「ハッピーバースデー・トゥーユー」訴訟が和解:ワーナーは1,400万ドル支払いへ

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「ハッピーバースデー・トゥーユー」の著作権使用料を徴収してきた音楽出版社のワーナー/チャペルが、これまでに使用料を支払った人たちに1,400万ドルを払い戻す和解案に合意した。

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2月8日(米国時間)に提出された訴訟の和解案によると、音楽出版社のワーナー/チャペル・ミュージック(ワーナー・ミュージック・グループの一部)は今後、公の場で「ハッピーバースデー・トゥーユー」を歌う人たちから著作権使用料を徴収することができなくなり、これまでに使用料を支払った人たちに1,400万ドルを払い戻すことになるという。

今回の和解案の発端となったのは、ハッピーバースデー・トゥーユーの著作権の無効を訴える映画制作者ジェニファー・ネルソンが2013年に起こした集団訴訟(日本語版記事)だ。

ハッピーバースデー・トゥーユーはもともと、19世紀にまでさかのぼる童謡「Good Morning to All」のメロディを原曲としている。この曲の成り立ちがよく分かっていないにもかかわらず、ワーナー/チャペルは、「この曲は1935年に著作権登録されており、公に使用する場合は著作権使用料が支払われなければならない(無断使用には15万ドルの制裁金が課される)」との立場をとってきた。

今回の和解案は今後、この訴訟を担当している米連邦地裁のジョージ・キング裁判官の承認が必要とされる。キング裁判官は2015年9月、ワーナー/チャペルが根拠としている著作権移譲契約は無効であると判断し、ネルソン氏をはじめとする原告に対して仮勝訴を言い渡した。その判決の中で同裁判官は、(1935年に登録されたのはピアノへの編曲であって、歌詞の著作権は無効であるとの判決を下して、)個人的な意見として、1935年の著作権登録作者とされるパティ・ヒルがこの曲を作曲したかどうかは疑問が残ると指摘した。

ワーナー/チャペルは、主に映画やテレビ番組などの創作物で、ハッピーバースデー・トゥーユーを使用した人たちから、1年あたりおよそ200万ドルの使用料を徴収してきた。ネルソン氏のような独立系ドキュメンタリーの制作者にとって、数千ドルの使用料は大きな費用となりうる。評価の高い1990年代のドキュメンタリー映画『Hoop Dreams』の制作者が、5,000ドルの著作権使用料を支払ったことはよく知られている。この作品には、主要出演者の家族が「ハッピーバースデー」を歌う場面があったからだ。

1,400万ドルの払い戻し金は、2種類の原告グループに支払われる予定だ。ワーナー/チャペルに対し、2009年よりも前に著作権使用料を支払った人たちと、2009年以降に支払った人たちだ。前者は最高で支払い額の15パーセント、後者は全額の払い戻しを受ける権利を有する。

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