CNN)今回の米国との戦争を通じて、イランによる反撃の矛先は主に、ペルシャ湾に面する石油資源の豊富なアラブ諸国に向けられてきた。

イランは湾岸協力会議(GCC)を構成するバーレーン、クウェート、カタール、オマーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国すべてにある米国の資産やエネルギーインフラを狙い、攻撃を繰り返している。

被害は甚大だ。調査会社ライスタッド・エナジーの4月の推計によると、損傷した石油精製所や発電所、他のエネルギー施設の損害額は580億ドル(約9兆4300億円)に上る可能性がある。この試算に直近の戦闘による被害は含まれていない。今週には、クウェートにある主要な発電・海水淡水化施設が2日連続で攻撃を受けた。

より広い影響に目を向けると、イランの攻撃は湾岸地域の信用と治安を損ない、世界的な交通の要所で観光や空の便を混乱させ、一部の外国人居住者の脱出を招いている。

だが、湾岸諸国の指導者は自国の領土に対するイランの攻撃を強く非難しているものの、軍事的な報復には踏み切っていない。

その理由について、スタンフォード大学「民主主義・開発・法の支配センター」の上級研究員を務めるヘシャム・サラム氏は、戦争のコストは膨らんでいるものの、「イランとの対立がさらにエスカレートすれば、これらの政府が到底受け入れられないほどの代償を強いられるからだ」と説明する。

「湾岸諸国は成長や投資観光、インフラ開発、世界市場への統合の深化という野心的なビジョンを軸に、国内外での正当性を築いてきた」「イランとの紛争が激化すれば、政治的にも経済的にも莫大(ばくだい)な投資を行ってきた近代化プロジェクトが危うくなりかねない」(サラム氏)

中東情勢の専門家で、オーストラリアの駐レバノン大使を務めた経歴を持つイアン・パーミーター氏は、湾岸諸国は介入しても戦争を長引かせるだけだということを認識していると語る。

イランから遠く離れた米国とは異なり、湾岸諸国は「将来何が起ころうとも、イランは隣国であり続けるという意識が強い」とパーミーター氏は説く。

「彼らはイランと共存していく必要がある」

本稿はCNNのレックス・ハーベイ記者による分析記事です。