宮内亮治被告(左)と熊谷史人被告(資料写真:吉川忠行)

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ライブドア(LD)グループをめぐる証券取引法違反事件で、同法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた宮内亮治被告(38)、熊谷史人被告(28)ら同社元幹部4人に対する第2回公判が4日午後、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。

 今回は犯罪事実に関する立証のため、LDの監査を担当していた港陽監査法人(6月末で解散)の公認会計士が検察側証人として出廷した。事件の舞台になったとされる投資事業組合がLDの連結対象になるか否かが焦点で、証人は組合を通じた自社株売却益の売り上げ計上が、会計基準に照らして問題であると認識していたことを明らかにした。

 証人は、LDが自社株を投資事業組合を通じて売却した際の利益を売り上げに計上し、2004年度9月期の決算を粉飾したとされることについて、「(すでに起訴されている)小林元会計士からメールをもらって、事実を認識した。宮内被告やライブドアファイナンス社長(当時)の中村長也被告にヒアリングして、総勘定元帳も見た結果、LDと組合は事実上一体でまずいと思った」と証言した。ヒアリングの際、LD側は事業投資組合の業務執行組合員にエイチ・エス証券の野口英昭氏が就任していることなどを説明。宮内被告らは、自社株の売却がインサイダー取引に当たるかどうかを心配していたという。

 自社株売却益の売り上げ計上は、すでに起訴されている公認会計士、久野太辰被告らと話し合って最終的に認めることに決め、弁護士も2つのファンドを通しているとして「消極的に」賛成したという。

 2時間以上に及ぶ検察側、弁護側の尋問が終わった後、小坂裁判長が「会計士として、これでいいのか。あやしい場合には、適正な監査をすることが会計士の仕事ではないか。あいまいなまま結論付けたのではないか」と強い口調で問い詰めた。証人は「結局はそういうことになりますね」と答えた。

 この日、ダークスーツに濃いエンジ色のネクタイ姿で法廷に現れた宮内被告は、傍聴席の知り合いに向かって少し微笑んだ。証人が出廷した際には目を合わせて会釈するなど、初公判とは違ってだいぶリラックスしている様子を見せた。また、証人が証言している最中には、手持ちの紙にペンで時折メモをしていた。【了】

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