行政改革の目玉とされながらも、地元政財官の頑迷な抵抗でしぶとく存続してきた北海道開発局(国土交通省)についに終焉のきざしが見えた。
毎日新聞の報道によれば、開局以来最大ともいえる官製談合事件が相次いで発覚した北海道開発局の廃止について、首相自らが前向な発言を行い、極めて近い将来廃止されることは確実となった。


北海道開発局の廃止は、地方分権とセットにして行われ、道州制施行の嚆矢として北海道庁との統合が基本となる。しかし、肝心の北海道庁も、つい先頃、「支庁」(北海道庁の出先機関)の統廃合を行うなど、危機的な財政を乗り切るための人件費削減を行っている最中であり、約6000人に登る北海道開発局職員の受け入れは難しい。

哀れなのは、北海道開発局職員である。というのも、同局の行う業務のうち、事務方の仕事は、総務、経理、公物管理などであり、幅広い地域行政を行う道庁に異動しても「使えない人材」なのである。

たとえば、30代半ばの中堅開発局職員が、いきなり道庁へ異動してハローワークの就職相談員として働けと言っても無理だろう。元国家公務員としてのプライドばかり高く、実務能力のない職員の扱いをどうするかは頭の痛い問題だ。

そして、北海道開発局の舵取りをしてきたキャリア組も哀れである。同局のキャリア組は圧倒的に北大出身者が多いのだが、他の中央省庁に異動しても、「東大卒以外は人間ではない」と言われるキャリア官僚の世界での将来は暗い。キャリアの特権である豪華天下りの道もほとんど閉ざされるだろう。

厳しい運命が待ち受ける開発局職員だが、打開策は意外と簡単である。この連載の一番最初に書いた記事で指摘したように、夫婦公務員を解体すれば、人員は一気に3割くらいは整理できる。30代で世帯年収1000万円を超えるような夫婦公務員のどちらか一方を非常勤職員に格下げするか、辞めてもらうべきである。

もちろん公務員には身分保障があるからクビにすることはできない。その代わり、辞令の紙切れ一枚でどこへでも転勤しなければならない宿命を負っている。
札幌市内に持ち家を持つ夫婦公務員に対しては、夫を東京に、妻を稚内に異動させると言えば、渋々どちらかが退職するであろう
それでも、食い扶持だけは保証されるのだから贅沢は言えまい。

北海道が厳しい時代を生き抜くためのスローガンとして掲げている「試される大地」という言葉は、まさしく地方分権の嚆矢として、公務員が率先して試されるということになりそうだ。