女性はアクセサリーが好きですが、初めて意識し始める小学生から中学生のころ、「ほぼ必ず通る」と言われる通信販売の会社があります。その名もサン宝石。

 

「サンホ」の愛称で親しまれ、様々なアクセサリーを少女たちが主に通販などで買うわけですが、どれも驚くほど安く、またバラエティにも富んでいて、女の子の心を掴んで離さない素敵なアイテムが沢山あります。

 

多くのパパはその存在自体を知らなそうですが、2019年で40周年。その変遷も含めて、サン宝石の秘密に迫るべく、お話を聞いてきました。

 

お話をお聞かせくださったサン宝石の神崎仁美さん、小林 葵さん。お二人とも単に仕事という枠を超え、自社の商品自体を楽しまれているそうです

 

 

女児向けアクセサリー、雑貨の通販会社誕生

――まず、男性にはなかなか馴染みがないサン宝石ですが、これまでの変遷からお聞かせください。

 

神崎仁美さん(以下、神崎) もともと弊社会長が太洋商会という会社で印章などを販売していました。そこで1968年にアクセサリーやジュエリーの通信販売をスタートさせました。

 

ただし、当初は女児向けというよりは高価なジュエリーをメインにしていたようです。弊社がある山梨県は宝石生産日本一と言われるほどジュエリーの会社が多いことで知られていますが、こういったことで、太洋商会でもアクセサリーやジュエリー販売に着手したようです。

 

しかし、やがて高価なジュエリーからおもに小中学生向けのアクセサリーや雑貨の通信販売にシフトをし、1979年に法人組織を整えてサン宝石を設立。漫画誌やファッション誌を中心に広告を出すようになり、女の子たちから支持を得ていただけるようになりました。

 

ただ、全部女児向けだったかというと、そうではなく、わずかながらに男児向けの商品もあったようです。

 

↑山梨県中央市にドンと構えるサン宝石本社。この地で40年、全国の子どもたちに夢を与えてきました

 

 

創業当初は社長自らアクセ作り!?

――カタログを拝見させていただくと、時代ごとにかなり細かい変遷があるようですね。

 

神崎 そうですね。たとえば歌って踊れるシンガーが絶大な支持を得たころは、サングラスや黒いリュックサックといったボーイッシュな商品を展開したり。また、ファッションモデルのブームのときはかわいい系の商品を展開したり。さらに、アイドルグループが流行ったらチェック柄を基調とした商品を展開したり。

 

今は象徴的な流行が見えにくいので、その判断が年々難しくなってきているのですが、流行をいち早くキャッチして商品に反映させることが、サン宝石の命と言っても良いかもしれません。

 

――一方、小学生でもお小遣いの範囲内で買える、優しい価格設定も魅力ですね。

 

小林 葵さん(以下、小林) 仲介業者を通さず、自社の中国工場のスタッフと連携して、買い付け、生産を行っています。だからこそこの安さが実現できているんですね。

 

神崎 現社長も手先が器用で、始まった当初は社長自らパーツを買い付けて、自分で加工して販売することもあったようです。

 

 

↑サン宝石の歴代カタログ。内容がそのまま女の子の流行の歴史にも映ります

 

 

常時800以上の商品ラインナップが、年に6回変わっていく

――雑誌広告をメインに自社商品の通販をされていたそうですが、出版不況によって影響はありましたでしょうか。

 

神崎 これは大きく影響がありました。アンケートを取っても「好きな媒体」にYouTubeなどがトップに上がったり、「好きな芸能人」にYouTuberが上がってきていますので、なかなかこれまで通りのやり方は通用しなくなっています。実際、もう紙媒体からの注文よりもウェブサイトやスマートフォンでの注文が半数を超えていますし、この数年で大きく変わった印象ですね。

 

また、流行が多様化しているので、これにも対応できるよう、いまは2か月に一度は商品ラインナップの見直しを行い、売れていない商品は順次販売を中止するなどして、多様化の流れに柔軟に対応させていただいています。

 

――サン宝石で常時ラインナップしている商品は何点くらいあるのでしょうか。

 

