制限だらけの現場で“神ショット”連発!ULTRA JAPAN公式カメラマンの裏側

今年、ライブドアニュースではULTRA JAPANの特設サイトを開設。ステージの熱狂を生み出すクリエイターたちの仕事や、その舞台裏に迫る連載を展開していきます。

第1弾は、2013年の「Road to ULTRA」から約10年にわたり撮影を担当してきたカメラマン・成瀬正規(なるせ・まさのり)さんにフォーカス。日本最大級の都市型フェスを、まさに“裏側”から支えてきたカメラマンの姿には、想像以上のドラマがありました。

成瀬正規(なるせ・まさのり)
ライブ撮影を中心に、音楽フェスやイベント、アーティストのポートレートなど幅広いジャンルで活躍するカメラマン。FUJI ROCK FESTIVALをはじめとした多数の大型フェスを撮影しており、ULTRA JAPANには初年度から携わっている。演出や照明が目まぐるしく変化する中、その瞬間の熱気や臨場感を逃さず切り取るスタイルで、多くの支持を集めている。

Instagramhttps://www.instagram.com/mnp.hoto/


撮影は常に一発勝負!ULTRA JAPANの現場は超高難度だった



「花火や紙吹雪のタイミングも教えてもらえないし、立ち入り許可は数分だけということもあります」

成瀬さんが取材の冒頭にさらりと語ったこの一言に、編集部は驚かされました。その語り口からは、過酷な撮影環境にも落ち着いて対応してきた経験がうかがえました。
ULTRA JAPANの撮影は、とにかく制限だらけ。ヘッドライナークラスのアーティストになると、ステージ周囲の撮影エリアは極端に限定され、専属カメラマン以外は入れないことも多いそうです。成瀬さんは、スピーカー裏のすき間や仮設の足場など、限られたスペースを駆使してカメラを構えます。

「安全には最大限配慮しながら、登れるところには登ります。高さや角度を変えることで、より立体感のある絵が撮れるんです」

さらに驚かされたのが、演出に関する情報は基本的に“非公開”ということ。花火や火柱、紙吹雪といった大きな仕掛けすら、事前に「このタイミングで出ます」と知らされることはありません。

「特効(とっこう)室っていう、花火や炎、紙吹雪なんかをコントロールする部屋があるんですけど、そこに人が入るタイミングとか、スタッフの視線とか、そういう“雰囲気”を感じ取るようにしています。紙吹雪なら補充作業の動きなんかがヒントになるんですよ(笑)」


現場の空気の“読み”と、瞬時の判断力。そこに一瞬の演出を逃さない集中力が加わって、ようやく「一発勝負」が成立する。撮れなかったから次、という“撮り直し”の選択肢はこの現場には存在しません。

もはやアート。ULTRA JAPANの熱狂を切り取る一枚



成瀬さんに「これまでのベストショットを見せてください」とお願いすると、モニターには圧巻の写真が次々と映し出され、編集部からは思わず歓声が。

まず映ったのは、DJ Mija(ミハ)のステージ。空模様と衣装が偶然にもシンクロし、アート作品のような1枚に仕上がっていました。


次に登場したのは人気DJ「Afrojack(アフロジャック)」。LEDに「AFROJACK」と文字が浮かぶ中、炎が同時に噴き上がる劇的な瞬間を切り取ったショットでした。


さらに、EDMデュオGalantis(ギャランティス)の写真。中央のドラムセットを活かした構図が、彼らのライブ感をそのまま表現しており、まさに“その場にいたような迫力”が伝わってきました。


そして、極めつけは近隣ビル屋上から撮影した花火のショット。都市型フェスならではの景色に、圧倒的なスケールの演出が重なり、編集部からは「すごい迫力…!」という驚きの声が上がりました。


「毎年ステージの形は変わるので、同じ構図はほぼない。花火も紙吹雪も炎も一度きり。特にヘッドライナーは演出が多いので、終始目が離せません」

制限だらけの中で、ほんの数秒のチャンスを逃さず切り取る。経験と勘、そして“ここなら撮れる”という嗅覚が、唯一無二の一枚を生み出していました。

撮ったら即アップ!フェス画像がSNSに届くまで



「ULTRA JAPANでは、撮った写真がすぐに次の工程へと送られていくんですよ」

実は、ステージ撮影は成瀬さん一人で完結するものではありません。撮影と同時進行で、画像処理や選定などの作業が進められており、現場では複数のスタッフが分単位の連携で動いています。
撮影直後、データを受け取る「ランナー」、ベストショットを即座に選び出す「セレクター」、そして色味や明るさを調整する「レタッチャー」まで、それぞれの役割がテンポよくつながっていきます。

「曲の終わりごろにランナーが横に来て、終わった瞬間にカードを渡すこともあります。早いと20分以内でSNSにアップされるんです」

スピードと正確さが求められる現場。現地で撮影して、すぐ届ける。それが今のフェス現場のスタンダードになっているのです。

「誰もが音楽に本気で向き合っている」レンズ越しに感じた現場の熱



撮影から画像処理までが一連の流れで進行するULTRA JAPANの現場は、緊張感とスピード感に包まれていました。派手な演出の裏には、的確な判断と集中力を持ったプロフェッショナルたちの動きがあります。

一方でULTRA JAPANと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、派手なレーザー演出と大音量のビート、カラフルなファッションに身を包んだ観客たちかもしれません。
しかし、レンズを通して現場を見つめてきた成瀬さんの目には、それとは少し違う景色が映っていました。

「お祭り騒ぎのようなイメージを持たれる方が多いと思いますが、観客は意外にそうでもない。もちろん華やかではあるけれど、みんな本当に音楽が好きで、ちゃんと聴きにきているんですよ。泣いている人、手を合わせている人もいる。熱いんですよ、すごく」

また、ステージに立つDJたちも“勝負”の瞬間に挑んでいます。
出番直前、深呼吸をしたり、言葉少なになるその姿は、まるでアスリートのよう。
一見するとクールで余裕がありそうな彼らも、ステージに立つ直前には緊張の面持ちを見せるのだといいます。
誰もが音楽に本気で向き合っている。その真剣さこそが、このフェスをただの「派手なパーティー」にとどめない理由なのかもしれません。

◆東京でしか撮れない。“都市型フェス”の唯一無二の景色

最後に、ULTRA JAPANならではの魅力についてうかがいました。
「お台場のビル群を背景に、レーザーや花火が交差する光景は、ほかのフェスではまず見られないですね。世界基準の演出と、東京らしい景色。その両方がそろっているのが魅力です」

たくさんの大型フェスを見てきた成瀬さんだからこそ語れる、ULTRA JAPANの特別さ。自然の中で開催される野外フェスとも違う、“都市の中で行われる圧巻のショー”には、独特のエネルギーがあるといいます。

お台場というロケーションには、近未来的なビル群と東京湾の開放感が同居しており、そこに色鮮やかなレーザーや火柱が加わることで、唯一無二の他にはない風景が完成。まさに“都市型フェス”ならではのスケール感です。 成瀬さんは今年もまた、誰より近くでその熱狂をレンズに収めます。