新入社員は何事も最初が肝心。お金が貯まる「4つの心得」とは?(写真:しげぱぱ/PIXTA)

めっきり春めいてきた。大半の会社ではいよいよ新年度が始まる。多くのオフィスに新入社員がやってくる。

新入社員が覚えるべき「お金の4つの心得」とは?

そこで今回は、当面の経済とマーケットの動きではなく、新入社員や若手社員を中心に「お金の扱い方の4つの心得」を授けたいと思う。何事も最初が肝心だ。始めから正しくお金を扱えるようになっていると、後が楽だ。


この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

(1)「リボ外し」を徹底し、不利な借金を避ける

新入社員は、給与振り込みのために新たに銀行口座を作る場合が多い。かつての筆者は、三菱商事という会社に就職したので、当時の三菱銀行に給与振り込み用の普通預金口座を作らされた。この口座は、今でも主な取引口座として使っている。

さて、昨今、銀行に預金口座を開き、キャッシュカードを作ると、カードにクレジットカード機能が付いている場合が多い。あるいは、預金口座と一緒にクレジットカードのセールスが行われる。

ネット通販の支払いや海外旅行などクレジットカードを使う機会は多いので、クレジットカードを持つこと自体は悪くないのだが、この際に、「絶対に」リボルビング払いを選ばないことを徹底してほしい。

リボルビング払いとは、大きな買い物をした場合に、毎月1万円、2万円、といった金額で預金口座から支払いを行う仕組みで、口座の残高が足りなくなる心配が小さいので、つい選んでしまいがちになる。

しかし、リボルビング払いでは、「借金」の残高が残りやすく、この借金には10%以上の金利が付いて回る。この金利水準はまったくばかばかしい。

近年、金融機関はリボルビング払いの勧誘に力を入れており、リボ払いを選択すると、何らかの特典が付いてきたりする場合もあるのだが、絶対にリボ払いを選んではならない。また、カードに関して何らかの設定をする際に、リボ払いを選んでしまう可能性があるので、支払い明細を確認する際に、リボルビング払いになっていないことを確認する、「リボ外し」を徹底してほしい。

筆者は、ある大学で6年間ほど週に2コマ授業を持っていたことがあるが、学生には毎年、「恋人と一緒に買い物をして、リボ払いを選ぶような相手と結婚してはいけない。経済観念のない相手と結婚すると苦労するからだ」と必ず伝えるようにしていた。

リボルビング払いは、借金生活への入口だ。もちろん、これ以外に、銀行のカードローンなどの借金を利用しないほうがいいことは言うまでもない。

がん保険も「不要」、保険の本質とは「損な賭け」

(2)独身者は生命保険に入らない

借金と並んで新入社員が近づかないほうがいいものに、生命保険がある。近年は、会社の出入り口のセキュリティ・チェックが厳しくなって、生保のセールスがオフィスまで入り込むことが難しくなったが、それでも、さまざまな形で生命保険の勧誘が行われている。

はっきり言って、独身の新入社員に生命保険はいらない。死亡保障の普通の保険はもちろん、がん保険をはじめとする医療保険も会社で健康保険に入っているので不要だ。はっきり言って、がん保険に入ったからといって、がんの発病率が下がるわけではない。

新入社員が勧誘されることは少ないかも知れないが、外貨建てなどの年金保険や終身保険などの貯蓄性を強調する保険にも入らないほうがいい。

保険の本質は「損な賭け」だ。どうしても必要な場合にだけ(たとえば自動車を運転する際の自賠責保険のように)、必要最小限の金額と期間について、必ず掛け捨てで、保険料の安い物を選ぶのが基本だ。

新入社員は、相続対策の生命保険は考えなくていいだろうから、当面保険が必要になる場合があるとすると、結婚して子どもができた場合に、ある程度の金額の死亡保障の保険に入ることを検討する程度だろう。その場合、ネット生保などで、保険料の安い保険に加入するべきだ。

人間がセールスする保険は、国内系、外資系の別を問わずおしなべて保険料が高く不利だ。投資信託などの運用商品もそうだが、保険も含めて、金融商品は人間から買うと幸せになれないことを覚えておこう。

(3)確定拠出年金はなるべく大きく利用する

入った会社に確定拠出年金制度があれば、是非加入して、なるべく大きな金額で利用しよう。確定拠出年金は、掛け金が所得から控除されるので、税金面で確実で大きなメリットがある。原則として60歳まで資金を引き出せない点に不自由があるが、老後に備える貯蓄はどのみち必要なので、最も有利な資金の振り向け先として、最大限に使いたい。運用商品を選ばなければならない点が面倒かもしれないが、外国株式と国内株式のインデックス・ファンドの運用管理手数料が安い物に概ね6:4(外国株6割、国内株4割)で投資することをお勧めする。

