岡村製作所の上下昇降デスク「スイフト」

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 東京23区では2018年に大規模オフィスビルが次々と完成予定で、首都圏を中心に供給量が拡大している。政府主導による働き方改革など外部環境も追い風となり、オフィス向け家具各社は付加価値を高めた、快適で働きやすいオフィス環境の提案に力を入れる。

文化・流行発信
 岡村製作所はイノベーション(技術革新)やダイバーシティー(多様性)など働き方改革に関する10のキーワードを掲げて製品を提案する。18年1月に発売する機能性が高い家具シリーズの「Lives(ライブス)」は、ユニットソファやワークチェアなど八品目で構成。各製品を組み合わせることで、多様なオフィス環境を整える。

 15年に発売した定期的に立ち姿勢を取り入れる、上下昇降デスク「スイフト」は、売り上げが好調。中村雅行社長は「上期累計で前年度比16%増えた。ハイエンドが伸びている」と話す。

 同社マーケティング本部オフィス製品部の荒川和巳部長は「従来は机やイスが何台必要かなどレイアウトデザインを総務担当者に提案していた」と振り返る。同社は働き方の知見について発信する雑誌「ワークミル」を17年9月に発売した。同ソリューション戦略部の大野嘉人部長は「家具屋から脱却し、モノとコトを連携させて、オフィス文化やトレンドを発信することが大切だ」と話す。

提案拡大
 コクヨは働く人一人ひとりに焦点を当てた働き方改革の提案に力を入れる。体の動きに合わせて座面が自然にスイングするいす「ing(イング)」を発売した。黒田英邦コクヨ社長は「長時間労働の是正など制度に目がいきがちだが、一人ひとりの働き方を変えることで会社全体の生産性が上がる流れにつなげていくことが必要だ」と指摘する。

 12月からは執務エリア以外でも快適に過ごせる、机やソファなどオフィスラウンジ家具5商品を発売する。「大手企業のみが対象ではなくベンチャー企業など規模にかかわらず提案を広げていきたい」(黒田社長)としている。

 大型オフィスビルの完成に伴う移転ニーズにより、オフィス家具市場は堅調に推移するとみられる。企業側に働き方改革を取りこんでいきたいというニーズも高まる中で、生産性向上につながるべく働く環境も大きく変わりつつある。
(文=高島里沙)