小林 紙で発行しているカタログですと、1カタログにつき800点以上が掲載されています。年6回発行していますが、その都度内容を更新しています。

 

神崎 常に1人が1か月で100〜200点の商品を開発したり、商品の入れ替えに伴う分析をしています。商品を生み出す仕事なので、楽しみながらやっています。

 

小林 やはり買ってくださった方からの反応があるとうれしいです。仕事は大変ですが、すごくやりがいがあります。

 

↑常時800点以上を紹介するサン宝石のカタログ。見ているだけで夢が広がります

 

 

代表キャラのほっぺちゃんは偶然生まれた賜物だった!

――そんななか、サン宝石の看板とも言えるほっぺちゃんというキャラクターがあります。どういった経緯で生まれたのでしょうか。

 

小林 一時、シリコンとストーンといったパーツを組み合わせて作るスイーツデコのアクセサリーや雑貨が流行ったときに、サン宝石のパートさんがたまたま余ったシリコンを絞って、それに目とほっぺに見立てたストーンを付けたのが最初でした。

 

当初はまだ“ほっぺちゃん”という名前すらなかったのですが、スイーツデコのパックを店舗で販売した際、このパートさんが作ったものを入れたパックが特に多く売れました。やがて、ほっぺちゃんとして商品を単体で販売し始め、それが口コミでどんどん広がっていき、メディアに紹介され、弊社の代表商品になりました。サンリオさんのキティちゃんやマイメロディともコラボレーションしています。

 

↑サン宝石の代表キャラ、ほっぺちゃん。現在原宿には通販カタログ掲載商品を取り扱う「ファンシーポケット原宿店」とほっぺちゃんを取り扱う「ほっぺちゃんショップ原宿」があり、確固たる人気を築いています

 

 

いまなお6万本以上売れ続ける文房具とは!?

――「流行が多様化している」というお話がありましたが、いま現在のヒット商品はどんなものですか。

 

神崎 いま現在は“オルチャン商品”というもので、韓国ブームに準じたものですね。小学生の女の子でもハングルに興味を持つ子が増えてきていて、ハングルを学ぶことができる雑貨や、韓国のコスメ柄の商品などが売れています。

 

あと、学生さん向けの部活アイテムや、お友だち同士でおソロ持ちができるキーホルダーものなども人気の商品です。

 

さらにYouTubeでの動画再生の影響もあり、スクイーズというプニプニした感触が楽しい商品や、スライムなどもやはり売れています。

 

――アクセサリーや雑貨以外の、文房具のような実用も兼ねた商品はありますか。

 

小林 売れているものですと、リコーダーペンというものがあります。店舗、催事、通販を含めて6万本くらい販売しています。2019年の40周年を記念してクリアカラーバージョンも販売する予定です。

 

 

↑ハングルを学べるオルチャン商品から、部活や友だちとの交流で楽しめるもの、感触を楽しむ玩具までヒット商品はさまざま

 

 

小中学生だけでなく、ある層の女性もサンホファン!?

――40周年以降の展望としてはどんなことをお考えですか。

 

小林 弊社を愛してくださっているお客様に感謝をこめて、様々な企画・商品をご用意しています。

 

さきほどお話したリコーダーペンをはじめ、他にも人気だった商品のスペシャルバージョンを開発ています。キャラクターアンケートで1位だった新しいほっぺちゃんや、新キャラのうーさんとひーさん。スクイーズの進化系で弊社オリジナルのデコイーズもゆめかわバージョンなど……。

 

40円、4円の商品など次々楽しい仕掛けをご用意しているので、こちらの記事をご覧のお父さま方にはぜひ娘さんと弊社のカタログをご覧いただければと思います!

 

↑40周年の記念商品はかわいいものが沢山あります

 

 

パパは知り得る機会がなかなかなかったサン宝石の世界。家にいる娘さん、奥さん、または彼女や友だちの女の子に、ぜひ「サンホの秘密って知ってる?」と言ってみてください。きっと驚かれ、話が膨らむはずですよ!