2代続いたCR-Xの3代目がこれ、と言われたときに腰が抜けた。それまでの硬派なFFスポーツというのはナリを潜めて、気軽な2シーターに変身。当時、開発者に聞いたところ、時代によって進化するものだという、言い訳的なことを言っていたのを覚えている。

もちろんトピックスは複雑に動く、電動トランストップ。今のようなスマートなメタルトップではなく、ルーフを別のステーが迎えにきて、収納して引っ込むといった、非常にユニークな仕組みだった。

 これだけでも、デルソルの存在価値は十分にあったとも言えなくないが。ただしよく壊れたが(壊れると手動で操作可能)ホンダらしい、とりあえず面白いもの出してみたという典型のクルマだ。

7)シティ

 実用性もさることながら、コンセプト、デザイン、そしてマッドネスを起用した広告戦略までも前代未聞だっただけに、登場時は衝撃的だった。

またホンダらしく走りに振った、ターボも追加されたのも注目で、ブリスターフェンダー装備のターボIIはブルドッグの愛称で呼ばれた。ピニンファリーナが手がけた、カブリオレも話題になった。

 以上、7台をあげてみたが、もちろんほかにも選びきれないほどある。ユニークなRVが続々と登場したクリエイティブムーバーシリーズ。天童木工のウッドパネルにこだわり、2リッターV6に採用したウイングターボ、ニュルで走りを煮詰めたレジェンドや、直5のインスパイアなどのセダン群も魅力的だ。いずれにしても、ユニークなコンセプトや技術ばかりで、まさにホンダイズム炸裂だった。