運用益に課税されないメリットを活かすには、定期預金などの元本確保型の商品を選ぶのは「税制上もったいない」し、今やゼロ利回りの債券を含むバランスファンドは「運用効率上もったいない」し、運用管理手数料(信託報酬)が0.3%を超えるようなアクティブファンドは「手数料が高すぎてもったいない」ので、いずれも避けるべきだ。

筆者は、これらの投資家は選ばないほうがいいのだが、確定拠出年金のラインナップに並べられている運用商品を「地雷」と呼んでいる。もともと地雷を外しておいてくれるといいのだが、制度を提供する金融機関としては、少しでも儲ける機会を増やしたいので、加入者の選択ミスに期待してこうした地雷を並べることになる。こうした汚さが、大人の社会の現実なのだ。新入社員諸氏は、余計な商品が並ぶ確定拠出年金の運用選択肢ラインナップを眺めて学んでほしい。

入った会社に確定拠出年金がない場合は、通称「iDeCo」こと個人型確定拠出年金を利用することを検討しよう。1年目の初任給の中からでは難しいかもしれないが、2年目くらいからはぜひ利用するといい。

貯蓄のメドはどれくらいか?

(4) 手取りの1割を貯蓄する

人生全体を通じたお金の問題は、(1)よく稼ぐ、(2)計画的に貯める、(3)間違えずに運用する、(4)計画的に取り崩す、という4つのプロセスを実行することで解決できる。

将来に備えていくら貯めなければならないか、また、老後にどのようなペースで資産を取り崩して使うといいかについては、サラリーマンの場合、概ね手取り所得の20%くらいを貯めたらいいという数値が出ることが多い。この計算は、世間の平均値などではなく、必ず「自分の数字」でやってみてほしい。(※ 計算サイトは以下。「人生設計の基本公式」で検索してもいい。)

新入社員の場合、まだ給料が十分高くない場合が多いので、手取りの20%を貯蓄することは難しいかもしれないが、貯蓄の習慣は早めに作りたい。手取り収入の10%くらいでもいいので、着実に貯めるようにしたい。

当初は、貯めていくお金の置き場所は、銀行の預金でもいいが、一部を例えば「つみたてNISA」のような積立投資に回して、内外の株式のインデックス・ファンドで運用すると、運用の要領を早く覚えることができる。


(番外)自分への教育投資は積極的に

直接的にお金の扱い方ではないが、自分への教育にお金と時間と手間を掛けることはビジネスパーソンになってからも重要だし、特に、若いうちの「投資」が有効だ。

若い時分の方が知識の吸収効率がいいし、得た知識をより長く利用できる点でも効果が大きい。仕事に関連する書籍を積極的に買うといい場合が多い。ただし、この場合に、本の代金よりも読書時間のコストが高くつくことを覚えておこう。読む途中につまらないと思った本を無理に終わりまで読む必要はない。

もちろん、外国語の習得や、資格試験の勉強などに対するお金と時間の投資も有効だ。

ここからは恒例の競馬コーナーだ。

4月1日の日曜日には、昨年からG1に格上げされた大阪杯が行われる(阪神競馬場11R)。

先般、ちょうど筆者が予想の順番に当たっていた金鯱賞(G2、中京競馬場2000メートル、3月11日開催)では、左回りコースが得意なスワーヴリチャードが、前半引っかかりぎみになりながらも力で押し切る強いレースぶりで勝った。

大阪杯でも人気になりそうだが、今回の阪神競馬場は右回りコース。左回りコースが得意なスワーヴリチャードは、金鯱賞のようには簡単にいくまい。

大阪杯の本命はサトノダイヤモンドで

では本命はどの馬にすべきか。その金鯱賞で本命視されながら、勝てずに3着に終わったサトノダイヤモンドが浮上してくる。なんといっても3歳で有馬記念を勝った馬だ。金鯱賞を「たたき台」に、今回の大阪杯では十分差し切れると見て、このサトノダイヤモンドを本命に採る。

対抗にはミッキースワロー、単穴にはアルアインを選ぶ。

両者の比較は迷うところだが、昨年秋の2レースの勝ち負けを素直に評価して、前者を対抗にした。以下、スワーヴリチャードとペルシアンナイトを連下に押さえる。