常葉菊川の女性記者セクハラ 「被害者」朝日、毎日は口閉ざす
2007年春のセンバツ高校野球で優勝し、夏もベスト4入りを果たした野球の強豪「常葉菊川高校」がセクハラ騒動に揺れている。週刊誌が「同校野球部の監督や主力選手が、チームに密着取材していた女性記者にセクハラ行為を働き、うつ病による休職に追い込んだ」などと報じたのだ。報道を受けて高野連も調査に乗り出す考えを表明したが、「被害者」であるはずの新聞社の口は重い。
担当女性記者2人が休職に追い込まれる?
「セクハラ騒動」を報じたのは、「週刊文春」08年5月15日号(首都圏では5月8日発売)。記事によると、同校野球部の森下知幸監督(47)が、06年12月下旬から、同校を担当していた毎日新聞のA記者(20代女性)にセクハラ行為をしたというのだ。記事によると、監督はA記者を無理矢理カラオケに誘ったほか、A記者が運転していた車に無理矢理乗り込み、A記者の手を握るなどしたという。
さらに07年夏には、同校が静岡県大会を勝ち進んで全国大会に進んだ際の大阪府内の宿舎でもセクハラ行為があったのだという。被害者は、同校を担当していた朝日新聞のB記者(20代女性)。B記者と同校は同じホテルに宿泊していたのだが、同校の主力選手が突然B記者の部屋を訪問。B記者がドアを空けると、露出行為に及んだという。大会後も、この選手はB記者の携帯電話に執拗に電話をかけ、わいせつな言葉を繰り返したという。
その結果、A記者もB記者も、07年夏から秋にかけて休職に追い込まれたという。確かに、朝日・毎日の過去の紙面から、同校の担当記者による記事の執筆状況を調べてみると、A記者は07年8月初旬から08年4月下旬まで、B記者は07年11月中旬から08年2月下旬まで、全く署名記事を書いていない(毎日新聞の記事は、原則署名入り)。
さらに言えば、A記者もB記者も06年4月、静岡を「振り出し」として新聞記者としてのキャリアをスタートしている。仮に「文春」が報じる内容が本当であれば、監督と主力選手は1〜2年生の駆け出しの記者に対してセクハラ行為を行ったことになる。
特に毎日新聞のA記者は07年1月末から3月中旬まで、「センバツ」を盛り上げるための企画として、同校を応援する連載を40回以上にわたって担当。これだけでも「1年生」にとっては、やや荷が重い仕事だが、「文春」が正しければ、「セクハラ後」に、これだけの作業を担当したことになり、心労の重さが想像される。
大会主催者という立場のせい?で口が重い
いわば、今回は「被害者」という立場の両新聞社だが、両社とも高校野球大会主催者ということもあって、一様に口が重い。
毎日新聞社長室広報担当は、J-CASTニュースの取材に対して
「当該事案については、常葉菊川高校に調査を求め、回答を得た上で適切に対応しました」
とのみ文書で回答。セクハラがあったことは否定しなかったが、詳細については明らかにしなかった。
朝日新聞社にも5月8日正午頃に取材を申し込んだが、同19時現在、回答は寄せられていない。ただし、読売新聞が5月8日朝刊で報じたところによると、朝日新聞社は読売新聞の取材に対して
「この(セクハラ被害の)件には答えられない」
と答えたという。
常葉菊川高校にも電話取材を試みたが、1分間ほど保留音が続いた後に、電話に出た女性が
「担当者が会議中なので対応できない。会議はいつ終わるかわからない。めどがたたない」
と繰り返すばかりだった。
セクハラ報道を受け、日本高等学校野球連盟(高野連)08年5月8日、静岡県高野連に対して、学校側に事情を聴くように指示したことを明らかにした。週明けにも、静岡県高野連から報告を受ける予定だ。
「文春」の取材に対してはセクハラを全面否定していた森下監督。高野連による事情聴取結果に注目が集まりそうだ。
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